おいしさを更新中。やみつきになる低温熟成パン

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上石神井駅のロータリーを抜けて庚申通りを少し歩くと、「藤ノ木パン」はあります。創業は1957年。初代のお父さまの跡を継ぎ、現在は二代目の下田眞弘さんが代表を務めています。
店内に並ぶパンは、小麦粉やライ麦を発酵させた自家製酵母と、酒粕などを発酵させたホシノ天然酵母を使って作られています。毎朝5時からパン作りはスタート。前日からじっくりと生地を寝かせ、低温熟成で旨味を最大限に引き出したパンは感動的な味です。
さまざまな種類のパンがありますが、どれももっちり・しっとりとした食感と、旨味をしっかり感じる味わい深さが特徴的。そのおいしさにファンが多く、週末は行列ができるほどです。

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そんな「藤ノ木パン」ですが、今の人気が出るまでには紆余曲折あったのだそう。
「もともと私は大学を卒業してから、証券会社へ勤めていました。パン屋の息子として育ちましたが、パンのことは全くやってこなくて。その後、29歳で会社を辞め、30歳からパンの修行を始めました」と、代表の下田さん。

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パン作りの学校へ通い、複数のパン屋さんで修行した後、いよいよ「藤ノ木パン」で腕をふるいます。
「実家に戻り、最初の10年ぐらいは良かったのですが、その後なかなか売れない時期が訪れました。そのときに参加したパンの勉強会が再起のきっかけです。そこでは有名ベーカリーのシェフたちが集まっていて、みなさんパンのレシピや店内の陳列のコツ、経営のノウハウなど、出し惜しみせず共有し合っていました。うちでイーストの香りがする昔ながらのパンから、低温熟成のパンへと変えたのはその頃から。教えてもらったことを実践するうちに少しずつ売り上げが伸び、今のスタイルの『藤ノ木パン』に成長できたので、教えてくださった方々には本当に感謝しています」
現在も勉強会は行われていて、週2回ほど仲の良いベーカリーのシェフが集まり、パンのおいしさを追求し続けているそうです。

一番人気のカレーパンは中身にこだわりが

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お店で一番人気を誇る「カレーパン」(259円)は、なんと週末には200300個も売れるそう。人気の秘密は、パン生地はもちろんパンの中に入っているカレーにあります。銀座にあるカレーの名店「ナイルレストラン」のために調合したというスパイスを使うことで、香り高いカレーが完成。揚げたては特に絶品です!

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種類豊富なコッペパンサンドは、店長やスタッフが開発に力を注いでいる商品。写真はオニオンマヨネーズソースがかかった「サーモンフライ」(356円)です。スイーツ系から惣菜系まで常時10種類ほどが用意されており、季節によって味が変わるので、選ぶのが楽しみになりそう。
注文してから作ってもらえるコッペパンも人気です。大粒ピーナッツやごろごろイチゴジャム、黒豆きな粉クリームなどのフィリングから選ぶことができ、1種類の場合は「シングル」(172円)、2種類の場合は「ダブル」(216円)を注文します。

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お店に並ぶパンは常時6070種類。湯だね仕込みのもちもちの「食パン」(6枚切・345円)やベストセラーの「塩バターパン」(172円)、肉入りポテトコロッケが入った食べごたえのある「コロッケパン」(237円)、「角切りベーコン彩野菜のキッシュ」(432円)など、絶品のパンが揃います。選んでいる最中にも次々と焼きたてのパンが陳列されていくので、ワクワク感が止まりません。

支えてくれた方々に恩返しできるパン屋をめざす

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上石神井に店を構えて60年以上が経つため、親子三代続けて買いに来ているというお客さまも少なくないそうです。
「全国的には有名ではないかもしれませんが、『どこよりも藤ノ木パンがおいしい』と地元の方が喜んでくださると、やっていて良かったと思います。地元の方々に支えられ、また勉強会ではさまざまなベーカリーの方にお世話になったので、これからは自分たちが恩をお返ししていきたいと思っています」と下田さん。

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パン職人の仲間たち、そして地元の方々との関わりを大切にしている「藤ノ木パン」。そんな温かで優しい気持ちもおいしいパンに込められているようです。上石神井へ訪れたら、進化し続けるおいしいパンをぜひ味わってみてください。

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