明治初期の建物を生かした客室&レストラン

まず訪れたのは、秩父神社のほど近くに位置する「MARUJU(マルジュウ)棟」。ここには5つの客室とフロント、レストランがあります。母屋が建てられたのはなんと約100年前。もともとは米問屋さんで、その後は染料店、そして化粧品などを扱う「マル十薬局」へと移り変わってきました。

_Q5A2170.jpg_Q5A2175.jpg「『NIPPONIA』の改修コンセプトは、"建物本来の姿に戻す"。改修の際は外観や間取りをなるべく変えず、もとの柱や建具を生かしたホテルにするよう意識しています」。そう話すのは、今回ご案内いただいた西武リアルティソリューションズの小泉さんです。

レストラン.jpgディナー.jpg道路に面したガラス張りのレストランは、もともと薬局の売り場だったスペースを活用。奥の小上がりはレストランの個室として利用可能です。
レストランでは秩父の食材をふんだんに使ったフレンチを提供。西武鉄道が運営するレストラン電車「52席の至福」も手掛ける秋元さくらシェフが監修を行っています。宿泊時はもちろん、レストランのみの利用も可能なので、特別な日に訪れてみてはいかがでしょうか。

_Q5A2074.jpg続いて館内を見ていきます。廊下のところどころに秩父銘仙のアートがあしらわれており、地元の文化を感じることができます。

_Q5A2097.jpg_Q5A2083.jpgまずは母屋の1階にあるMARUJU 101。ここは唯一完全新築のお部屋で、窓から庭が見えるのが特徴です。

_Q5A2084.jpg_Q5A2089.jpg寝室のベッドはシモンズ社のもの。お風呂や洗面台などはすべてヒノキ製なので、木の香りを楽しむことができます。

続いて母屋の2階に上がります。MARUJU 201、202は国道に面したお部屋。秩父夜祭の時期は目の前を山車が通る特等席で、秩父の街の奥には武甲山も臨めます。

_Q5A2105.jpg_Q5A2109.jpg2階のお部屋は天井の梁(はり)が見えるところが特徴的。もともとの建物の構造がよくわかります。

_Q5A2116.jpg一番広いMARUJU 201はお風呂場の奥にサンルームがあり、ゆったり過ごせます。

続いて向かうのは、昭和初期に建てられた蔵を改修したお部屋。

_Q5A2141.jpgMARUJU 103は蔵造りのお部屋。水回り部分は増築していますが、部屋の中はほとんど工事をしていないのだそう。コンパクトなつくりでありながら、天井が高くすっきりした印象。スライド式になっている居室の扉は、長く雨風を防いできた蔵の扉がそのまま使われています。

_Q5A2148.jpg_Q5A2165.jpgMARUJU 102も同じく蔵造りの、メゾネットタイプのお部屋です。もともと蔵にあったはしごを活かした階段があり、2階部分にベッドがあります。この蔵ではカフェを営んでいたこともあり、厨房とカウンターがあった場所にゆったりと水回りを配置しているのだそう。

趣を感じられる登録有形文化財の建物

_Q5A2181.jpg続いて訪れたのは、秩父神社参道の番場通りに面する「小池煙草店」と「宮谷履物店」を改修した「KOIKE・MIYATANI棟」です。こちらは昭和初期の建築物。写真右側の「小池煙草店」は有形文化財にも登録されています。

_Q5A2190.jpgKOIKE・MIYATANI棟には3つの客室とカフェがあります。

まずは左手の「宮谷履物店」を改修した建物へ。KOIKE・MIYATANI 201はメゾネットタイプのお部屋になっており、リビングと寝室が2階にあります。もともとの家屋を生かしているため、リビングの天井は少し低め。寝室のほうは天井を抜いており、梁が楽しめるつくりになっています。「リビングの真っ赤なカーペットが特徴。小池煙草店は大正ロマン風の雰囲気だったので、洋風なお部屋なんです」と小泉さん。

_Q5A2203.jpgKOIKE MIYATANI 202は、1階にソファとテーブルを配置し、リビングのようなくつろげるスペースに。奥の階段を上がった2階が居室で、和室と寝室があります。

最後に隣の「小池煙草店」を改修した建物へ。こちらは1階がカフェ、2階が客室となっています。カフェは秋以降にオープン予定。

_Q5A2208.jpg_Q5A2215.jpgKOIKE・MIYATANI 203は、ずらりとならんだモダンな窓を活かした特徴的なお部屋。目の前の番場通りをすぐ近くに感じられます。

空き家を使った地域活性化の取り組み

「西武線沿線地域の空き家を使って地域活性化ができないかと考えたとき、空き家を分散型宿泊ホテルにする『アルベルゴ・ディフーゾ』というイタリアの取り組みを知りました。国内で同様の取り組みを行っている『NIPPONIA』という取り組みがあるとお聞きして、ぜひ西武線沿線地域でできないかとご相談したのがきっかけです」と小泉さんは話します。

_Q5A2224.jpg「NIPPONIA」の目的は、地元の歴史や文化を知ってもらうこと。そのためスタッフは宿泊者と積極的にコミュニケーションをとり、秩父の魅力や地元ならではの情報を発信するのだそう。

「スタッフを通じて、よりディープな秩父の魅力を知ってほしいなと思います。初めて来る方はもちろん、"秩父通"な方にも喜んでいただけるような場所にしたいです」
今後はさらに部屋数を増やしていきたいと話す小泉さん。秩父の街はここからますます盛り上がりそうです。