- 玉川上水駅
- ラトリエ・アンソレイエ
パン職人兼パティシエのオーナーシェフが国産素材にこだわって作ったパンとケーキが並ぶ 「ラトリエ・アンソレイエ」
西武拝島線玉川上水駅からバスで15分ほど。映画のセットのようなノスタルジックな魅力を感じさせる、都営村山アパートのはす向かいに店を構えるのが「ラトリエ・アンソレイエ」だ。
パティシエを経験してからパンの修業を始めた
玉川上水からやや離れた、東大和市上北台に「ラトリエ・アンソレイエ」はある。 オーナーシェフの山口伸明さんは、元々パティシエとして腕を振るっていたという。「大阪の製菓学校を卒業した後、京都の洋菓子店『フリアン』に7年間勤めていました。しかしその間に、『パンを作りたい!』という気持ちがどんどん強くなっていきました」(山口さん)

実家はお店から徒歩15分。 「地域の方に喜んでもらえる、地元に根ざしたお店であることを大切にしています」と、山口さんは語る
関西を離れ、東京に戻ってきた山口さん。まずは、地元立川のベーカリーでアルバイトとして働いた。その後、全国から選りすぐった食品を取り扱うスーパーマーケット「福島屋」のベーカリー部門へ。ここでパンの基礎をしっかり学んだ。 「福島屋ではパンのことはもちろん、自然素材についても学ぶことができました。農業体験することもありました。そのおかげで、国産の素材にこだわるようになりました」。
福島屋で6年勤めたのち、2013年、ついに「ラトリエ・アンソレイエ」をオープンさせた。目指したのはパンとケーキどちらもが並ぶお店だ。しかしここで困ったことが。 「福島屋に勤めている間は、一度もケーキを作ることはありませんでしたが、『作り方は体が覚えているから大丈夫だろう!』と思っていました。しかし、いざ作りはじめてみると全然ダメでした。当時はパンよりも、ケーキ作りに四苦八苦していましたね(笑)」と、山口さんは懐かしそうに語る。

現在はパンが約20種、ケーキが10~15種ほど毎日店頭に並ぶ

焼き菓子はギフトにもおすすめ。 個包装されているので渡しやすく、ラッピングもかわいい

「発酵バターを使用したサクサクのクロワッサン生地に、クリームを詰め込んだ「クロワッサンコルネ」(各200円)は一番人気。 クリームはカスタード、チョコ、フランボワーズ、狭山茶、季節のもの(この日はパンプキン)。 オーダーが入ってからクリームを詰めてくれる

発酵バターを多めに使用したブリオッシュ生地に、クッキー生地をのせた「メロンパン」(150円)。天然バニラを使用した贅沢な一品だ。 どの菓子パンも甘みと食感、香りがよく考えられていてバランスがよく、おいしい。さすがパティシエの技である

北海道産の希少品種・しゅまり小豆を店内の厨房でじっくり煮た、自家製あんこ入りの「つぶあんぱん」(160円)。 優しいほっくりとした甘みがクセになる
食材は安心して食べられる国産にこだわっている
お店で使う食材には、徹底的にこだわっている。小麦粉は強力粉も薄力粉もすべて北海道産、卵は青梅市「かわなべ鶏卵」、砂糖は北海道産の甜菜糖、生クリームは九州産など、選び抜いた国産物を使用している。もちろん、保存料や添加物は一切使用していない。 特に山口さんが力を入れているのが、玄米麹酵母だ。「酵母は玄米麹から起こした、オリジナルものを使っています。気候の変化があっても安定していますし、なにより香りがいいんです。玄米のおかげなのか、おせんべいのような香ばしい香りに焼き上がるんですよ。もっちりした食感も特徴ですね」。 玄米麹はほとんどのパンに使われており、一部の菓子パンにはイーストと併用、クロワッサンはイースト100%で焼き上げるなど、パンに応じて使い分けている。

玄米麹は、ライ麦入りのバゲット生地に特に合う。細いとザクッとした食感、太いともっちりとした食感が楽しめる

色鮮やかでしっかりとした甘みのサルタナレーズンと、香りがよくみずみずしいサンライズレーズンの2種類のレーズンを練り込んだ「レーズンブレッド」(1本350円)。生地はレーズンを活かすため、あえて甘みを抑えている
希少なスペルト小麦にも果敢に取り組む
最近力を注いているのが、古代小麦・スペルト小麦を使った「古代小麦バケット」。国産の古代小麦は特に珍しく、なかなか手に入らないのだが、北海道の佐藤農園の方との縁があり、製粉したものを直送してもらっているという。 「水分を12.5%に落とさないと、おいしい粉にならないという非常に扱いづらい小麦なのですが、玄米麹と非常に相性がいいんですよ。しばらくは土曜日限定で続けていきたいと思っています」。

今年の10月から販売を始めたという古代小麦のスペルト小麦を使用したシリーズ。 左から「古代小麦ノアレザン」、「古代小麦いちじく」(各300円)
オープン当初は福島屋で出会った食材も多かったが、お店を続けていくうちに縁が広がり、食材もどんどん変わっていった。山口さんは、年に一度は生産者である農家のもとへ足を運んでいるという。「パンもケーキも、出来たてがその場で食べられて、お客さまにもゆっくり過ごしてもらえるカフェを作りたいですね」。 お店に訪れるのは、毎日パンを買いにくる人や、記念日にケーキを買いにくる人など、常連の方が多い。どの人も、笑顔でパンやケーキを選び、嬉しそうにお店を後にする。「ラトリエ・アンソレイエ」は、こだわりの食材を通して人と人との縁をつなぐ、この地域になくてはならないお店だ。
※価格はすべて税込
取材日:2017年10月27日
取材・文:山本久美
店舗情報
東大和市上北台2-893-4
店名 | ラトリエ・アンソレイエ |
住所 | 東大和市上北台2-893-4 |
電話番号 | 042-516-8898 |
営業時間 | 10:00~20:00 |
定休日 | 木曜 |
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