懐かしい府中の街を再現したフィールドミュージアム

1987年に開館した「府中市郷土の森博物館」は、府中の歴史や文化が学べる博物館本館、江戸時代から昭和初期にかけての建物を移築・復元している復元建築物、梅園やアジサイの小径など、季節ごとに美しい花々を鑑賞できる自然豊かなゾーンに分かれており、広大な園内を楽しめる"フィールドミュージアム"。敷地全体が府中市の縮図のような構成になっています。その広さは約14ヘクタールで、東京ドーム3個分! とっても広い敷地内を学芸員の石澤さんに案内していただきます。

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博物館本館の前はけやき並木になっています。これは、大國魂神社の表参道の並木をイメージして作られたのだそう。

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園内には8棟の復元建築物があります。旧府中尋常高等小学校校舎や、かつて明治天皇が宿泊した旧田中家住宅なども復元され、中に入って見学することもできます。

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こちらの旧府中町役場は、正面から見ると洋風建築、車寄せの屋根や裏は和風建築になっている和洋折衷の建物。東京都指定有形文化財でもあります。

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「どの復元建築物も、実際に街の中で使われていたものなんです。それぞれ、最も時代を象徴する当時の姿を再現しています」と石澤さん。
浅間山(せんげんやま)近くにあった農家の旧河内家住宅は、今ではすっかり珍しくなった明治後期の茅葺き屋根の姿で復元されました。旧越智家住宅では、建物だけでなく、家の周りの防風垣など、景観も含めて当時の様子が忠実に再現されています。室内を覗くと趣のある囲炉裏が。ここでは実際に火を焚いて昔話のお話し会イベントを開催することもあるのだとか。

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梅まつりも毎年開催!色とりどりの花で季節の変化を楽しむ

復元建築のエリアを抜けるとさらに自然がいっぱいの空間に。水田では毎年会員を募って実際にお米を作る体験を行っています。
さらにその奥には、府中市の花である梅の木を集めた梅園が広がります。ここには約120種、1300本ほどの梅が植えられているそうです。梅の花は早咲き、中咲き、遅咲きのものがあり、取材時は早咲きの梅が綺麗に咲いていましたが、園内の大半を占める中咲きの見頃は例年2月中旬頃。梅のシーズンには「梅まつり」が開催され、期間限定で夜間のライトアップも行われています。

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鮮やかな黄金色のロウバイも見頃を迎えていました。この「ロウバイの小径」には130本ほどのロウバイが植えられていて、近づくと甘い香りがふんわりと漂います。

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「冬から春にかけては梅、初夏にはアジサイが綺麗に咲きますし、梅の木の下には彼岸花が植えてあるのでそちらは秋にお楽しみいただけます。梅の実もたくさん取れるので、職員たちで収穫し、ジャムや梅干しなどに加工し販売しています」と石澤さん。四季の移り変わりを花々とともに感じられます。

府中で宇宙と繋がるリアルな星空を体感

園内はまだまだ奥行きがあり見どころがたっぷりですが、続いては博物館本館を見学します。

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本館1階は天文展示コーナーとプラネタリウムで宇宙に触れ合えます。

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プラネタリウムは開館当初からの人気スポット。ここでしか聞けないオリジナルの生解説番組も行っています。2018年に"FuchuにはUchuがある"というコンセプトでリニューアルをし、府中市の企業が製作した最新式のプラネタリウム機器を導入。水平型のドームは実際の星空を眺めている感覚に近く、約1億個の星に包まれる体験ができます。

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大人も楽しめる迫力ある映像番組や、お子さまが楽しめるアニメ番組、赤ちゃん連れで歓声OKのベビープラネタリウムなど、さまざまな番組を投映しており、幅広い世代の方に愛されているプラネタリウム。座席にはボタンが付いており、投映中に出されるクイズなどに参加することができます。お子さまだけでなく、おとなもワクワクしてしまいそう。

長年の研究が詰まった展示で府中の歴史を楽しく学ぶ

2階にあるのは常設展示室と企画展示室。常設展示は2014年にリニューアルし、府中の特色を打ち出した展示を行っています。4月末から5月初旬に大國魂神社で開催される例大祭「くらやみ祭」は府中の名物。小学校の教科書でも紹介され、近隣以外からも多くの生徒さんが見学に訪れるようになりました。

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祭の夜の雰囲気を感じられるよう、ほんのりと暗い展示室でくらやみをイメージしています。

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この地域には、約3万5千年前の旧石器時代から人が住んでいたと言われています歴史や文化、民俗に自然を研究してきた成果を見せてくれる展示室。見て、聞いて、直に触れることでより興味や理解を深めてくれます。

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すごろくなどの触れる展示も多く、小さなお子さまにも大人気。楽しく遊びながら歴史を学ぶことができます。

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本館内も外のエリアに負けないくらい見どころがたくさんあるので、どんなふうに見学していけば良いか迷ってしまいそう。そんな時には施設解説員さんが力になってくれます。
石澤さん「毎日1430分頃からは定時解説を行なっています。日曜や祝日は園内の復元建物を回る解説なども行っているので、ぜひお気軽にご参加ください」とのこと。

博物館の入場料は大人300円、中学生以下150円(4歳未満無料)。プラネタリウムは別途大人600円、中学生以下300円(4歳未満無料)という価格で、いつでも気軽に遊びに来られるのも魅力的です。
豊かな自然に触れ合い、府中の成り立ちも学べる「府中市郷土の森博物館」。お一人でも、ご家族連れでも、何度でも楽しめるミュージアムです。

※価格はすべて税込
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