手打ち麺が食べたい分だけ選べる
店内に入ると、カラフルな店内に外国語の明るいBGMが流れていて意表を突かれた。明るい内装なのは、ひとりでやってくる女性客も入りやすいようにとの配慮なのだそう。座敷席も多く、小さなお子さま連れにも喜ばれている。以前は男性客が多かったが、ここ数年で近隣にマンションなどが増えてきた影響か、家族連れや若いお客さまも増えてきたという。
「涼太郎」のうどんは、昔ながらの塩水と粉で練る製法で、毎日手作りしている。機械で大量に作るのとは違い、1日に作れる量には限りがある。また防腐剤を入れないため、翌日に持ち越しができない。そのため、土日には120食ほどを用意するが、あっという間に売り切れてしまう。早いときには13時半ごろに麺が売り切れて閉店になってしまうことも。
「お断りすることも多くて、がっかりさせてしまって申し訳ないんですけど......」と、スタッフの方が申し訳なさそうに答えてくれた。
早めに売り切れてしまう理由のひとつが、食べたい量に合わせてうどんのサイズを選べること。通常の一人前サイズは「3L」。1Lが約80グラムなので、女性からするとかなりボリュームがある。サイズには、少なめの「LL」、お子様向けの「L」が用意されているほか、1L単位での追加が可能だ。
男性客の平均は5Lで、中には28L(通常量の10倍)を食べた記録を持つ人も。多めに食べる人がいた日は売り切れるのも早いというわけだ。 必ず食べるには、13時ごろまでに入店するのが確実だそう。14時近くになる場合には、電話で確認してから来店するのが良いだろう。
伝統のうどんと、新しいうどん
看板メニューは「肉汁つけめん(L、LLサイズ 660円)」。歯ごたえがしっかりとした武蔵野うどんで、噛めば噛むほど味わい深い。食べ応えがあるが、のどごしが良くつるつると食べられる。こだわりのつゆは、かつお節とサバ節を煮込んでから、さらに豚バラを加えて煮ること40分。脂は9割以上除いて完成させるためヘルシーだ。旨味たっぷりのつゆが絡んで、うどんのおいしさを引き立ててくれる。
「涼太郎」ではオリジナルの洋風うどんも人気だ。たとえば「大人のミートソースうどん」の特長は、イタリアの赤ワインを使った自家製ミートソース。玉ねぎ、トマト、にんじん、セロリなど、野菜がたっぷり使われている。なんと麺も、通常のうどんとは異なる配合の特別仕様。パスタのような細めの平麺で、オリーブオイルを加えてあるそう。
こちらも女性に人気の「肉汁天ざる舞茸うどんセット」(L、LLサイズ 890円)。
オリジナルのうどんで、お客さんに喜んでもらいたい
1997年にオープンしたお店は、今年で24周年を迎える。店長の五十嵐昭寿さんは、東村山にある武蔵野うどんの老舗「きくや本店」の長男。武蔵野うどんが根付くエリアで独立したいと、所沢で自分の店を持った。お店の名前には、当時2歳だった息子さんの名前をつけた。
BGMについて聞いてみると、イタリア語の楽曲なのだそう。洋風メニューを始めたタイミングで、雰囲気づくりのために流すようになったそうだ。
「他のお店にはないものを出さないとね。お金儲けよりも、お客さまに喜んでもらえるのが一番うれしいんだよ」。 メニュー、内装、BGMに至るまで、武蔵野うどんをお客さまに喜んでもらうために試行錯誤を繰り返してきた五十嵐さん。まっすぐなその生き方が伝わってくる。
現在開発中の新メニューは、きのこの炊き込みご飯だそう。こだわり派の五十嵐さんのことなので、またもやみんなが驚くような「涼太郎」ならではの新メニューが飛び出してくるに違いない。
※価格はすべて税込
※営業時間、販売商品、価格等が変更になる場合がございます。
※写真、記事内容は取材時(2017年5月27日)のものです。