父の手伝いをきっかけにパン職人の道に
店長の芥川隆彦さんは、この道18年になるベテランだ。製パン会社出身で、近くの商店街でパン屋をやっていた父親の手伝いをきっかけに、パン作りに関わるようになった。
もともとものづくりが好きだった芥川さん。パンをつくり出した当初は、会社員としてデザイン系の業務に携わっていたが、顧客と直接関わることがないデザインの仕事より、お客さまと直に接することのできるパン屋の仕事に面白さを感じるようになったという。
7年後、パンを専業とする転機が訪れる。
「父の店が老朽化し、売りに出すことになったんです。そのタイミングで、『このマンションの店舗として入りませんか』というお話をいただいて」。
他店から一緒に働かないかという誘いもあったが、「これから先もやるからには、独立しよう」と、資金を調達して開業に至った。
自家製にこだわったカレーパン&プリンデニッシュ
メニューは平日で70種類ほど。店が入居するマンションの住人をはじめ、近隣の主婦たちが普段使いするため、女性客を意識した品揃えにしているという。土曜日には男性客も増えることから、その数は100種類近くにもなる。
「土曜日は調理パンがメイン。『カレーパン』(180円)が売れる数も、平日とは全然違います。カレーは自家製です。手間はかかりますが、おいしいパンをつくることが大事だと思っています」と芥川さん。
クリームパンのカスタードも、「プリンデニッシュ」(220円)のプリンも自家製だが、芥川さんにとっては特別なことではない。
「シンプルに『おいしいものをつくろう』と思えばいい。自分が食べたいもの、つくりたいものをつくることが、僕にとっては大事。それがお客さまに喜んでもらえることにつながっていると思います」
そんな芥川さんが特にこだわっているのは材料選びだ。食品メーカーの営業担当者に自分でサンプルを依頼し、持ってきてもらった材料の味は必ず自分で確かめる。納得いくものが手に入るまでは、交渉の手間を惜しまない。
「材料を業者任せにして、有り合わせのものでつくろうとすると、ただの辻褄合わせになるし、やる気がなくなっちゃう。それに自分が好きじゃないものをつくっても、お客さまはあまり喜ばないですよね」
そうして焼き上げられるパンはじわじわと浸透し、地元で普段使いしたいお店として人気を博している。
一度は食べてもらいたいイチ押しメニューの「ベーグル」
素材にこだわるパンのなかでも特に目を引くのが、3種類のチョコレートを贅沢に使用した「トリプルショコラ」(販売時期は不定期)。コーティングチョコとカッティングチョコ、さらに中にベルギー産の生チョコが入っている。
「ほかに人気があるのは、やはりメロンパンやカレーパンなど、定番商品ですね。今、力を入れているのが、ベーグル。これを目当てに店に来てくれる方が増えればいいなと思います」と芥川さんは話す。「ブルーベリー&クリームチーズのベーグル」(240円)など、ベーグルだけでも種類豊富だ。
「腕をもっと磨いて、ひとつひとついいものをつくりたい。目標としては、うちだけにしかない、オリジナリティーのあるパンがつくりたいです」。
夢に向かって全力投球の芥川さん。その向上心が衰えることはない。
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※写真、記事内容は取材時(2017年3月1日)のものです。