430年以上の歴史とともに親しまれる氏神様
「川越 熊野神社」の創建は安土桃山時代にあたる1590(天正18)年。紀州熊野から勧請されたのが始まりとされる開運・縁結び・厄除けの神社です。
御祭神は熊野大神で、伊弉諾命(いざなぎのみこと)・伊弉册命(いざなみのみこと)・事解之男命(ことさかのおのみこと)・速玉之男命(はやたまのおのみこと)の御四神です。伊弉諾命と伊弉册命は日本最古の夫婦の神様で、多くの神様を生み出したことから、縁結びの神様として信仰されています。また、速玉之男命と事解之男命は穢れを祓う神様とされ、「厄祓い」「厄除け」の神様として祀られています。
由緒ある古社ながら、最新技術を取り入れた施設案内も
看板脇からも境内に入ることができますが、境内東側の川越大正浪漫夢通りにあるのが一の鳥居。神社の表にあたります。
境内までの参道に小さな看板を見つけました。看板に記載されたQRコードを読み込むと各施設の案内が表示される仕組みになっています。拝殿の脇には御由緒、手水書には手水の手順なども記載されており、境内の16ヶ所で文字や音声で情報を得ることができます。また、この施設案内は英語や中国語、韓国語をはじめ世界各国の言語で表示でき、海外からの参拝客にもわかりやすいよう工夫されています。400年を超える古社ながら、現代的でグローバルな施設案内を取り入れていることに驚かされました。
113の看板に記載されていたのは参道の両脇に小さな石が並んだ「足踏み健康ロード」。靴を脱いで歩くことで足ツボが刺激され、健康の維持と向上によって開運を得られるようにとの願いが込められています。
アイデア満載の境内で、神社をより身近に
周辺にもさまざまな施設があり、訪れた人たちが思い思いに楽しんでいる姿が印象的です。末社として境内に祀られている加祐稲荷神社の横にあるのは「運試しの輪投げ」。社殿内にあった布紐の輪を活かした施設です。
同じく末社の厳島神社は銭洗弁財天。宝池でお金を洗い、不浄を清めることができます。
川越熊野神社の御社紋は、3本の足を持つ「八咫烏(やたがらす)」。熊野大神様のお使いとされている御神鳥です。境内には可愛らしい「八咫烏様」が鎮座していました。
ちなみに八咫烏はサッカー日本代表のシンボルとしても知られていて、川越熊野神社では必勝お守りも販売しています。
その八咫烏様からのお言葉をいただけるのは「むすびの庭」。鳥居の奥に設置された水晶玉に触れると八咫烏様からのお言葉があり、開運・縁結びのご利益がいただけるといいます。
若い世代にも神社に親しんでもらいたいという願い
古社といえば厳かなイメージがありますが、「川越 熊野神社」は境内の至るところに楽しめるスポットが点在。訪れる人の積極的に楽しむ姿が印象的です。その理由を宮司の岡本行雄さんに伺いました。
「たとえば神道には『敬神崇祖』(けいしんすうそ)という言葉がありますが、いきなり難しいことを言われてもピンとこない方が多いでしょう。それならば、まずは神社を身近に感じてもらうことから始めようと考えたんです」。
そこで最初に導入したのが冒頭で紹介した「足踏み健康ロード」。長く付き合いのある職人さんの協力のもと2004(平成16)年に設置され、その後もさまざまな施設が誕生しました。
また、おみくじやお守り、御朱印も多くの種類が用意されています。なかでも2023(令和5)年から頒布が始まった「八咫烏と干支の切り絵御朱印」(授与料1,800円)はとても美しく、目を惹いていました(四季詣期間中は郵送も可。送料込2,000円)。
岡本さんが願っていた通り、現在では多くの若者が楽しそうに神社で過ごしています。「よく『今の若者は......』なんて言いますが、私はそうは思いません。今の若い方たちはとても素直。看板を見ながら一生懸命お参りしてくれるんですよ」と目を細めます。
楽しさにあふれた「川越 熊野神社」を訪ね、神様との距離が少し近くなったような気がしました。皆さまも川越を訪れたらぜひ足を運んでみてくださいね。
※授与料などが変更になる場合がございます。