都内に2店舗を展開する人気店
社長であるクンワール シブ チャンダーさんは、母国であるインドをはじめとし、ドバイやアラブなどで調理を学んだ。カレー店だけでなく有名ピザ店にも就業したというから、ナンづくりへの強いこだわりもうかがえる。
1996年、日本に自身の店を出すべく来日。大阪や名古屋のインドカレー店に勤務し、日本人好みの味付けを研究した。そして2001年10月、「RAJ」田無本店をオープンする。
「RAJ」とは、一緒に来日した長女の名前。RAJさんと二人三脚でつくり上げたお店の内装は、社長のラッキーカラーだというピンク色の壁が印象的で、ペンキの塗り替えも社長やご子息が施すのだとか。
日本の飲食店で学んだのは、日本人好みの味だけではないようだ。「スタッフの教育には厳しいんですよ」と教えてくれたのは、日本人スタッフの吉村さん。終始穏やかな表情の社長であるが、その軸には「お客さまの信頼を失ってはならない」「期待を裏切ってはならない」という揺るぎない信念がある。
同店はまたたく間に人気となり、田無店に加えて荏原町店も展開。連日賑わっているのだという。
1食ずつ煮詰めてつくる絶品インドカレー
数あるインドカレー店のなかで「RAJ」が人気を集める理由は、やはり料理にある。
牛乳やパン粉など、素材のひとつひとつを社長がテイスティングして決める。トマトや玉ねぎなどの野菜もフレッシュなものにこだわっているそうだ。
また何よりも驚くのが、オーダーを受けてから1食ずつフライパンで煮込んで提供することである。そのひと手間がカレーの風味を極上のものにする。それだけの手間を加えても、提供時間はたったの5分だというから恐れ入る。
どれもおいしいと評判のカレーだが、一番の人気メニューは「バターチキンカレー」(720円)だ。まろやかな中にもピリリとスパイスが効いていて、クセが無いので「RAJ」初心者にもおすすめ。リピーターが多いのも納得できる絶品メニューだ。
さらに、この「バターチキンカレー」と「マッシュルームとほうれん草のカレー」、サフランライス、チキンティッカ、ナン、サラダがセットになったボリューミーな「RAJ SET」(950円)は、お得感たっぷりの同店イチオシメニュー。
「マッシュルームとほうれん草のカレー」は、市販のほうれん草ペーストなどは一切使わず、フレッシュなほうれん草をミキサーにかけてつくっている。ごろごろ入ったマッシュルームの食感も楽しい。
テイクアウトも可能なので、店内が満席の際には持ち帰るお客さまも多い。
ボリューム満点の「タンドリーチキン」(320円)や、つぶしたジャガイモなどを包み揚げた「サモサ」(160円)は、店頭の小窓からも購入できる。
カレーにもスタッフ教育にも妥協無し!
日本で飲食店を成功させるのは、日本人でも難しい。しかし、「一切妥協せずにこだわってつくった安心して食べられるメニューを、接客ノウハウをしっかりと学んだスタッフが提供する」という軸をブレさせずに徹底したことが、「RAJ」を成長させた理由であろう。
スタッフがカレーに使うトマトを見て、「こんなに新鮮なトマトじゃなくてもいいんじゃないの?」と社長に言ってみたところ、社長は静かに首を振ったそうだ。 テコでも動かない軸のある社長が、今後の「RAJ」をどのように展開させるのだろうか。頼もしく、また、楽しみでならない。
※価格はすべて税込
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※写真、記事内容は取材時(2019年11月28日)になります。