国分寺時代から56年の歴史を紡いできた名喫茶

重厚な木扉を開けると、店内にも赤レンガが印象的に配されており、入口側にある電話ボックスが目を引く。(国分寺店の物を移設)

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店頭に飾られた吊看板にはレトロなコーヒー焙煎機が描かれている。

実はこの店、歴史が古い。現オーナーのお父さまが国分寺駅北口の目の前に「珈琲専門店アミー」をオープンしたのは1963年。当初から専門店として開業し、各生産国の最高品質を決める品評会「カップ・オブ・エクセレンス(Cup of Excellence)」の豆を使用。また当時はコーヒーを淹れる技術を持つ人も少なかったため、豆の仕入先を通じて専門技術を持つ職人を紹介してもらっていたのだとか。56年前に開店した当初、周辺には喫茶店がほとんどなく、ましてや本格的な珈琲専門店という存在は珍しく、界隈での先駆け的存在だったという。

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梁・イス・テーブル・電話BOX・壁画・看板等は国分寺より移設しており、国分寺時代の面影を限りなく近づけた店内。当時を懐かしみ、足を運ぶ常連客も多い。

国分寺には大学も多く、アミーでもたくさんの学生たちがアルバイトをしていたという。およそ3年周期で入れ替わる学生バイトを、少し年の離れたオーナーは兄のような父のような気持ちで見守っていたのだとか。

「その時の思いがあるせいか、アミーという存在そのものを残していきたいと思っているんです」。懐かしそうに愛おしげに話すその姿から、当時の「アミー」がオーナーにとっても、スタッフ、お客さまにとっても、いかに大切な場所であったかが窺い知れる。

国分寺北口の大規模再開発に伴い、小手指に移転

かねてから計画されていた北口再開発の話が本格化し、アミーの入っていたビルも取り壊しが決まった。2013年に移転による閉店が決まった際も、店には惜しむ声が多く寄せられたという。

国分寺にあった店舗はビルの2階ワンフロアを使い、約60坪という大箱。移転後もぜひ国分寺で再開してほしいというファンからの声もあり国分寺での再開を目指したものの、そのフロアの大きさをそのまま再現するには国分寺には最適な物件がなかった。そしてたまたま見つけた小手指の物件で再オープンしたのが2015年。かつてのように広々としたスペースでの復活となった。

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禁煙席の壁に象徴的に設置される大きな珈琲採集図。映画やドラマにもたびたびお目見えした。

再オープンにあたっては極力、国分寺の店舗の雰囲気をそのまま再現したかった。そこで梁や調度、照明などもそのまま移築。かつて店を彩った「珈琲採集図」も新しい店舗にもそのまま象徴的に掲げられている。いまも国分寺時代の常連さんが訪れることも多く、懐かしそうに過ごしていくという。

初めて訪れてもどこか懐かしさを感じる。それはきっと国分寺時代の面影をしっかり残した佇まいが醸し出す空気なのだろう。

さまざまなスタイルでコーヒーを楽しめる専門店

メニューには"珈琲専門店"の名を冠する通り、ストレートやブレンドはもちろん、ダッチアイス、ウィンナー、ルシアンなど、幅広いジャンルのコーヒーが並ぶ。

ストレートコーヒーはブラジルやグァテマラ、ブルーマウンテンなど8種前後。ブレンドも4種揃えている。カウンターに置かれたサイフォンで淹れるコーヒーは薫り高く、それぞれの豆の味わいをしっかりと再現してくれる。

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「特製ブレンド」(528円)は香り豊かでふくよかな味わい。

コーヒーにはストレート以外にもさまざまな楽しみ方がある。例えば、アーモンドローストとホイップクリームをトッピングしたアーモンドオーレ。ミルク感豊かなラテに香ばしいアーモンドスライスがアクセントとなり、疲れた身体と心を癒す一杯だ。

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たっぷりトッピングされたクリームを溶かしながら楽しむ「アーモンドオーレ」(660円)

スイーツ、フードメニューもバラエティ豊か

コーヒーのお供にぜひ味わいたいのはスイーツ類。店内で焼き上げるワッフルはふんわりと香ばしい。たっぷりと添えられたクリームと一緒に頬張れば、きっと幸せな気持ちに包まれるはず。また、カカオをふんだんに使ったガトーショコラも満足感でいっぱいになるボリューム感。14〜16時はワッフル、ガトーショコラ共にハーフサイズもあるので、のんびりとティータイムを楽しむのも良いだろう。

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大きなワッフルが4枚で(715円)アイスコーヒーとのセット(1,045円)

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ボリューム感のある「ガトーショコラ」(495円)

また、アミーでは軽食類も充実。なかでもおすすめなのが特製チキンライスだ。チキンライスというとケチャップで味をつけたものをイメージしがちだが、アミーでは一味違うスタイルに仕上げている。スキューバダイビングが趣味というオーナーがタイで出逢ったというアジアンテイストにアレンジしたチキンライスだ。ジューシーな鶏肉の上にかかっているのはブラックソースといって、とろみのある特有のソース。別添されるナンプラーやネギ塩油を加えれば、よりエスニックな味わいが際立つ。「喫茶店のチキンライス」のイメージを大きく覆す一皿だ。

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「アミー特製チキンライス」(935円)「コーヒー、紅茶、ジュースなどとのセット」(1,265円)「ハーブティ」(550円)

いずれは国分寺でアミーを再開したいと話すオーナー。アミーとともに時を重ねた常連さんのために、階段のない1階で開業したいと考えているという。「なかなかいい物件がないので、いつになるかわからないんですけどね」といいながらも、いつの日にか国分寺に復活するアミーの姿に思いを馳せる。

オーナー、スタッフ、常連客。たくさんの人の思い出が詰まった名喫茶は、これからも多くの人に愛され、たくさんの思い出を紡いでいくのだろう。

※価格はすべて税込
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※写真、記事内容は取材時(2019年4月3日)になります。