自然豊かな森を残していくために

東京都と埼玉県にまたがる狭山丘陵は、映画『となりのトトロ』の舞台となった場所のひとつと言われています。約3,000haにもわたる丘陵地には、緑が広がり多くの植物やいきものが生息しています。そんな自然豊かな景色を守っていくために、寄付金を募って森を買い取る「ナショナル・トラスト活動」を行っているのが、「クロスケの家」に事務局を置く「公益財団法人トトロのふるさと基金」。買い取った森は「トトロの森」と名付けられ、狭山丘陵とその周辺に大小さまざまな「トトロの森」が60カ所あります(20232月現在)。

今回訪れた「クロスケの家」は、トトロのふるさと基金が活動拠点として取得し、維持している施設。狭山丘陵の保全活動と里山文化の発信を目的に一般公開を行っています。クロスケの家にある「母屋」「蔵」「茶工場」は、国の登録有形文化財に登録され、里山で暮らしていた当時の人たちの知恵や文化を感じることができます。

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施設内でいくつ見つけられるかな?

「クロスケの家」という名前の由来は、『となりのトトロ』に出てくるキャラクター「まっくろくろすけ」が出てきそうな建物だから。ボランティアの方々の手によって施設内の至るところにキャラクターにちなんだ装飾が施されており、まるで映画の世界に入り込んだようです。こども連れの家族や海外のジブリファンにも人気の施設となっています。

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そんなクロスケの家には、「母屋」「蔵」「茶工場」「井戸」「お稲荷さん」などの見どころがありますが、今回はその中から、国の登録有形文化財に指定されている3つの建物を紹介します。

森を守る活動と植物のおもしろさを学ぶ

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事務局の花澤さんにご案内いただき、まずはトトロの家紋と白い壁面が特徴的な蔵に足を踏み入れます。ここではトトロのふるさと基金が行う森の保全活動についての展示を行っています。

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壁に設置された引き出しを開けると、トトロの森で見つけることができる木の実がたくさん入っていました。「トトロの森に生息する植物たちについて知る機会にしてほしい」と花澤さんが話すように、植物の多様性やおもしろさを感じることができます。

養蚕からお茶づくりへ、生業が変わる変遷を見る

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奥にある茶工場は、明治35年(1902年)に建てられた養蚕用の蚕室が、昭和25年(1950年)ごろに茶工場へと増築されたもの。生業の変遷が建物の構造から読み取れる貴重な建物です。クラフト体験や手もみ茶づくりなどのイベントを開催することもあるので、ぜひWebサイトで情報をチェックしてみてください。

当時の暮らしを感じる、趣のある農民屋敷

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母屋は明治35年(1902年)ごろに埼玉県入間郡越生町で築造され、昭和32年(1957年)にこの場所へ移築されました。昔の農家屋敷そのもので、「田の字造り」という部屋を障子で4つに仕切った造りになっています。靴を脱いで室内に上がることもでき、気候のいいときは縁側が憩いの場になるのだそう。

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©Studio Ghibli

母屋の1階では、トトロファンドグッズも販売しています。宮崎駿監督やスタジオジブリのアニメーターの方が描いてくださったイラストを使ったオリジナル商品で、ここでしか買えない缶バッジや、森の植物が描かれたポストカードが人気だそう。グッズの収益金は全て森の保全費用に充てられています。

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母屋の2階にはトトロの森に関する展示があります。トトロの森の保全活動にはボランティアやサポーターとして参加することができるので、気になった方は問い合わせてみてくださいね。

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また、母屋の裏手には大きな井戸があります。この井戸は触れるだけでなく、実際に手押しポンプで水を汲むこともできます! 上手に水を出すにはコツがいるようなので、チャレンジしたい方はスタッフの方に相談してみてください。

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「クロスケの家」から最も近いトトロの森へは徒歩15分ほど。「クロスケの家」でトトロの森について学んだ後は、マップを見ながら実際に森を散策するのもおすすめです。歴史ある建造物と美しい自然を見に、ぜひ訪れてみてください。

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