公園は目の前! お散歩途中に立ち寄りたいパティスリー
雲ひとつない青空が広がるお散歩日和。石神井池のボート乗り場へやってくると、池の向こうに立つマンションの1階にケーキ屋さんの看板が見えた。「パティスリー カシュカシュ」は、石神井公園の緑や池の景色が目の前に広がる、風光明媚な場所に立つ。住宅地の真ん中でありながら、四季の移ろいが色濃く感じられるエリアだ。
"カシュカシュ"とは、フランス語で"かくれんぼ"という意味。 「パティスリー カシュカシュ」は、大分や世田谷、大阪で修業を重ねたパティシエの江藤潤さんが、日々の変化が感じられる緑の多い場所で自身のお店を開きたいと、石神井公園目の前のこの地へ2011年10月にオープンした。
オレンジ色を基調とした内装は、森の木の幹をイメージしているそうで、森の中でウサギがかくれんぼをして遊んでいるように、店内のあちこちにウサギが隠れている。足元には白いウサギの足跡も。小さなお子さんが来店した時には、夢中になって足跡をたどり、ウサギを見つけてはしゃぐ姿も見られるとか。
さらに、焼いているお菓子が見える特注のガラス張りオーブンも設置されていて、こちらの窓にもお子さんが張り付いてケーキが焼き上がるのを見守っているそう。
店内はお子さんが楽しめる工夫が施されていると同時に、お子さんが店内の装飾やオーブンに夢中になっている間、親御さんにはゆっくりケーキを選んでもらいたい、というお店からの想いがあふれている。
ショーケースにはフルーツ盛りだくさんのケーキが24種類、店内にはドーナツなどの焼き菓子も18種類並ぶ。
安心して食べてもらいたい! 素材本来の味を楽しめるケーキたち
店内のいたるところにこどもたちへの愛があふれているが、ショーケースに並んだケーキにもお客さまへのやさしさが詰まっている。使用する小麦粉は国産のもの、生クリームは純生クリームだけにこだわり、安心して食べられることはもちろん、素材本来の味を楽しんでもらいたい、と江藤さんは言う。
素材そのものの味や香りが感じられる、素直においしいと思ってもらえるものを作り続けるのが、「パティスリー カシュカシュ」の信条なのだ。
例えば、定番人気の「宮崎県産和栗のモンブラン」(648円)は、栗のペーストに混ぜ込むバターやクリームの量を極力減らし、和栗の濃厚な香りや味をそのまま楽しめるよう工夫されている。使用する栗は日本一香りが良いと江藤さんが太鼓判を押す宮崎県産のもの。もちろん高価な素材だが、作る側の努力によって手頃な値段で提供することができる、とのこと。
この店のケーキは、ひとつ400円から500円前後の手頃な価格で買えるものばかり。「1,000円出してケーキが1つしか買えないなんて、さみしいでしょ?」と江藤さん。
公園の目の前という立地だからこそ、「季節が感じられるお菓子を」というのもこちらのお店のコンセプト。人気の高いショートケーキやタルトも、イチゴ→桃→イチジク→ぶどう→柿......というように、季節の移ろいとともにフルーツが変わっていき、それぞれにファンが多い。いずれも、「旬のフルーツを食べた!」という満足感が得られるよう、フルーツを盛りだくさんにするのが特徴。そうすることで、お客さまの記憶に鮮明に残り「今年も桃のケーキが食べたくて......」と訪れてくれるファンも多いのだとか。
取材時は、「群馬県産イチジクのタルト」(486円)と「イチジクと和三盆のムース」(486円)が登場。イチジクが山のように盛り付けられたタルトと、口の中でほんわりと溶けるムース、どちらもフルーツのおいしさが存分に引き立つよう計算されている。できるだけ薄く皮をむいたイチジクは、手の熱で鮮度が落ちないよう気を使いながら手早く仕上げてショーケースへと並べられる。
全国から取り寄せる素材を活かし世界で評価される手土産に
江藤さんにお話をうかがっている間も、お店にはたくさんのお客さまがひっきりなしに訪れる。皆さんのお目当ては、ケーキのほかにもうひとつ。ショーケースの上に並べられた色とりどりの「涼菓くずきり風ジュレ」だ。大分県産契約農家のかぼすや、高知県岡林農園産の文旦、北海道知床産有機栽培の赤紫蘇など、全国から取り寄せた厳選の素材15種類をくずきり風の入ったジュレに仕立てたもの。実はこれ、モンドセレクションに出品し、味とパッケージ、希少性という3部門で金賞に輝いた日本で唯一の商品なのだ。
この中に、岡山県産の若桃という珍しいジュレを見つけた。聞いてみると、実がなったばかりの時期に間引きされた桃をシロップ漬けにしたものなのだそう。これまで捨ててしまっていた素材でも、上手に使えばおいしいお菓子に生まれ変わる。「農家さんが愛情を込めて育てている素材ももっと知って欲しいし、我々がこうして販売することで、少しでも農家さんの手助けになれば」と江藤さんは語る。若桃以外にも、千葉でメロン農家を営む江藤さんの奥さまのご実家からの繋がりで、全国の農家さんにネットワークができたのだという。
ケーキ屋さんが多いと言われる石神井公園周辺で、わざわざ足を運んでくれたお客さまにはお菓子を通じて最大限の誠意を伝えたいという江藤さん。石神井池のほとりに立つパティスリーは、"一人ひとりのお客さまの記憶に残るお菓子を提供する"ことを目標に、今日も素材への愛があふれるたくさんのお菓子たちをラインナップしている。
石神井公園へおでかけしたら、色とりどりのお菓子が並ぶ店内でかくれんぼしている、あなただけのお気に入りのスイーツを探してみてはいかがだろう。
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