東伏見の地名の由来にもなった"東のお稲荷様"
新宿線「東伏見駅」から徒歩12分。駅から東伏見稲荷神社まではところどころに大きな鳥居が建っているので、迷うことなくたどり着けます。
階段を上った先には鮮やかな朱色が青空に映える拝殿があります。その美しさは、東京都民の公募によって選ばれる「新東京百景」のひとつに数えられるほど。
稲荷神社は全国に3万社以上あり、その総本宮が京都の「伏見稲荷大社」です。東伏見稲荷神社は、その伏見稲荷大社の協力を経て昭和4年(1929年)に分祠(ぶんし)として創建された神社。当時、関東地方に暮らしていた稲荷信仰者の要望に応えるかたちで建てられた関東最大級のお稲荷様です。
東伏見稲荷神社が創建されるまでこの一帯は上保谷(かみほうや)と呼ばれていて、駅名も「上保谷駅」という名が付いていましたが、「遠方から参拝に訪れる方に分かりやすい地名を」ということで、創建をきっかけに「東伏見駅」へと名称が変更されました。また、1966年(昭和41年)に実施された町名整理を機会に町の名前も「東伏見」へと生まれ変わったのです。
家内安全、商売繁盛、良縁成就......他にもご利益いろいろ
東伏見稲荷神社には、「東伏見稲荷大神(ひがしふしみいなりおおかみ)」と呼ばれる3柱の神様が祀られています。
■ 宇迦御魂大神(うがのみたまのおおかみ)
衣食住の大祖神で農業の守護神。主なご利益は「家内安全」「商売繁盛」。
■ 佐田彦大神(さだひこのおおかみ)
別名は猿田彦大神(さるたひこおおかみ)。道開きの神様として知られ、物事を良いほうへと導いてくれます。主なご利益は「交通安全」「道中安全」「良縁成就」。
■ 大宮能売大神(おおみやのめのおおかみ)
天照大神(あまてらすおおかみ)の侍女として仕え、宮殿の平安を守る女神として知られています。主なご利益は「家内安全」「商売繁盛」。
境内には、「お山」と呼ばれる京都の伏見稲荷大社の稲荷山にならってつくられた「お塚」があります。拝殿の左脇、建物の下に設けられた入口から参道へ向かうルートのほか、右脇から向かうルートもあります。
お塚には、拝殿に祀られた3柱の神様以外にも20柱以上もの神様が鎮座しています。祠や塚など祀られ方や祀られる神様によってご利益も異なります。また、神様のお使いである眷属(けんぞく)の表情もさまざま。参拝を兼ねて一つひとつをゆっくりと見て回るのも楽しいです。
社務所は拝殿に隣接した場所にあり、祈祷の受付のほかに、御朱印(500円/書き置きのみ)や御神札、お守りなどの授与品をお頒かちいただけます。お守りは、願いを成就させるお守りの「夢結び」(各500円)、道開きの神様の佐田彦大神の力を分け与えていただき、道中の安全を祈願する「自転車守り」(各500円)が人気です。
拝殿だけでなくお塚に鎮座する神様にもご挨拶をして回るとなると、滞在時間には余裕をもっておくのがいいでしょう。福の神のパワーを分けてもらいに、東伏見をぜひ訪れてみてくださいね。