八幡通り沿いで14年。気軽に入れる焼き菓子店

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「丸広百貨店 川越店」を過ぎてしばらく歩くと、道の右側に「焼菓子専門店」と書かれたのぼりが見えてきました。店の中を覗くとタルトやマフィン、クッキーといった色とりどりの焼き菓子たちがかわいくディスプレイされています。

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店を経営するのは田中教朗(のりあき)さんと妻の尚子さん。教朗さんの出身地である川越で2009年にこの店を開きました。

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大学を卒業後、「BAGEL & BAGEL」で調理と飲食店経営の基礎を学び、29歳で本格的な技術と知識を得るために調理師学校へ。その後しばらくはホテルレストランで働きながら、いずれはカフェを開くことを夢見て修業に励みました。「ある日、たまたまこの通りを歩いていたら空き物件を見つけてね。雰囲気が良くて気に入ったんだけど、箱が小さいからカフェをやるのは無理かなと......。そこで思いついたのが焼き菓子屋さんでした」。当時、巷で増えつつあった焼き菓子を看板メニューにした専門店を開こう。そんなアイデアが生まれた瞬間でした。

季節感と安心感を約束。厨房で生まれる珠玉のお菓子

「やき菓子 野里」が創業から守り続けているのは、素材感にこだわった焼きたてのお菓子を店頭に並べること。タルトやシフォンケーキ、パウンドケーキ、スコーンなどの定番商品のほかに、季節を感じる週替わりの味をラインナップしています。

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この日は定番の「キャラメルナッツのタルト」(390円)に加え、「甘夏のタルト」(390円)と「台湾パイナップルのタルト」(400円)の週替わりを用意。サックリと焼き上げたタルト生地にふんわりと甘味をまとったフルーツやナッツが添えられた優しい味わいが魅力です。冬から春にかけては「いちごのレアチーズタルト」(450円)も人気で、飛ぶように売れていくとか。

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「『野里』の焼き菓子なら安心してこどもに食べさせられる」と、頻繁に通う子育て世代の方も多いそう。田中さん自身も兼業農家に生まれ、小さい頃から無農薬野菜を食べてきた経験から、"誰もが安心して口にできる焼き菓子"をモットーにしています。保存料や添加物はなるべく使わない手作りのお菓子を、毎朝7時から丁寧に焼いています。

店主自ら「これだ!」と認めた厳選素材だけを使用

焼き菓子に使用するのは、田中さんが厳選した卵やきび砂糖、なたね油、それに北海道産の小麦粉とバターです。「誰もが気軽に買える焼き菓子屋を目指してきましたが、原材料費が高騰し、今年になって泣く泣く価格を上げました」と振り返ります。

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オーブンで焼きあがったお菓子を袋詰めして、店頭で販売するのは尚子さんの役目。開業から夫婦二人三脚で味を守り続けています。ご利用のお客さまと店員の距離感が近いのも「野里」が人気を得ている理由のひとつで、日々寄せられるお客さまの声を参考にして季節限定からレギュラー化した商品もあります。

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創業15年の節目を迎える2024年に向け、田中さんは新商品の開発を進めています。「店を開いた頃から『川越土産を作る』という思いがあるんです。今ある川越土産はほとんどが和菓子ですからね。観光で川越氷川神社や小江戸を訪れる若い世代をターゲットに、洋菓子で新たなお土産を表現したいと思って」。

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川越土産の商品化とともに進めているのが、新たな店舗の構想です。「おかげさまでコロナを機にお客さまも増えてきまして、この4坪ちょっとの店舗でやるには少々手狭になってきました。2号店を出すか、あるいは別業態にするのかまだ検討段階ですが、15年という区切りの年に『野里』の第2章をスタートさせようとあれこれ考えています」。
気が付けばがむしゃらに走り続けてきた14年。田中さんが長年温めてきたアイデアが一気に花開くことになるでしょう。

※価格はすべて税込
※営業時間、販売商品、価格などが変更になる場合がございます。