好みを選べる5種類の麺で客をもてなす

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行列に20分ほど並び、店舗兼自宅の入り口に掲げられた白いのれんをくぐって店内へ

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テレビや雑誌などのメディアにもたびたび取り上げられる「自家製うどん うどきち」。その人気の理由は、他店では味わうことのできないこだわりの麺にあります。うどん4種と中華麺1種が定番としてラインナップされ、メニューを注文する際に好みの麺を選べる仕組みです。

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店主の倉田将昭さんが話すには、よりおいしくて食感の良い麺を求めるうち、当初「もち麺」のみだったうどんはいつしか4種類になったのだそう。武蔵野うどんらしいしっかりとした歯ごたえと小麦の香りを強めた「田舎麺」に、店の代名詞にもなっている「ウルトラもち麺」、とにかく硬い麺が好きというファンのために開発した「ハナマンテン麺」。強力粉の中でもひときわ力強い食感を出せるハナマンテンを使っており、「富士吉田の『吉田のうどん』に負けないくらいの歯ごたえがあって、これが結構人気なんですよ」とのこと。うどんだけでは飽き足らず、中華麺まで作っています。

評判の「ウルトラもち麺」。吸い付くような柔らかさとコシは唯一無二

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まずは看板メニューの「肉汁うどん 並」(890円)を「ウルトラもち麺」で注文。瀬戸内産の煮干と利尻昆布をベースに、カツオ節やサバ節などを加えた化学調味調無添加の出汁がつゆの味を引き立てます。具材は豚バラと素揚げした長ネギ。豚バラを出汁で別茹ですることで雑味のない味わいに仕上がっています。長ネギを素揚げする理由は、甘味を出してネギ臭さを消すため。「こうすればネギ嫌いの方でもペロリなんですよ」と倉田さん。

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箸で持ち上げただけでは一般的なうどんと変わらないようですが、「ウルトラもち麺」のふんわりモチっと吸い付くような麺肌と、その内側でしっかりと主張するコシにびっくり。
「使っているのは青森県奥入瀬の『もち姫』という粉です。デンプンの一種であるアミロースの含有率がとても低く、ふわふわに仕上がる特徴があり、しっかりとコシが出るように麺生地を1000層以上重ねて圧をかけています」。こんな食感のうどん、今まで食べた記憶がありません。

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続いて注文したのは「カレー肉汁うどん 並」(990円)を「もち麺」で。つるつるとした食感の麺に和の出汁の効いたカレー汁がしっとり絡み、フルーティーな余韻が残ります。聞けば「トマトや梨で軽やかな酸味を持たせている」とのこと。角切りフライドポテトの香ばしさが味の輪郭を引き締め、後を引きます。

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カレー肉汁の味付けには、都内の某有名店でも使用している「インデラ・カレー」を使用。爽やかな風味と程よい辛さが特徴で、「タマネギを飴色になるまで炒めてから、フルーツと一緒にこのカレー粉を煮込みます」と、味づくりに関しては一切妥協しないのがポリシー。

長年の夢を叶えるため脱サラして念願のうどん店を創業

「飲食店をやりたいっていう夢はあったんですけど、大学まで出させてもらった親に『食べ物屋をやりたい』と言い出せなくて、サラリーマンになりました。3年ほどで辞めようと決めていたんですが、仕事が面白くて、随分と長く勤めましたね」と、苦笑いしながら語る倉田さん。若い頃から食への関心が人一倍強く、地方出張の際には現地の人気店を食べ歩くのが楽しみだったそう。

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会社勤めに区切りをつけ、念願のうどん店を開いたのが2013年。全国から小麦粉を取り寄せては自宅で麺を試作し、約半年かけてベースとなる「もち麺」を完成させました。
「小麦の香り、クセになるモチモチの弾力性、口に残るわずかな塩気。あちこち食べ歩いた末に導き出した"うまいうどん"を形にするために、来る日も来る日も家で麺を打っていました」。

愚直にうどんを作り続けて9年。言葉の端々から感じるうどん愛

3時間弱の営業中、倉田さんは奥さんと2人で厨房を担当します。営業後の片付けが終わる15時過ぎ、休憩もそこそこに翌日分の仕込みや製麺作業を開始。仕込みが疎かになってはいけないからと、現在は週休3日にしています。

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20年以上務めた会社を辞めて店を開きましたが、最初の1年はファンが定着せず、売り上げが思うように伸びませんでした。持ち前の"食への探求心"と"ものづくりへの貪欲さ"で、「もっとおいしいうどんを作れるようになってみせる」と続けてきた倉田さん。たまにある弟子入り志願はすべて断ってきました。「営業と仕込みで手一杯ですから。麺を5種類も作るなんて愚かなことをしているもんで、人に教えている時間なんてないですよ」と冗談交じりに話します。

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硬い麺生地を扱っているうちに太くなっていったという指をさすりながらのインタビュー。その指から生み出される唯一無二のうどんの味を思い返すたび、「人に教える暇なんてない」という言葉の裏にあるうどん愛と揺るぎない自信を感じました。

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