江戸時代から愛される川越のさつま芋

220818-4teraa.jpg重厚な蔵造りの町並みが残る一番街商店街の一角に店を構えるのが、「甘味茶房かすが」。ここでは、さつま芋を使った料理や甘味が楽しめます。
江戸時代、川越は江戸の北の守りとして発展。新河岸川の舟運によって川越で採れる農産物などが江戸に運ばれました。なかでもさつま芋は江戸で大ヒットしたため、川越の名産として当時から親しまれてきたそうです。

220818-6teraa.jpg「今や川越は若者にも注目される観光地ですが、30年前の開業当時は、一番街に食べ物屋さんが3軒しかなかったんですよ」とオーナーの森田さんは話します。お店探しや素材づくりなどの面で地域の人々に助けられながら、クリームあんみつがメインの甘味専門店としてスタートした「甘味茶房かすが」。その後、一緒に始めた仲間たちと人気のご飯メニューを研究し、食事も提供するようになったそうです。

レトロな空間でいただくさつま芋グルメ

明治26年(西暦1893年)に建てられたという蔵造りの店舗は築120年以上。2年前に改築されていますが、内装の大きな梁や柱からはその年月が感じられます。

220818-23teraa.jpgなかでも江戸時代からの川越名物・芋そうめんが食べられるのは、川越でもここ「甘味茶房かすが」だけ。メニューには「冷やし中華風」や「トマト味」など、バラエティ豊かな芋そうめんがなら並びます。今回は、冷たいつけ汁で芋そうめんをいただくスタンダードな「いもづくし」(1,050円)を注文しました。

220818-37teraa.jpg芋そうめんのつなぎには、さつま芋が3割混ぜ込まれています。麺は淡いベージュ色で、通常のそうめんに比べるとコシが強く弾力があり、ほのかな甘味が口のなかに残ります。濃いめのつけ汁にツルツルの麺がよく合います。
「おいしいものは何でも付けてあげる」のだと話す森田さん。「いもづくし」には、爽やかな酸味と甘味のある自家製梅ジュースと、さつま芋の入ったミニぜんざいが付いてきます。

220818-42teraa.jpgそもそも芋そうめんは、「なにかツルッとしたものが食べたい」というお客さまの声に応えたもの。メニュー開発の相談に乗ってくれたご近所さんからのアイデアで、川越名物の芋そうめんを扱うことにしたそうです。「はじめは半信半疑だったけれど、うどんやそば屋が多いなか、めずらしい芋そうめんはヒットしてお店の看板メニューになりました」と森田さんは話します。

和の店内に映える自慢の甘味メニュー

店頭でも販売されている焼き団子(店頭持ち帰り1本150円/店内セットメニューは670円~)は、醤油を何度も焼きつけたしょっぱめの味つけ。

220818-35teraa.jpg「焼きた立てよりも少し時間をおいた方がおいしいんです」と森田さん。一口食べれば、東北産のお米の風味が鼻にぬけ、旨味が口に広がります。

220818-19teraa.jpg若者に人気の「いもあんみつパフェ」(720円)は、粗挽きの芋餡と生クリームがトッピングされており、スッキリした風味の寒天と合わさってちょうどいい甘さです。黒蜜をかけて味の変化を楽しむこともできます。

220818-30teraa.jpg「甘味茶房かすが」のこだわりは素材にあります。お米は東北から、寒天は横浜から取り寄せており、餡も専門の職人さんが作っているのだそう。各地の生産者さんや職人さんの協力のもと、川越を訪れる人の舌を楽しませています。

何度も訪れたくなる川越の人情店

凝ったメニューが多い一方で、「ここは観光地なので、1分1秒でも早く提供することが大切。お店での待ち時間を減らしたぶん、ひとつでも多くの場所を巡って見て帰ってほしい」と森田さん。茹で時間の短いそうめんを始め、長くても10分以内に提供することが信条なのだとか。

220818-22teraa.jpgもうひとつのこだわりは接客。「どんなに味がよくても、接客がよくなかったら気持ちよく観光できない。お客さまに『また来たい』と思ってもらえるようなお店にしたいです」と話します。

蔵の町・川越散策のひと休みに、人情味とあふれる「甘味茶房かすが」で、さつま芋グルメをぜひ味わってみてください。

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