高校の修学旅行で食べた本場の讃岐うどんの味を求めて

udon_1.jpg2004年にオープンした「野口製麺所」。開店当初は讃岐うどんの製麺所として麺のみを販売していたが、こんな住宅街にあるお店でもわざわざ購入しに来るお客さんを見て、開店1年後から讃岐うどんを提供するお店となり、現在に至る。

きっかけは高校の修学旅行で食べた本場の讃岐うどんだった。とにかくダシがおいしかった記憶がある。その後30代となりサラリーマンとして働いていた時に、再び香川を訪れる機会があり、「やっぱりこの味だ!」とまたしても衝撃を受けた。1年間現地で修行をし、時間を見つけては食べ歩いた店舗数、およそ200軒以上。本場の味をとにかく自身の中に取り込んだ。

2.jpg「野口製麺所」では特に材料にこだわっている。讃岐うどんに使う小麦粉や醤油は香川から、卵は栄養価の高い鶏卵を所沢にある養鶏所から取り寄せている。この卵をフワフワに溶いた「釜玉うどん」は定番の人気メニューだ。お好みで薬味と醤油をかけていただくと、しっかりとコシのある麺に卵が絡み、口の中いっぱいにまろやかな旨みが広がる。

3.jpg讃岐うどんのお店で定番のおでんは年中提供している。

地産地消、顔が見える安心感

4.jpg讃岐うどんを中心に提供しているが、地元の名物も忘れてはいない。武蔵野地域に伝わる"武蔵野うどん"スタイルの「東村山地粉肉汁うどん」もお店で人気のメニューだ。ここでも間野さんは材料にこだわり、まずは東村山で小麦を作っている農家探しから始めた。うどんの小麦粉は東村山の地粉を使い、野菜は地元農家から仕入れ、地産地消を実現しながら顔が見える安心感を大切にしている。

そんな「東村山地粉肉汁うどん」は、麺はしっかりとした小麦粉の味が感じられる。熱々のつけ汁に入っている豚肉や地元野菜にはかつおダシの味が染みていて、いつ食べても飽きないおいしさである。

5.jpg「野口製麺所」は年中を通してうどんだけで約20種類のメニューがある。
その中でもこれからの時期、暖かくなると食べたくなる「スタミナぶっかけ」が人気だ。讃岐うどんの上に、卵黄、山芋、小淵浜三陸わかめ、辛味噌、納豆、ネギや生姜などの薬味がのっており、一気に混ぜていただく。食欲がない暑い日もこれなら食べられそうだ。

6.jpgこの他にも天ぷらやおでん、またデザートにぴったりな「たまごたっぷりプリン」(200円)など、食べてみたいメニューが目白押しである。

原点回帰がおいしさの秘密

7.jpg間野さんが惚れた讃岐うどんは、小麦粉、塩、水といったシンプルな材料に、透明なダシ。材料は同じなのに、お店ごとで味が違うのが魅力的だと語る。
そんなお店の味がブレていないか、原点回帰の意味も込めて、今でもときどき香川へ行っては自身の舌を調整する。その姿勢が「野口製麺所」のブレない味となり、お客さんを惹きつけているのだろう。

8.jpg所沢の養鶏場から仕入れている鶏卵は店頭で購入することも可能。

開店してからこれまで、特に宣伝活動をすることもなく、人から人への口コミでお客さんが遠方からも来るようになった。平日はサラリーマンや近所の方が多く、休日は市外や県外など遠方から来る方も。多くのお客さまからこのお店が愛されていることが伺える。

9.jpg間野さんが惚れた本場の讃岐うどんの味を軸に、地元食材を使った安心メニューで、真摯にうどんに向き合ってきた姿勢が、お店の魅力としてお客さまにも伝わっていることがわかる。これからも間野さんが感じる"おいしさ"を信じて、変わらぬ味で私たちを楽しませてほしいと思う。

※価格等の情報は取材当時のものです。最新の情報は店舗でご確認ください。