店内に立ち込める香りは、まるでレストラン

閑静な住宅街を抜けて入間川を渡り、交通量の多い道路沿いを歩いていると、やがて「石窯パン工房 PANJA」と書かれた看板が目に飛び込んできます。趣のある木製の扉を開けると、まるでレストランのような豊かな香りに包まれました。平日のお昼前だというのに、店内はトレーとトングを手に夢中でパンを選ぶファミリーやカップルの姿がたくさん見られます。

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いつか仏子に戻って、町に根付いた仕事がしたかった

開放感がありながらどこか懐かしさも感じられる「PANJA」は、元は雀荘だった場所をリノベーションして開業しました。パンの販売だけでなく、2018年にはカフェもオープン。

「以前は放送作家を目指してテレビの制作会社に勤めていたのですが、実家の雀荘を手伝うことになり仏子に戻ってきたんです。そのうちに自分でも何かお店を始めたいという想いが強くなり、妻がパン屋に勤めていたこともあって、パンにまつわる仕事をしたいという想いが芽生えました」と話すのは大内啓さん。朗らかな笑顔が印象的な「PANJA」の店長です。

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業界のプロも尊敬するシェフに師事して独自の味を切り拓く

転身を決めた大内さんが最初に勤めたのはパン工場でした。そこでより本格的なパン作りに取り組みたいという意欲が湧き、単身で軽井沢の名店「銀亭(しろがねてい)」へ。ここで本格的な修業がスタートします。大内さんが今でも尊敬するパン作りの師匠は、東京・世田谷にある「シニフィアン・シニフィエ」の志賀勝栄シェフ。パン業界をリードし続け、トレンドを切り拓いてきた先駆者です。

「志賀シェフといえば、低温長時間発酵のパイオニア。生地を1日寝かせるオーバーナイト製法を、多い時は月に2回ほど、泊まり込みで教えていただきました。教わって作ったバゲットを初めて味わった瞬間は、あまりのおいしさに感動して泣きそうになりましたね。私が目指すパンは、昔も今も変わらずその味です」

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看板メニューのバゲットはしっとりと奥深い味わい

PANJA」の看板メニューであるバゲットは、志賀シェフから学んだ製法に独自の配合を加え、歯ごたえがありつつ、しっとり感も楽しめる独特な味わいに仕上がっています。「ゆっくりと低温で発酵させることで奥深い味わいが生まれます。水分を多く吸収させてしっとりさせるため、水は超硬水のコントレックスを使用。粉のブレンドにもこだわって、複雑な味わいのパンを目指しています」と大内さんは語ります。ある常連のお客さまは、月に一度神奈川県から訪れ、バゲットを30本購入して帰られるのだとか。

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自家製造にこだわった多品種・高品質のパン

取材の合間にもオープンキッチンから出来立ての商品が次々運ばれてきて、見ているだけでワクワクします。そんな「PANJA」のこだわりのひとつが「多品種」。いつ訪れても違うメニューが楽しめるようにと、定番商品以外にも人気の生クリーム食パン、サンドイッチなどの惣菜パンやパティシエが手がける菓子パンなど、実にさまざまな商品が並びます。店内には常時150種類以上のパンが並び、週末ともなるとその数はなんと200種類にものぼるのだとか。

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もうひとつのこだわりは、「パン屋さんのパンではなく、レストランの料理のようなパンを作ること」。惣菜パンに使われるソース類も自家製造で、8時間煮込んで作られたトマトソースは絶品。ツナもマグロを仕入れるところから行っています。「他店に比べると厨房は広い方だと思いますが、それでも足りないくらいなんですよ」と大内さん。

食材の質にこだわったサンドイッチは必食

お店イチオシのメニューを大内さんに伺いました。

「すべてがおすすめなので難しいですが、あえて言うなら、旬の食材を使ったサンドイッチ類はぜひ味わってほしいです。上質なカマンベールチーズを惜しみなくサンドしたパンや、A5ランクのお肉を包んだパイなどもぜひ」

足を運ぶたびに新しい表情が見える「PANJA」。一度のみならず、何度も訪れたくなること間違いなしです。

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※価格はすべて税込
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