お芋パンもあればライ麦パンも。全40種類
「ぱん」とひらがなで書かれた旗が目印の「麦兵衛」は、木の外観といい、縁側のように店先のちょこんと置かれたベンチといい、ちょっとほかでは見かけない和風なパン屋さんなのか?期待に胸をふくらませ、引き戸を開け、黒い玉石を敷き詰めた店内に入る。「さやまちゃメロンパン」に「芋娘」。やっぱり和風だ!でもその先の棚の上にはサクサクの層からチョコレートが顔を出す「パン・オ・ショコラ」もあるし、ライ麦パンの種類も豊富だ。
ひとりで黙々とパンをつくる、店主の阿部淳さんが手を休めてお話を聞かせてくれた。
「名前も店構えも和風ですが、30~40種類あるパンのなかには日本ならではのパンもあるし、バゲットやクロワッサン、ライ麦パンもあります。今年で店は10周年。来てくださるお客さまそれぞれにお気に入りがあるので、それらを絶やさないようにしながら、ときどき新商品を盛り込んでいます」。
埼玉産素材を使った地元愛にあふれるパン
「できるだけ地元の食材を使う」ことも阿部さんのポリシーだ。
例えば「里芋コロッケサンドイッチ」(340円)は埼玉県の特産品・里芋とシャキシャキのレタスがたっぷりはさまれている。廃棄されてしまうことの多い親芋を有効活用したというコロッケは、クリームコロッケのように滑らかな舌触りだ。もっちりと味わい深いパンには埼玉県産小麦粉「ハナマンテン」が使われている。そう、小麦粉も地元産なのだ。
付近のレストランにも卸しているというバゲット(290円)。埼玉産小麦の「ハナマンテン」とルヴァンの味わいを存分に。
「ハナマンテンはパンにするには難しい小麦粉ですが、うちではライ麦粉以外は国産の小麦粉を使っています。」と阿部さん。
小麦粉にルヴァンと呼ばれる酵母の旨みをプラスし、冷蔵庫で長時間発酵させるのが、「麦兵衛」のパンのおいしさの秘密だ。
ピッツァ職人だった腕が活きる熱々ピザ
お昼が近づくと、店内はいっそう人の出入りが激しくなる。
「サンドイッチもいいけど、今日は甘いのふたつでもいいな」など、お客さまの楽しそうな表情を見ているとそんな声が聞こえてきそうだ。
この時間帯になると阿部さんはフライヤーの前に移動する、お昼限定「揚げピザ」づくりが始まる。実は阿部さん、ナポリピッツァ職人の経歴を持つ。「ナポリピッツァの生地をつきつめたくてパンを勉強していたら、こちらの世界が楽しくなってしまった」のだという。
生地を伸ばしてモッツァレラなどの具を包み、こんがり揚がったら、そのまま店頭へ。熱々を食べるなら早い者勝ちだ。
情熱の赴くままナポリへ突撃し、ナポリピッツァの職人になった店主の阿部淳さん。生地づくりを極めたくてパンの道に入ったという。
いつかはパンとナポリピッツアのどちらも楽しめる店ができたら、と願う阿部さん。
「10周年の節目に今年はお店の‟顔"になる商品を考えています」。
それは、あんバターややきそば、卵サラダなど、自慢のパンに定番の具を詰めた「コッペパン」。本格デビューはもうすぐだ。
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