コーヒーが苦手な人にこそ飲んでほしい自信の一杯

カフェ巡りが好きな人の中にも「実はコーヒーが苦手」という人もいるかもしれない。そんな人にこそ飲んでみてほしいのが「Kieido」のコーヒーだ。
「店のコンセプトは、透明感があって、まろやかでやさしいコーヒーの味を知っていただくこと。そのため、ネルドリップにこだわって淹れています。強い酸味、濃い苦味を感じるコーヒーはお出ししていません」と店主の寺内英貴さん。
普段はミルクと砂糖をたっぷり入れて飲んでいる人も、柔らかな口当たりのこちらのコーヒーならスルスルっと飲めてしまうはず。

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農学博士号を持つ元・研究者というユニークな経歴

寺内さんのコーヒーとの出合いは小学4年生のとき。台所で見つけたサイフォンの、実験器具のようなカッコよさに心奪われた。幼いころから実験が大好きだった寺内少年は、"カッコいい器具"を使いこなすことが楽しくて、毎日のようにコーヒーを入れては両親にふるまっていたそうだ。

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大学院に進み、植物病理学・植物育種学を専門として書き上げた論文がアメリカの学会誌に掲載されたことで、大きな夢を達成。そこから、もうひとつの夢だった「コーヒーの店」への道を歩み出す。

22年前には小さな焙煎機を購入し、会社勤めをしながら焙煎の研究に没頭。細かい条件設定の元に焙煎を繰り返し豆の特徴を見極め、さまざまな"実験"を繰り返した。ハンドピック(手作業での選別)で取り除いた欠点豆(不良な豆)だけを焙煎して試飲すると「雑味がすごくて飲めたものじゃなかった」そうだ。その結果、欠点豆を絶対に混入させないという現在のハンドピックの習慣にたどり着いた。

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満を持して店を開業したのは2016年3月。店では2台の小型機で焙煎している。「最適な焙煎」に仕上げるには、気象や豆の個性など細かく変動する条件に対応しなければならない。開店まで15年に及んだ膨大な実験結果の経験則と五感が頼りだ。

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そんな話を聞くとちょっと身構えてしまいそうだが、実際にお会いした寺内さんはソフトな語り口で、ご自身が淹れるコーヒー同様にマイルド。サイフォンでコーヒーを淹れていた少年がそのままそこに居るかのようだ。

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カップの中で展開するドラマのような一杯

今回いただいた「Kieidoブレンド」(400円)は、飲み始めは角のないまろやかな苦味。ところが飲み進めるうちにふわっと軽くなり、透明感のある飲み口に変わっていく。
「味が変わっていったでしょう。これがブレンドの面白さなんですよ」と寺内さん。さまざまな特徴を持つ豆を掛け合わせることで、1杯のコーヒーがカップの中でストーリーを紡ぎ出す。今まで知らなかったコーヒーの世界観に感動!
ここまで手間ひまをかけこだわり抜いたブレンドコーヒーがたった400円というから驚きだ。「もともと豆販売が目的で、そのテイスティングの意味合いもあるんです」とはいうものの、なんだか申し訳なくなってしまうほど。
それでも寺内さんは「この値段だから、皆さん何杯も飲んで行ってくださいますしね」と笑顔だ。

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コーヒーゼリーは1日10食限定。ミルクとアイスクリームをトッピングできるのだが、実はトッピングの有無によって2種類のゼリーを使い分けているというから侮れない。また、寺内さんが絶大な信頼を寄せるパティシエが、Kieidoのコーヒーに合わせたオリジナルレシピで作るクッキーやケーキもおすすめだ。

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新しいコーヒーの世界に出合わせてくれる「Kieido」。コーヒーマニアはもちろん、コーヒーの魅力にまだ気づいていない人にこそ足を運んでほしい店だ。

※価格はすべて税込
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