武蔵関で20年以上親しまれているパティスリー
武蔵関駅周辺は新宿線の中でも穴場と言われるスポットであり、駅前には商店街があるものの、ちょっと歩くとマンションや戸建てが立ち並ぶ閑静な住宅街となる。そんな武蔵関駅から近いマンションの1階に、ブラックを基調としたシックな内装の「パティスリー クード・クール」がある。
店内に入ると、色鮮やかなケーキが並ぶショーケースとクッキーなどの焼き菓子が目に入る。ケーキはシュークリームなどの定番のほか、季節のフルーツを使ったものなど常時15種類ほど、焼き菓子も12種類ほどがそろう。
シェフパティシエの金子裕さんが、この場所へ「パティスリー クード・クール」をオープンしたのは、1999年12月のこと。現在までの間に、定番のショートケーキ「フレジェ」(550円)や、シュークリーム「シューパリジャン」(300円)のほか、旬のフルーツを使ったケーキなどにもファンが増え、季節ごとに新しいケーキがお目見えするのを楽しみにしているご近所さんが多いそう。焼き菓子のおいしさにも定評があり、クッキーなどをギフトとして贈るだけではなく自宅用に購入するお客さまが増えたという。
素材へのこだわりがおいしさの秘訣
この季節におすすめのケーキを聞くと、マンゴープリンやミルクプリンにカラフルなソースが夏らしい品と、定番のレアチーズケーキをセレクトしてくれた。まずは、マンゴープリンのイエローが美しい「クレームマングー」(460円)を。細かく刻まれたパイナップルのトロピカルな風味が、ココナッツのソースとマッチして南国を思わせるスイーツだ。
さらに、赤と白のコントラストが可愛らしい「クープドライチ」(460円)は、ミルクプリンにライチ風味がプラスされていて、イチゴのソースと一緒に口へ入れるとフルーツ感がいっぱいに広がる。
また、金子さんが作る定番のケーキのおいしさは、粉やバター、クリームなどベーシックな部分に上質な素材を使っているところに秘訣があるのだそう。しっとりと焼き上がって粉の旨みも感じられるスポンジやクッキーなどの焼き菓子、コクがあるのにスッキリとしたくちどけのクリームには、素材選びから妥協しない金子さんの心意気を感じる。
おすすめとして紹介してくれたレアチーズケーキ「クリュ」(500円)も、チーズの濃厚な風味と滑らかな口あたりを純粋に楽しめる一品。このようなベーシックなケーキこそ、パティシエの技術や素材の良さが如実に反映される、というわけだ。
子から孫へと世代交代しながら愛されるスイーツたち
パティシエ歴30年以上という金子さん。当初は、フレンチのシェフを目指して「銀座レカン」へ修業に入ったそう。しかし、目の前に開けたのはパティシエへの道。その後、八王子にあった「ル・フォワイエ」を経てフランスへ渡り、「パティスリー・ボォー」やルクセンブルクの「オーバーワイス」という店で修業を重ねたという。基本的な技術は日本で身に付けていたが、海外で学んだのは、季節ならではの素材を上手に取り入れるアイディア。フランスやルクセンブルクの店では、旬を迎えたフルーツや地元の素材をとても大切にしてスイーツへと昇華させていたそう。だから今でも、季節の果物や上質な素材にこだわったお菓子を作り続けている。
この店がオープンしたときと今とでは、周辺のマンションに住む世帯が入れ変わったり、お子さんだった世代が独立して別の場所で世帯を持ち、こどもを連れて実家へ遊びに来る、というシチュエーションが増えたそう。「息子が孫を連れて帰って来るから......」と息子が好きだったケーキを選ぶおじいちゃんやおばあちゃんの姿は、この店が地域と共に歩んできた歴史を物語っている。
20年以上を経た今でも、おいしくて心ときめくお菓子を変わらず提供し続けてくれる「パティスリー クード・クール」は、この街に住む人やこの街を離れた人にとっても、心のオアシスとなっているのだ。
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