米軍将校の住宅地区が返還され、県民の憩いの場に
まずは園内中央にある管理事務所にお伺いし、所長の輪嶋京伊子さんに公園の歴史についてお伺いしました。
「この公園は米軍管理下の時代、米軍将校らの家庭用住宅が並ぶ『ハイドパーク』と呼ばれた住宅地区でした。かつてここには20軒ほど米軍将校の住宅があったそうです」と輪嶋さん。1963年に日本に返還されたのち、1975年に「狭山稲荷山公園」として開園しました。
自然の中で散歩やピクニックを楽しむ
「狭山稲荷山公園」の敷地面積は約16ヘクタール。稲荷山公園駅のある北西側の正門から入ってまっすぐ進むと、園内を縦断する桜の並木道があります。
また、園内には公園をぐるっと一周できる約1,200メートルのジョギング・ウォーキングコースがあります。今回は正門側をスタート地点として、コースに沿って時計回りに案内していただきました。
起伏のある地形を利用して作られたジョギング・ウォーキングコースには、緑色のチップが敷かれています。このチップにはわずかにクッション性があり、足に負担をかけずに走ることができるため、趣味のウォーキングだけでなく、リハビリや本格的なトレーニングにも利用されているそう。
「狭山稲荷山公園のコンセプトは『緑のリビング』。地域の皆さまにとって居心地のいい場所でありたいと思っています」と輪嶋さんが話すように、平日の日中でも園内には多くの来園者が見られます。
正門を抜けてまず左手に見えるのが、「コバトン広場」。埼玉県のマスコットキャラクター「コバトン」の名がついたこの広場には、こどもたちに人気の遊具が設置されています。
「コバトン広場」から奥へ進むと、公園に隣接する「狭山市立博物館」の向かい側に「芝生広場」が広がります。園内で一番広いこのエリアは日当たりがよく、遠足やピクニックに人気のスポット。管理事務所でキャッチボール用具やバトミントン用具を無料レンタルして外遊びを楽しむこともできます。
芝生広場に沿って園内を半周すると、公園ボランティア「いなりやまフレンズ」の方々によって手入れされている「フレンズガーデン」があります。ハーブや季節の花を年に2回植え替えており、取材に伺った3月中旬には色とりどりのパンジーが咲いていました。
ボランティアの活動は月に2回程度。参加者は随時募集中なので、興味のある方は公園のwebサイトをご確認ください。
公園の南側の愛宕神社に続く木道は、近隣の方々の通勤通学に使われているのだそう。「梅雨の時期には、左手にアジサイがたくさん咲きます」と輪嶋さん。
木道を通り過ぎてさらに進むと、「BBQガーデン」があります。器材を借りてお好きな食材を持ち込むのはもちろん、食材がセットになった器材貸し出しサービスもあるので、手ぶらでバーベキューを楽しめるのがうれしいポイント。営業期間は3月中旬~11月中旬で、前日までの予約が必要です。
※詳細は「Hero Field BBQ予約サイト(外部サイト)」をご確認ください。
https://www.herofield.com/bbq/inariyama/
また、公園内には米軍将校らの住宅地の名残として、階段や車寄せ、暖炉などの遺構があちこちに残っています。訪れた際はぜひ注目してみてください。
お花見やイベントも!人が集う場所
春の「狭山稲荷山公園」の最大の見どころは桜の並木道。約300本のソメイヨシノや八重桜が咲き誇る様子は圧巻です。3月下旬から4月上旬が見ごろで、この時期はたくさんの花見客が訪れるのだそう。
公園内ではイベントも多数開催されています。日曜の朝に自然の中でヨガを楽しむ「朝ヨガ」や、毎年11月に芝生広場で開催される「さやま大茶会」、キッチンカーや雑貨店などが数多く出店する毎月第4日曜日のマルシェ、ツリークライミングの体験会など、イベントのジャンルも多種多様。毎年10月には大規模なチャリティイベント「ifイナリヤマフェスタ」も予定されており、地域の人々が集まる場としても機能しています。
駅から近く、手ぶらでも楽しめる「狭山稲荷山公園」。暖かくなるこれからの季節に、ぜひお出かけしてみてください。
※営業時間、貸出用品、イベント等は変更になる場合がございます。最新の情報はWebサイトでご確認ください。