LINEで送るインドだけにとらわれない、自由な発想の店づくり
昔ながらのお店が立ち並ぶ駅前通りにある、人気のカレー店「MIL FRUKTO（ミルフルクト）」。看板に書かれた「MIL FRUKTO」の文字や窓ガラスに描かれたメヘンディ模様が独特な雰囲気を醸し出しつつ、どこか温かさもあって街並みになじむ店構えです。
店内はカウンター席が４席と二人掛けのテーブル席が２つという、こぢんまりとした空間。茶色のトーンに統一されていて、居心地のよい雰囲気です。
今回お話を聞いたのは店主の神野さんと、週末などに手伝いに来るという奥さまのみみ千代さん。奥さまはグラフィックデザイナー兼インド舞踊家なのだそう。
自身も以前はグラフィックデザイナーだったという神野さんは、この物件を借りた後、自らの手で改装することに。壁やカウンターを塗ったり看板を作ったりと、手づくりでお店を仕上げました。
店内ではみみ千代さんがつくるマクラメアクセサリーやオリジナル雑貨も販売しています。トルコランプが吊るされていたり、カウンター席の後ろには日本のこけし（！）がずらりと並んでいたりと、インドの雑貨に限らずユニークな装飾にあふれた店内も見どころのひとつ。お二人のものづくり愛にあふれたお店です。
ユニークなカレーを２種盛りで食べ比べ
店名の「ミルフルクト」は、エスペラント語で「千の実り」という意味。「ひとつの国にとらわれず、いろいろな国の料理を参考にしながら、自由な発想でカレーを作りたい」という思いが込められているのだそうです。
※エスペラント語...人工的な国際語。1887年にポーランドで誕生した。
そもそも神野さんがインドカレーのお店を開こうと思ったきっかけは、インド文化やスパイスに詳しいみみ千代さんの影響で、その奥深さに魅了されたから。カウンターにずらっと並ぶたくさんのスパイスが、その熱量を物語っています。
「メニューを考えるときは、いろいろな国の料理を調べたり食べ歩いたりして、参考にしながら自由に発想しています。現地の料理をそのまま取り入れるのではなく、カレーとして食べやすいようにアレンジを加えています」と話す神野さん。インドカレーに限定することなく、さまざまな国の料理からヒントを得ることで、毎日食べても飽きないカレーをめざしているのだそう。
また、「ミルフルクト」は「とうきょう特産食材使用店」にも登録されており、季節限定カレーなどに旬の東京産野菜を使っています。「国際色豊かでありながら、食材は地元の新鮮なものを使いたい」との思いから、店内のメニュー看板には季節の食材を使った限定メニューが季節ごとに登場します。訪れるたびに新しい発見がありそうです。
カレーは注文を受けてから一皿分ずつ仕上げ調理をして盛り付けるという丁寧なスタイル。黄色いライスは日本のあきたこまちとインドの高級米であるバスマティライスをブレンドしたものです。
「ミルフルクト」の人気は、２種類のカレーをひとつのお皿で楽しめる「２種盛り」。メニューによって具材が変わるのはもちろん、使われるスパイスの種類や配合も全て異なるため、食べ比べを楽しめます。
今回いただいたのは、「カレー２種盛り チキンマサラカレー／鱈とえびのイエローカレー」（1,150円）。
お皿の左側はオープン当初からある「チキンマサラカレー」です。14種類のスパイスを使用したインドカレーで、しょうがやヨーグルト、トマトなども使われており、ヘルシーな味わいに仕上がっています。
お皿の右側は、時期によって変わる週末限定メニューの「鱈とえびのイエローカレー」。タイカレーがベースのイエローカレーに、色とりどりの野菜がたくさん入っています。スパイスの風味をしっかり感じながらも、辛すぎずやさしい味わいで、鱈とえびの風味が引き立ちます。
ドリンクは、カレーとともにお店の代名詞となっている「チャイ」（400円）、そして「マンゴーラッシー」（400円）をいただきました。チャイは日本人の口に合うマイルドな味ながらも、しっかりとスパイスの香りを楽しめます。ひんやりと冷たいマンゴーラッシーはスパイシーなカレーと相性抜群。ドリンクに使われている牛乳も東京産です。
「『カレーは毎日食べるにはちょっと......』と言う方もいますが、うちのカレーは小麦粉を使わず、油もひかえめにしていて、体に優しい仕上がりになっています。毎日食べても飽きないカレーをめざしています」と語る神野さん。
店主の探求心と遊び心あふれる自由な発想が、たくさんのお客さまから支持されるカレーの「隠し味」になっているのかもしれません。
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