アメリカンな空気を感じさせる1960年創業の老舗レストラン

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大きな三角屋根が目印の「レストラン ニックス」は、創業から63年目を数える老舗レストラン。戦後しばらくの間、アメリカ軍ジョンソン基地だった入間基地の北門からわずか200mの距離にあり、その店構えや店内の雰囲気は異国感たっぷりです。

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店の歴史やメニューについてお話ししてくれたのは、マネージャーの進藤寛隆さん。友人に誘われたことがきっかけで「ニックス」に入社し、ホールでの接客やスタッフの育成など店舗運営に携わってきました。「学生時代からバイトといえば飲食店でした。この業界が好きで、気が付けばこの店に入ってもう20年が経ちました」。

ジョンソン基地内の食堂OBが手がけた本格ステーキハウス

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「レストラン ニックス」草創期のエピソードは、店の入口に飾られた1枚の写真から始まります。中央に写っている黒スーツの男性が「ニックス」生みの親である荒井一雄さん。ジョンソン基地内にあった将校クラブ(上官専用の食堂)のマネージャーだった荒井さんは、同僚と退職金を出し合い「Nick's Steak House」を開業します。店名にある「Nick's」は、荒井さんがジョンソン基地で働いていた時代のあだ名「Nick(ニック)」から来ています。

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次第に、「Nick'sのステーキは故郷のよりもうまい」と、基地に駐留していた軍人とその家族たちに愛される店へと成長しました。伝統のメニューは今もなお「黒毛和牛サーロインステーキセット」(100g・5,500円)として親しまれています。

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創業時から変わらないギンガムチェックのテーブルクロスは「ニックス」のアイコン。壁に飾られている1960年代当時の店内写真にも、チェック柄のテーブルが写っています。

秘伝のデミグラスを挟んで、ジューシーな黒毛和牛パティを堪能

店の歴史をうかがったところで、名物の「ジョンソンバーガー」(サラダ&ドリンクセット2,090円)が運ばれてきました。直径15cmの大きなバンズに黒毛和牛100%のパティ、レタス、オニオン、トマトという組み合わせ。セパレートで提供されるスタイルで、別添のデミグラスソースとピクルスを加えてサンドすれば完成です。

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ジョンソン基地の名にあやかって命名されたジョンソンバーガー。進藤さんによると、「馴染みの将校さんから『アメリカではこんな食べ物があるんだ』と教わった荒井さんが、コックだった弟の敏和さんとともに商品化したそうです。オニオンとトマトが2枚入り、デミグラスソースで味付けするスタイルは、63年前から変わっていません」。

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具材を崩さないようにそーっとクラウン(上部)とヒール(下部)を合わせ、いざ実食! ひと口かじった瞬間にほとばしる熱々の肉汁とデミグラスソースの濃厚な旨味。みずみずしい野菜の甘味も重なり、口いっぱいにワイルドなおいしさが広がります。

デミグラスソースは荒井敏和さんが考案した秘伝のレシピで今も作られています。63年の歴史に思いを馳せながらもうひと口、ふた口と手が止まりません。

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食後のスイーツは「感動抹茶ティラミス」(880円)。テーブルに置かれた瞬間、まずその大きさにびっくりします。「当店では十数年前から地元食材を積極的に取り入れてきました。バーガーに使っている野菜もすべて市内の農家から仕入れています。"地産地消"をテーマに考えたとき、狭山といえばお茶どころであることに気づいて、このメニューが誕生したんです」。

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季節のフルーツを敷き詰めた上にふわふわのスポンジ生地と抹茶入りの生クリーム。甘ずっぱいフルーツをほろ苦い抹茶の香りが包み込み、ちょっと大人な味わいです。「"映えスイーツ"が生まれる前からある商品ですけど、テーブルにお届けしたときに皆さま『わぁーっ!』と喜んでくださる、当店の人気スイーツです」。

感謝と喜びのひとときを。創業から受け継がれてきたニックさんの思い

進藤さんが入社した約20年前、荒井一雄さんはすでに一線を退いていましたが、時折、店に顔を出すことがありました。「荒井さんは誰に対しても感謝の気持ちを疎かにしない方でした。お客さまはもちろん僕みたいな入りたての若手にだって『ありがとう、ありがとう』と、ニコニコ接してくださるんです」。

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ジョンソン基地で働く軍人のために創業し、やがて航空自衛隊入間基地に代わると、自衛官の憩いの場として愛されてきた「レストラン ニックス」。部隊の歓送迎会やOB会などもたびたび店で開かれます。「航空自衛隊を退官されるときにここでお見送りした方々に、数年経ってから同期会などで久々にお会いすることもあるんです」。そうした温かな交流は、進藤さんにとって「仕事のやり甲斐にも繋がりますし、僕の20年間の財産です」。

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「記念日など、ハレの日の食事を楽しむお客さまが多いので、お食事しながら楽しい、幸せな時間を過ごしていただきたいという思いがあります」。マネージャーとして、フレンドリーなコミュニケーションを全スタッフに徹底しているそう。その根底には、常に感謝することを忘れない創業者・荒井一雄さんの思いも脈々と受け継がれているように感じました。

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