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- ブレッド・アート・ロード
おすそ分けしたくなるパン 「ブレッド・アート・ロード」
西武新宿線「鷺ノ宮駅」から南へ進み、早稲田通りに出る手前に、1950年から店を構える「ブレッド・アート・ロード」。「ロードベーカリー」という通称でも親しまれている。
ロードの代名詞「くるみパン」
ロードのオーナー、岡田康男さんは、パンの学校も出ていないし、よそで修業もしていない。ずっと、父親から継いだこの店ひと筋だ。
「大学は出たんですが、学生時代から店は手伝ってましたし、家業を継ぐことはもともと決めてました。うちにいた職人からも教わりましたし、講習会にはかなり行きましたね」。

開店はなんと朝6時。週末の朝の行列は恒例の風景
創業から60年以上経つなかで現在のスタイルになった契機は、店舗を建て替えた約20年前。そのとき開発した「くるみパン(470円)」は、いまやロードの看板商品に。ハードパンのようにも見えるが実際にはやわらかな生地に、大きいままのくるみが惜しみなくゴロゴロと。それらが織りなす食感が売りだ。

定番もの、季節限定もの。常連をも飽きさせない幅広いラインナップ
「おいしい」は伝播する
「くるみはローストして、渋皮をきれいに取り除きます。渋皮だけでも山盛りになるほどなんですよ。それからくるみを生地に入れ込んでいくんですが、くるみが砕けちゃうのでミキサーにはかけません」。
ローストして渋皮をとるのも、9kgもある生地を手だけで折りたたむのも相当大変な作業だと思うが、それだけ手間をかけなければ、このおいしさは実現できないのだ。

ロードに来たら「くるみパン」は必ずチェックしたい
「最初はそんなに人気だと思っていなかったんですけどね。まとめ買いするお客さんがけっこう出てきて、あ、くるみパンが売れるんだっていうことに気がついて。ホームページなんかにも“話題の「くるみパン」”なんて載せて、あとから売り込んだくらいなんですよ(笑)」。
10本も買ってカートで持って帰るお客さんまでいるそうだ。人にプレゼントするということは当然、自信をもって推薦できるからだろう。“口福”を人と分け合いたいという気持ちにさせる、幸せなパンということだ。

お話を伺っている最中もいっときも手を休めない岡田さん。 両手を同時に動かしていっぺんにふたつ成形する。あっという間にトレーがいっぱいになった
「くるみパン」に続く、新名物が誕生
「パン・ド・ロデヴ」は、フランスの小さな街、ロデヴで伝統的につくられているパンのこと。成形できないほどゆるい生地のため器に入れて発酵・焼成するのが本場のやり方で、ひとつひとつ大きさも形も違うパンが焼き上がるから、量り売りらしい。 このユニークなパンの普及協会が発足、日本国内でも広めようという動きがある。しかしつくるのに非常に手間がかかるために、挑戦してはみても諦めてしまう店が多いとか。

ロードの「パン・ド・ロデヴ(210円)」は丸い形
そんな「パン・ド・ロデヴ」を、ロードでは昨年から商品ラインナップに加えている。本来の製法にアレンジを加え、丸めて形をつくっているのだが、そのために「朝いちばんで仕込みを始めます。吸水率が高く、かなり長時間、練らないとまとまりませんから」。

商品数は正確に数えていないというが、優に100種類以上はあるはず
バリバリしたクラフトに、強い噛み応えがありながらも空気を含んだ軽やかさがある。ルヴァン種でつくるから、バゲットの兄弟といってもいいかもしれない。他にはない独特の食感に、すでに病みつきになっている常連もいるとか。「くるみパン」に続いて、「パン・ド・ロデヴ」も、人と分かち合いたい“口福パン”になりそうだ。

じつは焼き菓子もたくさん種類がある。「パン屋の焼き菓子は、値段が張らないんだけど、おいしいんですよ」と岡田さん
※価格はすべて税込
取材日:2017年1月19日
取材・文:野村美丘(photopicnic)
店舗情報
店名 | ブレッド・アート・ロード |
住所 | 杉並区下井草1-2-14 |
電話番号 | 03-3338-7444 |
営業時間 | 6:00~19:00 |
定休日 | 月曜日、火曜日 |
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