レトロな街並みに佇む英国式紅茶専門店
連雀町交差点から仲町交差点の間を結ぶ中央通り周辺は、ここ数年「川越昭和の街」として注目のスポット。昭和初期の建物が複数残っていることから、一番街の蔵造りの街並みとはまた違った趣のあるエリアです。今回尋ねたのは、「川越昭和の街」と「川越一番街」が交わる一角にある、グリーンのひさしが印象的な「川越紅茶館coeur a coeur」。入口には紅茶の自動販売機が設置されています。
レトロなカフェエプロンで出迎えてくれたのは、店主の吉田幸果(ゆきか)さん。ここはもともと、大正浪漫夢通りにあるコーヒー専門店「シマノコーヒー大正館」の2号店「紅茶浪漫館 シマ乃」として2002年にオープンしました。吉田さんはオープニングスタッフとしてウェイトレスを務め、半年ほどして店長に。以降、約20年間「紅茶浪漫館 シマ乃」の店長として店を切り盛りしてきたそうです。
前オーナーの意向により店を一旦閉めることになりましたが、ファンからの閉店を惜しむ声も多く寄せられ、吉田さんが独立して店を引き継ぐことを決意。2021年12月19日に閉店して翌日からは看板の掛け替え、床の磨き直しなどを行い、同年12月30日には「川越紅茶館coeur a coeur」として新たな歴史を刻み始めました。
閉店からリニューアルオープンまでわずか10日間というのが驚きですが、「20年近くやってきていましたし、メニューもすべて自分で作ってきたもの。だから何も変わっていないんです」と涼しい顔の吉田さん。そのバイタリティには驚かされます。
丁寧に淹れた紅茶のおいしさを再発見!
紅茶の世界は奥深く、リーフの種類やそれに合った淹れ方もさまざま。吉田さんが紅茶を学び始めた当初は、近くの図書館に通い、関連書籍を読み漁ったそう。
「イギリスの紅茶にまつわる歴史から始まり、勉強することは多かったですね。最近では和紅茶も広がってきていて、狭山紅茶もメニューに登場します。和紅茶の世界はイギリスの紅茶とは別物。これはこれで奥深いんですよ」と語る吉田さんの話ぶりには、紅茶への愛があふれています。
イギリス式のティータイムを楽しむなら、たっぷり2杯分のポット出しがおすすめ。店オリジナルの「クーラクーブレンドティー」(650円)をはじめ、ゴールデンダージリンやゴールデンアッサム、ウバ(各700円)など、さまざまな茶葉が用意されています。また、ハーブ入りやフレーバーティー(各800円)もポット出しに対応しており、約20種からチョイスできます。砂時計が落ちた後、カップに注ぐ前にスプーンで少しかき混ぜるのがおいしくいただくコツなのだとか。
茶葉をかき混ぜた後、紅茶をカップに注ぎます。カップの取手に垂直に置かれたスプーンも英国スタイルなのだそう。茶葉から淹れた紅茶の香りは格別です。
香り高い紅茶のお供におすすめなのは、さっくりとした自家製スコーン(1300円、お好きなドリンク付き)。ブルーベリージャムとクロテッドクリームをたっぷりつけて味わえば、英国式ティータイムが楽しめます。
幅広いメニューでもっと楽しむ紅茶の世界
もうひとつの人気紅茶は特製ロイヤルミルクティー(700円)。2杯分の茶葉を使って牛乳で煮出した、濃厚でリッチなミルクティーです。生クリームを乗せたりフロートにしたりとアレンジメニューも楽しめます。
紅茶ゼリー、ロイヤルミルクティーアイスに生クリームたっぷりの「紅茶のパフェ」(1700円、お好きなドリンク付き)やレトロ喫茶店の定番・クリームソーダ(700円)など、スイーツ系も充実。夏には紅茶のかき氷も登場するそうです。
紅茶と相性の良いサンドイッチセットはスープとお好きなドリンク付き(1200円)。
斬新なアイデアも取り入れ、紅茶の魅力を発信中
こちらは1杯分でも気軽にリーフティを楽しんでほしいという思いから、吉田さんが開発に携わった「茶鈴(ティーリン)」(4200円)。クリアな樹脂素材を使った手のひらサイズのティーポットです。自宅はもちろん、キャンプなどにも気軽に持っていける利便性に加え、お手入れも簡単。コロンとした可愛いフォルムも相まって大バズり! こちらは店頭や通販でも販売しています。
店内ではテーブルコーディネートや紅茶の教室なども開催。商工会議所が主催する「川越まちゼミ」でも、紅茶の歴史を学べて飲み比べもできる基礎講座などを行うなど、吉田さんの紅茶愛はとどまることを知らないようです。
普段何気なく飲んでいる紅茶も、その魅力に触れれば新たな発見がきっとあるはず。ぜひお店に足を運んでみてはいかがでしょうか。
※価格はすべて税込
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