地元に愛され、地元と共に歩んできた30年

エントランスにはよく手入れされたイングリッシュガーデン。現在はやや規模を縮小しているものの、2010年には「全国ガーデニングコンテスト」で入賞したこともあるのだとか。木々の緑と柔らかなピンクの壁とのコントラストはよく映え、「絵本の中から飛び出したお菓子の家」という店のコンセプトを体現しています。

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この店を立ち上げたのは初代オーナーの遠山好幸さん。都内の料理専門学校を卒業後、代官山ラボムヴェール、銀座マキシムドパリなどでフランス菓子を学び、念願の自分の店をオープンしたのが30年前のこと。奥様の出身地だった縁で西武立川に店を出したそうです。
「お菓子の半分は夢でできている」をモットーとして、真摯にお菓子と向き合う遠山さん。保存料や防腐剤などを使用せず、素材の魅力を最大限に引き出したお菓子づくりは、地元はもちろん遠くから足を運ぶファンにも支持され、愛されてきました。
店内には、さくらんぼリキュールをたっぷり使ったおとな向けの「サバラン」(440円)、じっくり煮詰めたリンゴがたっぷり入った「アップルパイ」(550円)などのケーキが並ぶショーケース。また、棚には焼き菓子がずらりと並んでいます。

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遠山さんが丁寧に育んできたこの店に大きな転機が訪れたのは3年前。遠山さんのご子息・大樹さんが2代目として店の経営に携わることになったのです。大樹さんが店の切り盛りを担当することで、遠山さんはシェフパティシエとしてお菓子づくりに専念。協力しながら店を盛り立てていく体制が整いました。

店の歩みとともに育ってきた長男・大樹さん

プルミエールは現在29歳の大樹さんが生まれた年にオープン。店は年を重ねるごとに多くのファンを獲得し、地元でも評判の洋菓子店になりました。順風満帆にも見えるプルミエールですが、高校生になった大樹さんの胸に残るできごとがあったそうです。

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「そのころ、大手のインターネットモールに出店したのですが、環境などいろいろなことが整っていない段階で導入してしまって。
それまで父は目の前のお客さまに直接届ける商売で信頼関係を築いてきました。それがネットだと相手が見えない。顔を見てコミュニケーションをとることができない方達からのレビューの中には、職人としては辛いものもあったようで、結果的にネット販売を諦めてしまったんです。僕としてもそばで見ていて悔しい気持ちが残りました」。

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その後、大学に進学して経営学を学んだ大樹さんに就職活動のシーズンが訪れます。確信とともに選んだ就職先は、なんと高校時代に悔しい思いを味わったインターネットモールを運営する企業。「いつか店の運営に携わりたいと意識し始めたのもこのころでした。でも、そのためにもまずは学びたいことがあると感じたんです」とあえて選んだというから驚きです。
「幸い採用を頂いて、すぐにネットモールの部署に配属されました。出店される社長さんに提案するコンサルティングを行い、在籍中に1000から1500軒の企業を担当。本当に貴重な経験をさせてもらいました」。

反響を呼んだネットでの焼き菓子販売

「街のお菓子屋さんって、今かなり減ってきてしまっているんです。それはうちも例外ではなくて、両親の間でも『いつまで続けようか』なんて話が出るようになっていました」。
そこで大樹さんは店を継ぐことを決意し、2代目として経営を担うことに。それまでに蓄えたノウハウを携え、ネットモールの通販にも再チャレンジします。
「もちろん変わったからといって、すぐに結果が出るような世界ではありません。できることを片っ端からやってみて、やっとひとつの商品で反応が見えてくるまでに半年かかりました。それを大事に育てていき、3年かけてようやく広がってきたところ。ここからはもっと加速度的にアップしていけると感じています」と手応えを感じている様子。

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プルミエールにまつわる環境がここ数年、目まぐるしく変動してきたことは想像に難くありません。そんな変化を初代オーナーであり父である好幸さんはどう感じているのか、大樹さんに聞いてみました。
「結果から言えば、父も今の状況をすごく喜んでくれていますよ。30年間この店の看板を守り続けてきた経営者でもありますし、職人としても自分の作ったお菓子を口にする人の数が格段に増えたことに喜びを感じているようです」。

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「ここまでネットで反響を呼んだのは、父が修業時代から約40年、積み上げてきた経験と技術があるからこそ。それに、通販で人気の高い『贅沢サブレショコラ』を例にいえば、フランスの老舗チョコレートメーカー・ヴァローナ社の高級チョコレートと国産発酵バターをふんだんに使うなど、素材にもこだわっています。
一度食べてもらえれば、必ずまたリピートして頂ける自信があった。だからこそ、『絶対に間違っていない方向に導くから』と説得して、父もそれに必死に応えてくれてここまできました」と重ねる大樹さんの言葉に、しっかりと繋がれた家族の絆を感じました。

ふんわりと発酵バターが香る焼き菓子たちは、愛らしい箱や缶に入れられて全国へと届けられます。この箱や缶がまた、たまらなく可愛らしい! リピータ心をくすぐる演出はこんなところにも仕掛けられているのです。

立川から全国へ「プルミエール」を発信

「プルミエールは今後、ネット通販の洋菓子メーカーとして成長していくと思います。それでもうちの強みは実店舗があること。手作りの温かさを表現できるこの場所は守っていきたいです。この西武立川という場所で30年間培ってきたお客さまとの関係性も絶対に壊してはいけないと思っています。
それにお取り寄せで出逢ったお客さまの中にも、次はお店に行ってみたいと言ってくださる方も多いんです。その方たちが来られる場所も残しておきたいんですよね」。

プルミエールがネットで取り扱うのは焼き菓子のみ。店頭には現地でしか味わえない生ケーキもたくさんあります。すでにお取り寄せでプルミエールの味に親しんでいる人も、この記事で初めてプルミエールを知った方も、機会があればぜひ店舗を訪ねてみてはいかがでしょうか。

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