オーナーの矢内さんが切り盛りするLEATHER工房YANAIは、革製品のオーダーメイドやリペアを手がける工房。
2019年4月、初心者から学ぶことができるレザークラフト教室をスタートし、すでに都心や神奈川からも生徒さんが集まっているそう。
工房奥の秘密基地みたいな教室で、さっそく、体験スタートです。
作るものは、コインケース、カード入れ、ペンケースから選ぶことができます。新福さんは「最近はキャッシュレスで、カード類を持ち歩くことが多いから」と、カード入れを選択。続いて、革の色を選びます。
ここから、いよいよカード入れを作っていきます。主な工程は「型取り・裁断」「穴あけ」「縫製」「仕上げ」です。
まずは型取り。型紙を革に当てて、しっかりと手で押さえ、ペンで縁取りをします。蓋を留めるホックの穴にも、印をつけるのを忘れずに。
今度は裁断。きれいにカットできるかどうかで、仕上がりの美しさに大きく影響するそう。断面がガタガタにならないよう、定規にカッターをしっかりと当てて裁っていきます。カーブの部分には、円形の定規を使います。
ここで、ホックを打ちます。まず、ホックを取り付ける穴をあけ、穴にホックをセット。ホック打ちを使って、木槌でコンコンと打ちつけて固定します。「蓋側のホックは、最後につけるからね」(矢内さん)。
2つの生地パーツをボンドで貼り合わせると...カード入れらしくなってきました!
次は、縫い穴を空ける工程です。革は固いので、手縫いをする場合、針を通す穴を先にあけておきます。ちなみに、LEATHER工房YANAIでは、最初はミシンを使わず、手縫いを覚えるのがポリシーなのだそう。
「ミシンのほうが楽だけど、ひと針ひと針、自分の手で縫うと、思い入れが違うでしょ。手縫いのほうが丈夫だしね」(矢内さん)
最初に、ディバイダーというコンパスのような道具を使って、縁から3mmのところに、穴をあけるラインを引きます。
ラインに沿って、「菱目打ち」というフォークのような道具を刺して、穴をあけていきます。
次は縫製。縫い糸の準備から。使うのは麻糸で、好きな色を選びます。新福さんは、いくつかの色にカード入れを当ててみて、紺色によく映える黄色の糸を選びました。
糸は、縫うところの長さの約4倍とります。革は2本の針を使って縫うため、布を縫うより、多めの糸が必要なのです。
さらに、糸の強度を高めるため「蝋引き」を行います。糸のゆるみや毛羽立ちも抑えることができるそう。
糸の両端に針を取り付けます。ここでも布を縫うときとは異なり、まず、針の穴に糸を通し、通した糸の真ん中あたりに針を刺すことを2回繰り返して、糸の先端を引っ張ります。これで、針から糸が抜けなくなります。
縫い糸の準備ができたら、2本の針を使った縫い方のレクチャーを受けます。革の表から、裏から、一つの穴に2本の針を通し、縫い目ごとに糸をクッと締めます。「糸を引っ張る方向に気をつけて。表の縫い目が斜めになっていれば正解」と矢内さん。手順を覚えたら、ひたすら縫うのみ。
「裁縫は中学のとき以来」と不安そうだった新福さん。いざ縫い始めると、鮮やかな手つき!
「うん、きれいに縫えてるね!」と、矢内さんもニッコリ。
縫い終わったら、仕上げの作業。革の切り口「コバ」の処理です。革の繊維があらわになっているところを磨いて、滑らかにします。「コバ磨きは、革職人の腕とこだわりが現れるんですよ」と矢内さん。
新福さんは、コバに磨き剤を塗り、スリッカーという磨き道具を使って、せっせと磨きます。
「このくらいですか?」(新福さん)
「まだまだ。コバ磨きは根気がいるんだよ(笑)」(矢内さん)
ツルツルした手触りになるまで磨き上げたらOK。
そして最後に、蓋のホックを装着。2時間ちょっとで、カード入れが完成しました!
「革製品は手入れ次第で一生使えて、しかも風合いが増していくから、大切に使うといいよ」矢内さんの言葉に、「一生使います!」と新福さん。
ハウスメーカー勤務を経て、革職人になった矢内さん。子どもの頃に父親の影響で西部劇映画をよく観ていて、カウボーイファッションへの憧れから、革好きになったそう。
「自分で作ると、愛着が湧きますよね。とくに革好きな人は、1つ作ると、あれもこれも作りたくなっちゃう(笑)。初めての方も気軽にいらしてください」と矢内さん。
LEATHER工房YANAIでは、生徒さんのレベルに合わせて、お財布やトートバックなど作りたいものを手作りできます。革に彫刻で模様を描く「カービング」を学ぶことができるのも、こちらの教室ならでは。一生ものの愛用品を手作りする楽しさを、みなさんもぜひ体験してみてくださいね。
さて、体験を終えて外に出ると、一風変わった自販機を発見!なんと、革小物を販売しています。
早速、コインケースを購入してみると、瓶詰になって出てきました。聞けば、工房で出た端切れで作ったものを販売しているのだとか。プレゼントにも良さそうです。
矢内さんの遊び心にほっこりしながら、帰り路につきました。
※体験の内容は変更となる場合がございます。
気分は革職人♪西所沢「LEATHER工房 YANAI」でレザークラフトを体験!
季節は梅雨。雨に降りこめられる日は、アトリエにこもってモノづくりを楽しんでみませんか?
今回は、都内のカフェでバリスタとして働く新福さんがレザークラフトを体験。やって来たのは、池袋線「西所沢駅」から徒歩4分、「LEATHER工房YANAI」です。
取材日:2019年6月5日