自然と共生する新しい文化複合施設が誕生

2020年11月にグランドオープンした「ところざわサクラタウン」は、緑豊かな地から最先端の文化と産業を生み出して発信するというKADOKAWAと所沢市の共同プロジェクト「COOL JAPAN FOREST構想」の拠点となっています。その中でも注目を集めているのが、今回ご紹介する文化複合施設の「角川武蔵野ミュージアム」。編集工学者の松岡正剛さんが館長を務めています。
ミュージアムの建物は世界的建築家の隈研吾さんのデザインによるもの。隈さんの作品といえば国立競技場をはじめ、木材を生かした和のデザインが印象的ですが、今回はそびえ立つ多面体の石の建築です。「武蔵野台地の古代の火山堆積物が地表に割り出てくるイメージを建築化されたそうです」と広報担当の齋藤さんが教えてくれます。

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外壁には現代美術家の鴻池朋子さんの作品「武蔵野皮トンビ」が展示されています。間近に見られる巨大な作品は迫力満点。こちらは《コロナ時代のアマビエ》プロジェクトの第2弾。コロナ禍の今、人々が求めている未来に向けたイメージを6名のアーティストがそれぞれの解釈で作品として表現していく企画展で、館内には第1弾の会田誠さんの作品も展示されています。また2021331日からは第3弾となる川島秀明さんの《SHI》が展示されます。

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図書・美術・博物の融合!本が作る街「エディットタウン」と迫力の「本棚劇場」

早速中に入り、広々とした2階のエントランスを抜け、まずは4階の「エディットタウン」へ。

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一般的な図書館は「哲学」「歴史」「絵本」など本の種類ごとに分類されていますが、こちらは「記憶の森へ」「日本の正体」「仕事も暮しも」など、この世界を読み解くための「9つの文脈」に沿って分類されています。松岡正剛さん率いる選書チームが豊かな連想によりセレクトした約2万5千冊が立ち並ぶ本棚は、建物と同じく隈研吾さんによるデザイン。複雑に入り組んだ構造で、人間の脳内をイメージしているのだとか。

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本はブックストリート内であればどこで読んでもOK。気になる本を見つけたら書棚付近の椅子に腰掛け、自由に読書を楽しめます。

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ブックストリートの中ほどにあるのは、博物学者・作家・妖怪研究家など幅広く活動されている荒俣宏さんが監修する「荒俣ワンダー秘宝館」。荒俣さんが世界から集めた標本や模型など、さまざまな珍品が並びます。

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ブックストリートを抜けた奥に向かうと、天井までそびえ立つ高さ8メートルの本棚が圧巻の「本棚劇場」が登場。KADOKAWAゆかりの作家・学者たちの蔵書を中心に、3万冊の書籍が収められています。ここでは本棚を利用したプロジェクションマッピングも定期的に開催されています。2020年のNHK紅白歌合戦では「YOASOBI」のパフォーマンスでも使用され、大きな話題となりました。

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武蔵野地域を読み解く「武蔵野ギャラリー」&「武蔵野回廊」

続いて「本棚劇場」の奥にある階段を登り、5階の「武蔵野ギャラリー」へ。武蔵野の土地や文化、歴史を学び、武蔵野地域を読み解いていく「武蔵野三万年ことはじめ」が2021年10月31日(日)まで開催。武蔵野地域に残る巨人伝説「ダイダラボッチ」をARで武蔵野地形図の上に再現したコーナーも。山を持ち運んだり、その山にもたれて休憩をしたりと、かわいらしい巨人の動きを眺めることができますよ。

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ギャラリーの奥には広々と開放的な図書スペース「武蔵野回廊」があります。こちらは本棚とソファが整然と並べられており、「エディットタウン」の図書館とは一転して落ち着きのある空間。「武蔵野学」の提唱者で民俗学者の赤坂憲雄さんが選んだ250冊と解説書でさらに武蔵野の土地・文化を深掘りできます。

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多様な食と文化を味わう「SACULA DINER

ミュージアムに来たらぜひ訪れて欲しいのが、「武蔵野回廊」を抜けた先にある館内のメインレストランの「SACULA DINER(サクラダイナー)」。支配人の宮島さんによると「文化の発信地という意味で『CULTURE』の3文字を取って、SAKURAではなくSA"CUL"Aと名付けました」。

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高い天井とシンプルな内装の明るい空間に、長く連なるテーブルは海外のダイナースタイルをイメージして作られたのだそう。壁には新進気鋭のアーティストたちが描いた作品が並びます。モノトーンをベースに、桜色をアクセントにしたアート作品もぜひ注目していただきたいポイントです。

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使用する食材のほとんどは所沢を中心とした埼玉県産。「武蔵野ギャラリー」で武蔵野地域について学んだ後に地産地消の料理を味わえるのも魅力的です。

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こちらは限定30食のワンプレートランチ「埼玉県産倭国三元豚武蔵肩ロースのグリエ 越生梅味噌とシソ梅酢と蓬(よもぎ)で春らしく」(サラダ・ポテトフリット付き¥1,700)。柔らかくジューシーな三元豚を梅と蓬の風味が爽やかなソースでいただきます。

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「ナンプラーでリングイネ 春の菜の花とふきのとう、桃太郎トマト 彩のどじょうを泳がせて」(¥1,300)はパスタに大盛りの野菜サラダがついたボリューム満点のセット。サラダはにんじんの葉など、普段なら捨ててしまう部分も食材として活かされたサスティナブルな一品です。

「マンガ・ラノベ図書館」は絵本も充実

お腹を満たした後は、1階と中2階にまたがる「マンガ・ラノベ図書館」に向かいます。KADOKAWAグループのライトノベルがほぼ全て網羅されているほか、漫画や児童書・絵本など合計25千冊がずらり。たくさんのソファ席もあり、お子さまものびのびと楽しめる空間です。

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ミュージアムの憩いの場「角カフェ」でオリジナルスイーツを楽しむ

ミュージアムをぐるりと堪能したら、2階エントランス付近の「角カフェ」に。

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さつまいもと白玉を混ぜて揚げたオリジナルスイーツ「オイモボール」を使った「おいモンブラン」(¥700)とアイスラテ(¥600)が人気のメニュー。オイモボールの熱々のモチモチ食感とひんやりとしたバニラアイスが相性抜群です。

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「角カフェ」店長の渡邊さんにお話を伺うと、「ここはミュージアムの中でも特に開放感があり、休憩におすすめです。小さなお子さまがいらっしゃるご家庭など、なかなか都心まで遊びに行きにくい方にも目新しいスイーツを楽しんでいただけるよう、チャレンジをしていきたいと思っています」。

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図書、美術、博物、そして食と、所沢から新しい文化を発信していく「角川武蔵野ミュージアム」。こどももおとなも好奇心と知識欲を刺激されるスポットです。ぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか?

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