2組の夫婦の神様を祀る川越城下の総鎮守

いつも多くの観光客が行き交う蔵造りの町並みから、少し離れた場所にある川越氷川神社。深い緑に囲まれ、すぐ後ろには桜の名所で知られる新河岸川が流れるなど、小江戸川越の中心地よりものんびりとした時間が流れています。
神社の目の前にあるバス停に降り立てば、石造りの鳥居をひっきりなしにくぐる参拝客の姿が見えます。

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川越氷川神社は、古墳時代にあたる欽明天皇2年(西暦541年)に創建されたと伝えられています。長禄元年(西暦1457年)になって太田道真・道灌親子により川越城(当時は河越城)が築城されると、城下の総鎮守として歴代の城主から篤い崇敬を受けました。

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縁結びの神社と呼ばれる理由は、川越氷川神社のご祭神にあります。ご祭神は五柱あり、主祭神は素盞嗚尊(すさのおのみこと)。その妻である奇稲田姫命(くしいなだひめのみこと)と子の大己貴命(おおなむちのみこと)がいて、さらに奇稲田姫命の両親にあたる脚摩乳命(あしなづちのみこと)と 手摩乳命(てなづちのみこと)がいます。三代にわたるご祭神を指し、川越氷川神社は「家族円満の神様」、あるいは「夫婦円満の神様」「縁結びの神様」と信仰されてきたのです。

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そんな川越氷川神社には「境内の玉砂利を大切にすると良縁に恵まれる」という伝えがあります。とはいえ、現在は玉砂利を勝手に持ち帰るのはマナー違反。毎朝8時から、本殿前の白い玉砂利を麻網でくるんだ「縁結び玉」が20体限定で無料頒布されているので、ご縁にあずかりたい方はそちらを入手しましょう。

玉砂利の音を聞きつつ、フォトスポット満載の境内をひと回り

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ここで、境内をぐるりと見ていきます。境内の入口にそびえるのは高さ約15mの大鳥居。先ほどの石造りの鳥居の東側にあり、建立された平成2年(西暦1990年)当時、木製の鳥居としては日本一の大きさを誇ったそう。扁額の文字「氷川神社」は、幕末の偉人・勝海舟によるものです。

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大鳥居をくぐった左手に流れる小川。「人形(ひとがた)」(100円)と呼ばれる和紙をここに流し、心身のけがれを祓うことができます。毎年7月上旬から9月上旬の夜間は川底がライトアップされ、涼しげで神秘的な情景を眺めることができます。

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ご神木は本殿の裏手にある樹齢600年を超える2本のケヤキ。仲良く寄り添うように立っている様子から「夫婦(めおと)のご神木」とも呼ばれています。木の下には石道が置かれ、8の字を書くように歩くと良縁に恵まれるとされています。

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本殿脇の「絵馬トンネル」は約3万枚の絵馬が奉納されている、境内屈指の映えエリア。柔らかな風がトンネルを抜けるたびに、無数の絵馬がカラカラと軽快な音を奏でます。

良縁に願いを込めておみくじやお守りもチェック!

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縁結び・良縁にちなんだお守りも数多く用意されています。イラストレーターの浅生ハルミンさんがデザインした「赤縁筆」(300円・写真中央)には運命の赤い糸が描かれていて、使って削るたびに男の子と女の子の距離が縮まっていくというユニークな仕掛けが施されています。

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こちらの「あい鯛みくじ」(300円)も川越氷川神社ならではの良縁おみくじ。願い事を思い浮かべたら、専用の釣り竿で鯛の口元をひっかけて釣り上げます。おみくじには出会いの時期や相性の良い人の特徴などが書かれています。

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川越氷川神社の御朱印はシンプルな通年デザインのほか、毎年7月上旬から9月上旬ごろまでの間は夏をモチーフにしたものも頒布されています。初穂料は500円。

耳と目で楽しむ夏の川越氷川神社

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川越氷川神社の夏といえば、7月上旬から9月上旬まで境内を美しい音色で飾る「縁むすび風鈴」。風の便りという言葉があるように、昔の人たちにとって風は「人の想いを運んでくれるもの」でした。願い事の短冊を下げた風鈴がちりんと鳴るたび、私たちの想いや願いが神様のもとへ届きます。

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色とりどりの縁むすび風鈴は耳で風を感じられる夏の風物詩。少し前の6月には、かざぐるまが初夏の到来を知らせるとともに、目で風を感じさせてくれます。

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「縁結び」のご利益は、恋愛や結婚の良縁に限ったことではありません。良き仲間との出会いや良き仕事に巡り合えるご縁、あるいは家族との深い繋がりなど、人と何かを結びつける力すべてを見守ります。小江戸川越の散策を楽しんだあとは、ちょっと足を伸ばして良縁を祈願してみませんか?

※価格はすべて税込
※開門時間、授与所・御朱印受付時間、価格等は変更になる場合がございます。