2020年に移転リニューアル。居心地よき一軒家食堂

かつては秩父市役所の目の前にあった「名物秩父そば 立花、」。西武秩父駅から徒歩3分の一軒家をリノベーションし、20202月に移転オープンしました。メニューもスタッフも移転前のまま。現在はランチ営業に力を入れています。

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ドアを開けると、まるで親戚の家に遊びに来たような懐かしい雰囲気の店内。玄関で靴を脱ぎ、「あいにく1階は満席で」とスタッフに案内していただき、2階の座敷席へと向かいます。この日は風もなく冬晴れのポカポカ陽気。南側の窓の向こうには武甲山がよく見えます。

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看板メニューはもちろん、手作りのスイーツにもファン多し

まずは自慢の蕎麦から。名物「美人つけそば」(単品1,040円)は、山芋や大根おろし、うずら、揚げ玉などをトッピングした贅沢な見た目です。「身体に嬉しい具材がたっぷり入っているからこのネーミングにしたんです」と店主の立花さんが言うように、冷たいつゆにはエノキ、シイタケ、なめこなどもたっぷり。武甲山の伏流水で打った粗挽きの蕎麦はのどごしも良く、蕎麦の風味がふわりと口に広がります。

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蕎麦と人気を二分するのが、秩父名物の「わらじかつ定食」(単品1,020円)です。丁寧に筋切りされた三元豚のロース肉は驚くほど柔らかで、蕎麦つゆをアレンジした甘めのタレが豚の旨味をぐっと引き立てます。「手作りの味でお客さまをもてなしたい」という創業以来のポリシーは、小鉢やお新香からもしっかりと感じることができます。

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同店の人気の理由は蕎麦やわらじかつだけにあらず。「シフォンケーキ」や「あんこコーヒー」といったスイーツメニューが豊富で、しかも平日限定のランチメニューにはこれらの商品がセットで用意されています。

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一見するとウインナーコーヒーですが、カップの底には立花さんお手製の粒あんが。コーヒーの苦味と粒あんの甘味を生クリームが柔らかく包み、ほっこりした味わいを持たせています。

常連の間では以前から「『立花、』のあんこはおいしい」と言われており、「おはぎ」(160円)も隠れた人気の品。ランチメニューにあるごはん物の欄にも、秩父ホルモン丼やミニカレー丼と並んでおはぎが記載されていて、これが飛ぶように注文されるのだとか。

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立花さんが毎朝仕込むシフォンケーキもランチセットの人気デザートです。リンゴやキウイのコンポートを添えた、見るからに本格派な佇まい。キメの細かさとふんわりとした食感は巷のパティスリーにも引けを取らないレベルです。

40年余りで得た秩父屈指の評判。原動力は「料理が好き」

1階の厨房で調理を担当しているのは、店主の立花恒さんです。長崎県島原市で生まれた立花さんは共働きの両親に代わり、小学生の頃から台所に立つうち料理の腕を上げていったそう。都内の大学に進学し、卒業後はそのまま都内にあった有名レストランに就職しました。

家族親族みんな教員という環境の元で育ち、大学では法学を専攻。料理の世界に身を置いた当時は「そんな商売をさせるために東京の大学に行かせたんじゃない」と両親の強い反対があったのだとか。

「それでもこの道でやってこれたのは、純粋に料理が好きだからです。商売は下手ですけどね」と立花さんははにかみます。

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レストランに3年ほど勤め、さらに秋葉原で居酒屋を経営したあと、奥様の実家がある秩父で店を構えました。

「レストランといっても、喫茶部のマネジメントを担当していただけなので、蕎麦打ちは独学で覚えました」と語ります。

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これといった修業をせずに自分の店を持った立花さんにとって、メニュー考案はすべて"見よう見まね"と"試行錯誤"だと言います。

「多分ね、私は人より"やってみよう精神"が強いんです。蕎麦にしてもケーキにしても、あちこちの店を食べ歩いて自分の中の"おいしいの方向性"を導き出して、それに向かって味を研究するんです」と立花さん。

独学で始めた蕎麦打ちやつゆ作りはこの40年余りで磨かれてゆき、今では秩父を代表する名店になりなりました。しかし、その評判にあぐらをかくことなくひたむきに味を探求する立花さん。会計後は感謝の気持ちを込め、手作りのつまようじセットをお客さまに手渡しています。

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帰り際、お土産用に「森の木の実のクッキー」(540円)を購入。レーズンとクルミを練り込んだ素朴な味わいが35年以上も愛されてきた、同店きってのロングセラー商品です。できる範囲で手作りにこだわり、親しみのある笑顔で客を出迎える立花さん。その大きな手が生み出すのは、繊細な味付けと温もりを感じさせてくれるもてなしの心でした。

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