kashichiは、創業以来230余年にわたり川越で和菓子をつくり続ける「亀屋(かめや)」の新しいブランド店舗として、2019年3月にオープン。その店舗の2階で、和菓子づくり体験を開催しています。
教えてくれるのは、亀屋の和菓子職人、浅見さん。体験するのは、小学1年生のはじめくんとパパの佐藤さん親子です。
作る和菓子は月替わりで、ふたりが今回挑戦するのは、「山茶花」と「唐錦」の2種類の練り切りです。
「和菓子にもいろいろな種類があって、練り切りというのは、白あんがベースのしっとりとした練り切りあんに、色をつけて、さまざまな形をつくる和菓子のことです。練り切りは四季折々の装いに仕立てることが多く、山茶花は冬の到来を告げる花。唐錦は、紅葉に染まりゆく秋の山をあらわしています」と先生。
机には、すでに色づけをした、色とりどりのあん玉が用意されています。
最初に「山茶花」をつくります。山茶花に使う白、ピンク、黄色のあんをトレイに取り分けながら「食べたーい!」とはじめくん。
まずは生地作り。ピンクのあんを手にとり、手の平でコロコロと丸めてから平らにします。ここに白いあんを貼り合わせて、ピンクと白のグラデーションにする「ぼかし」を入れます。
「ピンクの生地に白いあんをのせて、手の平で押して、平らにつぶしましょう」(先生)
はじめくんの方を見たパパは「つぶしすぎやん(笑)!」と思わずつっこみ。
「ちょっと平べったいけど、大丈夫ですよ!」と、先生が整えてくれました。
続いて、生地にあんを包む「包あん(ほうあん)」です。ここはちょっと、難しいところ。
「ピンクと白の生地に、黄色のあんをのせて左手に持ち、時計回りに回しながら、右手で生地を少しずつ上に持ち上げていきます。包めたら、今度は反対に回しながら生地をすぼめて、あんを閉じこめましょう」(先生)
パパとはじめくんは先生のお見本を見ながら、一生懸命に手を動かします。
「次は茶巾を使って、山茶花の形にしていきますよ」(先生)
生地を茶巾に包み、茶巾の上から生地の白いところを探し当て、そこに人差し指をくっと押しこみながら、茶巾をひねります。
茶巾を開くと、可憐な姿があらわれました。
ここから、仕上げの工程。細かな細工をしていきます。まずは、生地に「三角べら」を押し当てて筋を入れ、花びらにします。さらに、ふるいに黄色いあんを入れ、指で押し出して「しべ」をつくり、生地のくぼみにふんわりとのせます。
すると、ここでも「なめてもいい?」と、はじめくんの味見タイム。
次は、山茶花の葉。緑のあんを、片方をとがらせるように丸め、軽くつぶして葉の形にし、しべの横に添えます。最後に、三角ベラで葉脈をスッとつけたら、山茶花のできあがり!「あれ、はじめの山茶花のほうが、きれいだなぁ」とパパ。
お次は「唐錦」。緑、白、黄色の3つのねりきりあんを合わせた生地に、こしあんを包み、茶巾絞りで仕上げます。
ポイントは包あん。
「こしあんは茶色いので、透けると色が濁ってしまいます。透けないように、生地でしっかりと包みましょうね」と先生。
あんをきれいに包んだら、仕上げの茶巾絞りです。「てるてる坊主みたい!」とはしゃぐはじめくんと、「意外と難しい......」と奮闘するパパ。
茶巾を広げたら、紅葉に染まる唐錦のできあがり!「しわくちゃだぁ!」とはじめくん。
作った和菓子はその場でいただくことも、お持ち帰りもできます。ふたりはせっかくなので、出来立てをいただくことに。「あまーい、おいしーい!」いつもは和菓子を食べないというはじめくん、ペロリと完食!
「練り切りは基本的には白あんなので、味はみんな同じなんですよ。でも色や形が違うと、味まで変わる気がしますよね。それが和菓子のおもしろさ」と先生。
「今までは和菓子屋さんに行っても、買うのは大福やお団子ばかり。練り切りみたいな和菓子は目にも入らなかったけれど、今回つくって食べてみたら、ぐんと身近になりました。今度わが家でお客さんが来るときは、おもてなしに季節の練り切りを用意したいです」(パパ)
若い方たちにも和菓子に親しんでほしい。そんな想いで、kashichiでは和菓子づくり体験を始めたそうです。
「一度、自分でつくってみると、和菓子の見方が変わりますでしょ。これを機にぜひ、いろいろなお店の和菓子を食べてみてください。たとえば亀屋の和菓子は甘みが強めなんですが、和菓子屋さんによって、あんや生地の配合がちがうので、いろんな味があります。色々食べ比べて、お気に入りのお店、好きな和菓子を見つけると、楽しみが広がりますよ」と先生。
kasihichiの和菓子づくり体験は、土日祝日に開催。未就学児の小さいお子さまも、親子で参加できます。みなさんもぜひ、伝統が息づく川越で和菓子づくりを体験し、和菓子の楽しみを再発見してみてください!