お寺が手がけるカフェとは?

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金剛院を象徴する赤門の隣に店を構える「赤門テラスなゆた」。ちなみに「なゆた」とは仏教用語でサンスクリット語の"nay uta"を音訳したもので、極めて大きな数を表しているという。

「赤門テラスなゆた」は金剛院の敷地内にある。発案者は金剛院の住職・野々部利弘さん。お寺に入りやすくなれば、という思いから2014年5月にオープンした。

とはいえ、想いはそれだけではない。体は食事から作られる。手軽に買えるが、添加物の多い料理を食べ続けるとどうなるのか。
「私たちはそれらを区別したり、ジャッジをすることはありません。ただ仏教という教えを通して、食と体の関係に気づいてもらえる場でありたいなと思っています」と野々部さん。

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食事はネガティブなものではなく、常に"おいしくいただく"ということが大切、と野々部さんは話す。野々部さんご自身もアップルパイが大好物。「あぁ、食べてしまった」と後悔するのではなく、「これを食べてしまったけど、今幸せ!」と思うだけでも大きな違いなのだそう。

「この気づきが大切なのです。もし食べた場合はデトックスしてバランスをとればいいのです」。

精進料理をベースにした野菜中心の定食

「赤門テラスなゆた」では、その日の食材を仕入れてからそれぞれの素材に合った料理方法を決めていく。「赤・白・緑・黄色・黒」の5色の食材を使い、栄養バランスを心がけているという。だしはベジタブルロスとなった野菜から摂った野菜だしを使用。野菜だしのみそ汁は体の芯から沁み込むやさしい味わいだ。

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ランチタイムの一番人気は1日30食限定の「お寺ごはん」(1,100円)。本日のメイン、副菜3品、サラダ、ごはん、味噌汁、ほうじ茶のセットだ。
ほかにもキッシュプレートやマクロビカレー、スイーツなど豊富なメニューがオンリストされている。

「お肉も魚も全く使わないんですか?」と聞いてみたところ、「使うときもありますよ。夏の暑い時期は魚の南蛮漬けを作ったり、あとお肉を少しお出ししたり。やっぱりスタミナがないときなどはみなさんお肉を欲していました」とは、料理担当の店長さん。
精進料理が原則ベースだが、日々様子を見ながらアレンジを加えていくのが「赤門テラスなゆた」の特徴だろう。

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キッシュやケーク・サレなどはテイクアウトも可能。

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一番奥の席はより開放的に感じられるスペシャルシートだ。

地域のコミュニティカフェとしての場所作り

店内はガラス張りで金剛院の境内を眺めながらお茶や食事が楽しめる。お寺の境内を眺めながらゆっくりできる貴重な場所だ。テラス席ならペット同伴も可能だという。

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さらに地下と2階にはワークショップができるスペースが設けられている。店内でもミニコンサートが定期的に行われ、さらに金剛院大玄関では「おてらで水あそび」と題して、夏に水遊びが行われていた。
「今後はこの地域のネットワークの仕組みをもっと作っていきたい」と話す野々部さん。幼いこどもからお年寄りの方まで、誰でも足を運べる憩いの場所だ。

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真言宗豊山派・金剛院の第33代目の住職・野々部利弘さん。カウンセラーとして人生の悩みを聴き、お寺では「こども食堂」から「お寺での婚活」「永代供養墓」までワンストップの寺院デザインを提案している。
著書は「心のごちそう帖 お寺ごはん」。

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