いつもにぎわう人気店「サラカーム」

お店の前へ到着した時は、自転車でやってきたご近所らしき女性客でにぎわっていた。店主の浅野タッサワンさんに聞くと、ランチタイムもディナータイムも、近所の常連さんはもちろん、遠くからのお客さまも多く来店してにぎわうとか。上石神井駅からも武蔵関駅からも少し距離があり、周りには商店もない場所なのにも関わらず、いつもお客さまでいっぱいなのは、ひとえにこちらのお料理のおいしさがなせる業なのだろう。

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素材選びも調理もすべてこだわるママさんの絶品家庭料理

サラカームという店名は、浅野さんの出身地であるタイ東北部の県の名前からつけたそう。お店に並ぶメニューは、「グリーンカレー」や「トムヤンクン」、「カオマンガイ」のようなおなじみの定番料理から、地方の郷土料理、オリジナルの料理まで、全部で60品以上ある。日本人が大好きな生春巻きにしても、オーソドックスな生春巻き「ポーピアソット」もラインナップしているが、たっぷりのレタスでレモングラスサラダを巻いたオリジナルメニュー「サラカームサラダ巻き」が人気。手間暇がかかる料理も多いが、常連客から親しみを込めて"ママ"と呼ばれている浅野さんが、素材選びから調理までを1人でこなす。 「タイにいたころは食べるのが専門だったのよ」というグルメな浅野さん。おいしいものをたくさん食べて培った舌と審美眼で納得できる料理だけを出しているそうだ。 今回は、定番メニューの中から4品をおすすめしてもらった。

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「トムヤムクン」と聞くと、日本人はココナッツミルクが濃厚な辛くて赤いエビのスープを想像しがちだが、こちらの「トムヤムクン」はちょっと違う。澄んだスープにエビやふくろ茸などの具材、レモングラスやコブミカンの葉などのハーブや香辛料がたっぷり入っていて、刺激的な辛さの後から奥深い旨みがやって来る。後味があっさりしているので、どんどんスプーンが進む。ちなみに、濃厚なスープがお好みなら、「ココナッツ トムヤムクンスープ」もあるので、そちらを試してみよう。 同じく定番人気の「ヤムウンセン」は、エビやイカのプリプリとした食感、セロリや玉ネギなどの野菜のシャキシャキ感、しっとりした春雨とさまざまな食感が楽しいサラダ。フレッシュなレモンをたっぷり使うのが、浅野ママのこだわりだとか。

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人気の高いご飯ものからは、一般的にはガパオライスと呼ばれている「パッカパオガイ」をチョイス。細切りにした鶏肉とバジル、シャキッと食感を残したインゲンを、甘じょっぱくスパイシーな味付けに仕上げていて、白いご飯がもりもり食べたくなる。目玉焼きを崩して黄身を絡めながらいただく至福の一皿だ。また、ほかとはちょっと違うタレが自慢のご飯メニュー「カオマンガイ」にもファンが多く、他店へ浮気しても「やっぱりママのカオマンガイが一番」と戻って来る常連さんがいるそうだ。 米粉の中太麺をもやしなどの野菜や豆腐と炒めた「パッタイ」も人気。甘くあっさりした味付けに桜エビの旨みとナッツの香ばしさがアクセントとなっている。テーブルにある砂糖やナンプラー、粉唐辛子、唐辛子の酢漬けをかけて自分好みの味に仕上げて食べるのが現地流だ。

住宅街で愛されて18年。本格的なタイの味を身近に楽しんで

「タイ家庭料理 サラカーム」はオープンして18年を迎えた。住宅街の真ん中で、これだけ長い間愛され続けているのは、浅野さんの料理に対するこだわりや熱意、レベルの高い味に共感したファンが足繁く通っているからだ。野菜1つ仕入れるのにも、気に入ったものが見つかるまで何軒も八百屋さんを自転車で回って探すし、出来立てを食べてもらいたいという想いから作り置きを一切せず注文を受けてからすべて調理する、という浅野さん。そのこだわりが、駅から遠いこの場所へお客さまを呼び続けている。 「ひとりでやってるから、料理が出るまでちょっと待たせてしまうかも......」と浅野さんは恐縮するが、それでもかまわない。本格的なタイ料理が親しみやすい住宅街で食べられることは、奇跡なのだから。こんなお店がそばにあるご近所さんが、ついついうらやましく感じてしまう。

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※価格はすべて税込
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