練馬「アジアの屋台飯 LOTUS」は味よし値段よし。通いたくなるベトナム料理店

東京23区内では世田谷区に次いで人口の多い練馬区。その中心地「練馬駅」は、池袋から池袋線で約10分とアクセスも良く、新旧の個性的な飲食店がたくさんある。今回訪れた「アジアの屋台飯 LOTUS(ロータス)」は2018年にオープンしたベトナム料理店。うぐいす色のシェードと、ロータス(蓮の花)のイラストが目印だ。

ベトナム料理をもっと身近に。目指したのは"現地の屋台"

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練馬駅周辺を散策すると、商店街や飲み屋街にはほどよい活気がある。縄のれんのかかった渋い居酒屋や、パリの街角にありそうなレンガ調のパティスリーなど、惹かれる店の多い街だ。
エスニック料理店も目立つ。今日の目的地「アジアの屋台飯 LOTUS(ロータス)」は2018年にオープンしたベトナム料理店。食の大国・中国と、美食の王様・フランスの影響を受けて発展したベトナムの食文化は、実に繊細で奥深い。野菜をたっぷり使うのでヘルシー。香辛料のクセや辛さもマイルドなので、日本人の味覚になじむのだ。

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店に入ってまず目に飛び込んでくるのが、壁面に描かれた鮮やかな絵。ベトナム国花の蓮の花、民族衣装のアオザイを着た女性などが丁寧に描かれている。そのやさしいタッチと雰囲気に、ほっと心が和んだ。

「いつもはこの人物画のような、ベトナム人の看板娘たちが店を切り盛りしているんですが、今日はみんな夏休みの帰省中で......」
そう笑いながら迎えてくれたのは、日本人スタッフの町田さん。仕事を通じて知り合ったベトナム人のシェフやスタッフとの交流をきっかけに、ベトナム料理の魅力を広めたいと思うようになった。
「最初はバインミー(ベトナムのサンドイッチ)のテイクアウト専門店からスタートする計画だったんです。でも、当初の希望より広いこの物件を気に入ってしまって。せっかくスペースがあるんだし、テイクアウトとイートインの両方に挑戦することにしました」

店のコンセプトは"現地の屋台"。いつでも誰でも気軽に入れて、テイクアウトもできる。味は本場ハノイのレシピを大切にするが、ディープすぎないように。価格設定もリーズナブルにして、「毎日でも通いたくなるベトナム料理店」を目指した。

主役はチキン! 話題のバインミーと絶品から揚げ

ここ数年、日本で人気急上昇中のベトナム料理が「バインミー」。フランスパンにレバーパテやハム、大根とニンジンのなますなどをたっぷり挟んだサンドイッチで、ベトナム人にとって言わばソウルフードのようなもの。「LOTUS」の看板メニューも、こだわりの自家製バインミーだ。

「うちのバインミーの主役はチキンです。時間をかけて低温調理することで、もも肉と胸肉をしっとり仕上げました。そしてバインミーの味の要はフランスパン。米粉の配合にこだわって特注したバゲットで、こちらも自信があります」と町田さん。

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9種類あるバインミーから、定番トッピングの「やわらか鶏のヌクマム仕立て」(650円)をチョイス。豪快に頬張ると、バゲットの香ばしい風味がふわり。パリッと軽快な歯応えがジューシーな具と相まってたまりません。

レバーパテにする豚レバーは牛乳に浸してくさみを取り、クセを抑えてあるそう。そういったひと手間は、日本のバインミーならではだろう。チキンをスパイスやココナッツミルクで漬け込んだ「スパイスチキンのレモングラスグリル」(690円)など、他のバインミーも甲乙付けがたい。

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メイン料理がすべて味わえる「よくばり(全部入り)Mixコム・ガー」(990円)。特製のチキンスープで炊き上げた「コム(米飯)」とともに。なますやサラダも付き、野菜がたっぷり摂れてうれしい。テイクアウトも可能だ。

バインミーの味に惚れ込んだら、おすすめのチキン料理をプレート料理でも味わってみてほしい。なかでも必食はから揚げ。肉の下味にはベトナムの魚醤「ヌクマム」を使っているそうで、日本のから揚げとはひと味違う、エスニック風味がやみつきになる。18時以降のディナータイムは単品注文もOK。このから揚げをつまみにビールを飲んでみたいところだ。

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ベトナム料理の味を深めてくれる調味料。小魚を発酵させてつくる魚醤「ヌクマム」や、ベトナムの大豆醤油「マギーソース」などが代表的だ。

フォーの概念を覆す"裏番長"メニュー

最後に紹介するメニューがこちら。ベトナム料理といえば、まず「フォー」を思い浮かべる人が多いだろう。この「LOTUS」にも、"裏番長"と呼ばれる名物フォーが存在している。

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運ばれてきた「牛すじのフォー」を見て思わず怯む。赤い液体がたっぷり浮いたこのスープ、とても辛そうなのである。
「みなさん最初は警戒されますね(笑)。でもご安心を。スープの赤みの正体は、ダシに使うエビの殻から溶け出した旨みなんです。なのでまったく辛くないですよ。これはベトナムの王宮料理をベースにしたフォーで、日本で出す店はめずらしいと思います」(町田さん)

「1週間連続で食べに来たお客さまがいた」という逸話は、スープをすすった瞬間に納得した。まず舌に広がる怒涛の旨み。牛すじとエビの濃厚なコクが、ツルリとした米麺のおいしさを何倍にも増幅させており、箸が止まらなくなる。「あっさりしすぎて物足りない」というフォーの既成概念が覆され、ベトナム料理の奥深さを感じられた。

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「最近は夜のお酒も充実させて、会社帰りにチョイ飲み利用するサラリーマンのお客さまも増えました。お子さま用のキッズプレートも好評で、子育て中の親御さんに喜ばれていますね。今後も、幅広い世代の方に愛される店を目指して頑張ります」(町田さん)
町田さんの理想とする"屋台"は、着々と完成に近づいている。

※価格はすべて税込。イートイン価格
※営業時間、販売商品、価格等が変更になる場合がございます。
※新型コロナウイルス感染防止対策により、営業時間が変更になる場合があります。

掲載情報

アジアの屋台飯 LOTUS(ロータス)
住所 東京都練馬区練馬1-7-2
電話番号 (03)6876-8267
URL https://www.lotus-nerima.com/
営業時間 ランチ 11:00~15:00(L.O.14:30)/ディナー 18:00~23:00(L.O.22:00)
定休日 水曜

取材日:2019年9月2日 最終更新日:2021年7月19日 取材・文:林 匠子