ワークショップも開けるおしゃれなカフェ

220217-10.jpg淡いグレーの外壁が目を引く「STORY cafe&space」。入り口で靴を脱いでスリッパに履き替えてから店内に入ると、白く塗られた壁には大きな窓があり、柔らかな日が差し込んでいます。

220217-4.jpg一方、店内右手のスペースは壁面も床も木目調で、温かみのある雰囲気です。実はこの部分は多目的スペースとして作られた空間。可動式の壁で仕切ることができたり、奥のカーテンの向こうには大きな鏡があったりと、ワークショップやイベントを開くための工夫が施されています。

220217-34.jpgそもそも「STORY cafe&space」がオープンしたのは、ワークショップのためでした。
「父と母が音楽家や美術家の方々とともに『からし種シアター』という小さな劇団をやっていて、月に2回ほど、こども向けの演劇ワークショップを開催しています。
ワークショップの間、親御さんたちが待てる場所が近くになかったので、カフェを併設した多目的スペースをつくりたいと思いました」

そう話すのは、お店の運営全般を担う川村さんです。店舗の建物は、もともと川村さんの祖父が経営する小児科医院だったのだそう。その建物をリフォームするにあたって、「からし種シアター」の活動場所兼カフェをオープンする計画を立てました。

カフェを開くと決めたものの、川村さんもご両親も飲食業の経験はありません。そこでまず川村さんは修行のために、異業種からカフェで働くことを決意。カフェ経営やメニュー開発について、約2年間みっちり学び、自らのお店のオープンに備えました。

220217-54.jpg緊急事態宣言などの影響で準備期間は少し伸びてしまいましたが、2020年10月、ついに「STORY cafe&space」を開店。川村さん(写真右)とご両親の3人で切り盛りしています。ユニフォームが黒で統一されているのは、お客さまが「STORY cafe&space」という舞台における「演者」、スタッフは舞台における「黒子」であるという意味が込められているのだそう。

丁寧につくられたスイーツ&ドリンク

220217-5.jpgまずは店内奥のカウンターで注文し、お会計を済ませてから席に座ります。現在店内で使っている椅子やテーブルは、川村さんがかつて働いていたカフェから引き継いだものなのだそう。「つながりを感じられる、思い出の詰まったものです」と川村さんは話します。

220217-43.jpgスイーツの人気メニューは「シフォンケーキ(プレーン)」(600円)。お菓子づくりのプロに直接指導を受けながら、半年のあいだ試行錯誤を重ねて完成したメニューです。「自分たちにできる範囲で、自分たちがおいしいと思うもの、好きだと思うものをメニューとして出すようにしています」と川村さん。

シフォンケーキはボリュームがありつつもしっとりしていて、口の中でとろけるようなふわふわの食感。ミックスベリーソースと合わせるとさっぱりとした風味になります。

シフォンケーキと一緒にいただいたコーヒー「STORYブレンド」(500円)には、国分寺にある自家焙煎珈琲店「ねじまき雲」の豆を使用。入念な打ち合わせを重ねてつくられた、「STORY cafe&space」だけのオリジナルブレンドです。苦味と酸味のバランスがよくすっきりとした後味のコーヒーは、スイーツによく合います。

220217-48.jpg川村さんが考案する期間限定ドリンクも要チェック。今回は2022年3月から発売される「黒みつきな粉ラテ」(650円)と「ぎゅうひ黒みつきな粉ラテ」(700円)をいただきました。スチームミルクの表面にかかっているきなこにはわずかに塩がブレンドされており、黒蜜の濃厚な甘さを引き立ててくれます。

カフェから生まれる"つながり"と物語

220217-11.jpg「STORY cafe&space」という店名には、2つの"ストーリー"が込められています。

ひとつは、「からし種シアター」をはじめとする演劇のストーリー。川村さんのご両親が物語の世界をこどもたちに伝え、一緒に体験してきたことに由来しています。
もうひとつは、「この場所から新しいストーリーが生まれてほしい」という願いです。
「いろいろなカフェがある中から当店を選んで来てくださったお客さまは、好きなものが一緒だったり、似たような感覚を持っていたりするのだと思います。そこから新しいつながりが生まれたらうれしいですし、私自身も多くの方とつながっていきたいです」と話す川村さん。以前働いていたカフェの椅子やテーブルを引き継いだり、祖父の小児科医院で使っていた薬箱や待合室の椅子を再利用していたりするのも、これまでの"つながり"を大切にしているからだといいます。

220217-15.jpgまた、店内ではからし種シアターとつながりのある作家さんの作品も販売されています。さらに今後はイベントなども開催していきたいとのこと。「心安らぐカフェ空間がありつつ、『ここに来たら楽しいことがある』と思ってもらえるような、わくわくする空間を作っていきたいですね」と川村さんは話します。
恋ヶ窪のまちで、人と人がつながる。今後も「STORY cafe&space」の物語はどんどん広がっていきそうです。

※価格はすべて税込

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