愛らしい店舗の中には魅力的な商品がいっぱい

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オレンジ色の外壁と三角屋根、建物に沿うように設えられた花壇の緑のコントラストが美しく目を引き、店内に入る前から心が躍ります。

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店内に入ると、ショーケースに並んだ色とりどりのケーキや焼き菓子、チョコレートにジェラート、そしてパンまで。幅広いジャンルの商品が取りそろえられていることに驚かされます。フランスでは一般的なスタイルだといいますが、日本でこれだけバラエティ豊かに商品をそろえるパティスリーはまだまだ多くありません。

舌はもちろん、目にもおいしいケーキの数々

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ショーケースに並ぶケーキはひときわ華やかなものが多く、目でも"おいしい!"を感じさせてくれます。写真手前の「フレジエ」(600円)はフランスのショートケーキ。イチゴの赤いソースが目をひき、マジパンの花が愛らしさを引き立てています。

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「ブリュンヌ サレ」(640円)は、梅干しを使ったチョコレートケーキです。梅干しの酸味がチョコレートの甘さをすっきりと引き立てる意外な組み合わせ。ジャポニズムを感じさせます。

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ショーケースに並ぶプチガトーは30種近く。会計を待つ間に眺めていると、ついつい「これも追加で」と言葉が出てしまいそうな誘惑がいっぱいです。

日本での修業時代を経て、本場フランスへ

「フランスのケーキは結構派手。華やかさ、鮮やかさで表現しているものが意外と多いんです」と教えてくれたのは、オーナーを務める森本慎シェフです。

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学生時代から飲食に興味があったという森本さん。その中でもお菓子の道を選んだのは"好奇心"が大きな要因だったそうです。
「料理は出来上がったものを見れば、どうやって作られたのかがある程度想像できますよね。でもお菓子は見ただけではその過程が想像できません。原型を留めずに変化していくことの面白さに興味が沸いたのが、お菓子の道に進むきっかけでした」

製菓の専門学校を卒業し、「レピキュリアン」(吉祥寺)、「ブリアン・アヴニ-ル」(小田原、現在は閉店)で修業。国内でひと通りの経験を積んだのち、27歳で本場フランスへ渡ります。ちなみに、現在の店名「アルカション」は修業先だったボルドー地方の町の名前。大西洋、ビスケー湾に面した小さな港町です。
「修行に行くにあたってパリは最初から選択肢にありませんでした。パリの最先端のお菓子文化は東京にも入ってきていますからね。だからこそ、都会を離れた地方に根付いている伝統菓子、個性的な菓子を学びたかったんです」

フランスの地方で出合った個性豊かな菓子を日本でも

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そんな言葉を象徴するお菓子が「アルカション」のスペシャリテ「デュネット」。フランス時代の修業先「マルケ」で専売特許を持つ一品で、本家以外ではここでしか味わうことができません。店を構えるにあたりぜひこのお菓子を日本で作りたいと、再度フランスに渡って口説き落とし、その森本さんの熱意によって商品化が許されたのだとか。
円錐型のしっかりとしたクッキー生地にチョコレートをまとわせたかわいらしいフォルムで、生地の中から顔を出すのはアーモンドや松の実が入ったマジパンです。香りの良いコニャックが効いていて、見た目以上に大人の味わいなのが印象的。

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また、ボルドー地用の伝統菓子「カヌレ」(260円 ※写真はプチサイズ160円)もぜひ味わいたい一品です。ボルドーでは伝統を守るためにカヌレ協会があり、協会が認定するレシピがあるそうで、森本さんが作るカヌレはこのレシピに則ったもの。まさに本場仕込みです。外はしっかりと焼き上げてガリっとした食感。中はしっとり、モチっとした食感でラム酒がふわりと香ります。

「現在のブームの前、90年代後半にもカヌレブームがあったのですが、当時は本場の味をうまく再現できている店がほとんどなかったんです。でもボルドーで食べたカヌレはとてもおいしかった。だから、ボルドーのカヌレの味を知っていただきたいと思って本場のレシピで作ることにしたんです」(森本さん)

大きくはない町での開業だからこその利点が生きた

フランスから戻り、いよいよ開業への準備を始めた森本さん。もともと石神井の出身だったこともあり、西武線沿線での出店を想定し、池袋から清瀬までの駅をすべて自分の足で歩いて物件を探したといいます。半年ほど物件探しを続けるうちに保谷駅で出合ったのが、現在とは線路の反対側にあったテナント物件でした。その場所で数年間営業し、固定ファンも増えたタイミングで現在地に新築移転。
「保谷駅周辺は落ち着いていて、生活するには良い町だと感じます。決して大きくはない町だからこそ、駅から近い場所に店を建てる土地がありました。結果的に保谷駅で良かったですね」

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2005年に誕生した「アルカション」は、駅至近という立地も生かしながら地域に根ざし、多くの人が訪れる人気店に成長していきました。それは森本さんがフランスで見てきた光景にもきっと似ていることでしょう。
三角屋根の可愛らしいお菓子の店は、これからも多くの人に愛され、幸せを振りまいてくれるはずです。

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