ラーメンファンの期待を背負うニューカマー

「大金星」は202010月オープン。開業から1年余りの新店ではありますが、店主の山本賢剛さんは複数の名だたる名店で修業を経験してきた方。ラーメン雑誌の埼玉版では表紙を飾るなど注目度は抜群で、すでに行列の絶えない人気店としてラーメンファンを魅了しています。

002 (2).jpg

店内は厨房を囲むコの字型のカウンター6席とふたりがけテーブル席が3卓。ゆったりと配置されています。厨房の道具たちもまるで新品のように綺麗に保たれているのが印象的。清潔感のある、居心地の良い空間です。

003 (1).jpg

004 (1).jpg

鶏の旨味が詰まったスープに合わせるのは、こだわりの醤油や塩

この店の基本メニューは醤油・塩・煮干の3種類です(各800円)。
「醤油らぁ麺」の味の決め手は、たまり醤油や生揚げ、薄口など4種類をブレンドした醤油。コクや香り、キレなど、それぞれの醤油が特性を生かしながらバランスよく配合されています。丸鶏をぜいたくに使い、鶏の旨味がしっかりと感じられるスープと合わさると、ふわりと立ち上がる香ばしさ。麺には香りのいい全粒粉を使用し、スープに負けない味わいです。

005 (2).jpg

昔ながらの丼に丁寧に整えられた細麺がとても美しく、山本さんの丁寧な仕事が光ります。

006 (3).jpg

そして「塩らぁ麺」に使う塩も海塩、藻塩、湖塩、岩塩の4種類。
「いろいろな場所の塩をブレンドすることで味の深みが出るといいなと思って選んでいます」という言葉通り、鶏と昆布でとった透き通ったスープに、ブレンドした塩ダレが奥行きを与えています。

007 (2).jpg

さらにチャーシューも3種類を用意。醤油ダレで煮込んだ煮豚、あっさり味の鶏チャーシュー、低温調理器で管理しながらしっとりと仕上げた肩ロースを、メニューに合わせて組み合わせながらトッピングしています。特製らぁ麺(各1,050円)なら3種全てのチャーシューが楽しめます。

また、限定麺も日替わりで提供。山本さんのかつての修業先は、つけ麺や煮干し系、ガッツリ系など、ジャンルが異なる店だったこともあり、その経験を生かしてバラエティに富んだメニューで訪れる人を楽しませています。

「やっぱり好きなことを仕事にしたい」

山本さんは秩父の旧大滝村出身で、埼玉県立秩父農工科学高等学校の卒業生。
「高校では工業機械を学んでいたのですが、将来どんな職業に就くのかが想像できなくて」。そんなとき、同級生の代わりにラーメン店でバイトに入ったことをきっかけに、飲食店の面白さに魅了された山本さん。もともと食べることが好きだったこともあり、食の道に進むことを決意しました。高校卒業後に調理系専門学校に1年間通い、フレンチやイタリアン、和食など幅広い料理を学び、調理師免許も取得したそうです。

010 (4).jpg

「調理師学校を卒業後、最初に勤めたのはイタリアンの店だったのですが、朝から晩まで休みなく働き詰め。数ヶ月で20キロ以上痩せてしまい、見かねた先輩から『身体を壊すから、もう辞めたほうがいい』と声をかけられました」と、ハードな経験をしたといいます。イタリアンの店を退職後、一旦は高校で学んだ知識を生かせる車工場に勤務。それでも「やっぱり諦めきれなくて」と再び食の世界に舞い戻ります。

009 (2).jpg

飲食業界に戻ったのは26歳のとき。そこからはずっとつけ麺やラーメン店で働き始め、修業は3店舗、7年間に渡りました。

「最初の教えとして心に残っているのは、『ラーメンを食べに来てくれるお客さまを作るのではなく、自分に会いに来るお客さまを作りなさい』ということ。腕を磨いておいしいラーメンを作ることはもちろんですが、その上で大切なのは人と人とのつながりなんですよね。その教えは今の店づくりにも生かされています」

「自分の店を持つなら秩父で」と決めていた

ラーメン店での修業を始めた際には、すでに「いずれは地元・秩父に戻って自分の店を持ちたい」と考えていたそう。秩父にこだわっていたのは何故なのでしょうか。その理由を問うと、「秩父が好きだから。居心地がいいんですよ。秩父以外で勝負しようという思いは一切なかったですね」ときっぱり。「『地元に貢献したい。自分に何ができるだろうか』と考えたとき、ここでラーメン店をやることが地元への一番の恩返しかなと思ったんです」

011 (2).jpg

地元での開業には、仲間の後押しもあったといいます。秩父市で洋菓子店を営む「パティスリーイシノ」の石野翔さんは、実は同じ高校の同級生。「秩父に戻って店を持ちたい」という共通の想いを持っていて、山本さんより先にその夢を叶えたのが石野さんでした。山本さんが出店するにあたって必要な手続きなど、さまざまなアドバイスをしてもらったそうです。店に掲げているオリジナルの時計も石野さんから贈られたもの。山本さんが「居心地がいい」という言葉通り、地元仲間の絆の深さが垣間見えました。

012 (1).jpg

「横瀬町は都内から見ると秩父市の手前。秩父観光の途中で立ち寄ってもらえたら嬉しいです。この店を訪れることで横瀬町を知ってもらいたいですし、秩父に足を伸ばすきっかけになったら、うちのラーメンを評価されることよりも嬉しいかもしれません」と屈託なく笑う山本さん。

店前からは芝桜で有名な羊山公園が臨める絶好のロケーション。秩父観光に訪れるなら、ぜひ途中下車して山本さん渾身のラーメンを味わってみてください。

※価格はすべて税込
※販売商品、価格等が変更になる場合がございます。
※新型コロナウイルス感染防止対策により、営業時間やご提供する商品が変更になる場合がございます。