大手パンメーカーでの商品開発を経てパンづくりの道に

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オーナーの内野宏子さんがパンづくりを始めたきっかけは、大手パンメーカーへの就職にある。事務業務に従事するものだと考えていたが、配属先は商品開発部。よりおいしいパンをつくるため切磋琢磨していくなかで、工場でつくられるものには限界があることを実感し、「納得のできるパンを自身でつくりたい」と考えるようになる。
パンメーカーに7年間勤務してから数年後、ともに働いていた同僚がパン屋さんを開業したことがきっかけで、パンづくりの手伝いをするように。8年ほどパン屋さんに勤務したのち、開業を決意。2009年、ご実家のお隣に手づくりパンの店「Lachen(ラッヘン)」を建てた。「高齢の方にも足を運んでほしい」というオーナーの想いから、入り口にはスロープが作られている。

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低温長時間発酵とスイスの伝統的製法でつくる自慢のパン

「おいしいパンを、地域の皆さんに提供したい」という思いで開業した内野オーナーは、「アクセスが良い場所ではないからこそこだわってパンをつくらないと、アクセスの良いパン屋さんで済まされてしまうと思う」と語る。
いかにおいしいパンをつくるか。大手パンメーカーでの商品開発からかなりの年月をパンと向き合ってきた内野さんはパンづくりに一切の妥協を許さず、「具材づくりは別のスタッフにお願いしていて、カレーパンのカレー、クリームパンのクリームなど、できる限り自家製にこだわっている」とのこと。

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店内には、こだわりのパン約50種類が勢ぞろい。おかずパンも甘いパンも種類が豊富なので、どの年代のお客さまにも喜んでいただける。

同店のパンの特長は、「低温長時間発酵」と「スイスの伝統的製法」にある。
‐2℃で1日~2日じっくりと発酵させることによってパンのうまみが増し、日持ちが良く風味豊かに仕上がるのだそう。また、サワー種とへーベル種を併用するスイスの伝統製法を用いることにより、スイスパン独自の味わいが生まれる。

こだわりのパンの中でもイチオシなのは、「ツォップ」と「カランツライ」。どちらもスイス製パン法でつくった逸品だ。
「ツォップ」はドイツ語で「(女性の)編んだ髪」を意味し、美しく編み込んだその形状が特徴。もっちりとしていて風味豊かで、一口食べると止まらなくなる。翌日もそのおいしさは変わらないのが魅力だ。
「カランツライ」は、カランツ(小粒の干しぶどう)がたっぷり入ったライ麦パン。カランツの酸味と甘みが絶妙で、ライ麦との相性はバツグン。うすくスライスして売られているので、小腹がすいたときに食べるのにぴったりだ。

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「ツォップ」(大・5本編み、270円)。牛乳・バター・卵たっぷりのスイスの代表的なパンは、もっちもちの食感で絶品。

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「カランツライ」(1/2本、243円)。小粒の干しぶどう・カランツがたっぷり入っているライ麦パンは、おやつにぴったり。

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こどもに喜ばれるパンも種類が豊富。なかでも、カスタード・チョコ・イチゴジャム・クリームチーズの4種類が楽しめる「うちの四兄弟」(210円)は人気商品のひとつ。

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選ぶのも楽しい予約制のキャラクターパン・アニマルパン各種(129円)は、お子さまに喜ばれること必至。

駅から20分歩く価値、大いにアリ!

取材当日は快晴の夏日。酷暑のなか、駅から20分歩くのはたやすくない。しかし、実際にパンをいただいてみて、「このパンなら駅から20分歩いてでも食べたい!」と実感した。暑いから近くのパン屋さんで済まそう、という発想には決してさせないほど、とにかくおいしい。
オーナーが「アクセスが良い場所ではないからこそ、こだわってパンをつくらないと」とおっしゃっていたのを思い出す。わざわざ足を運んででも食べたくなる魅力が、「Lachen」のパンにはある。

店名の「Lachen」は、ドイツ語で「笑う」を意味する。「笑っている人を見ると、私も幸せな気持ちになれるので」と内野さん。笑顔が素敵なオーナーにぴったりの「一笑懸命」という四字熟語が店内に飾られていた。
一笑懸命につくられたパンが、お客さまを笑顔にする。「Lachen」において、この笑顔のループは、これからも末永く続いていくことだろう。

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※価格はすべて税込
※営業時間、販売商品、価格等が変更になる場合がございます。
※写真、記事内容は取材時(2019年8月2日)のものになります。