LINEで送る"また来たい"と思わせる、居心地のよいベイクショップ
池袋線「仏子駅」北口を出て左に曲がり、線路沿いに歩いて２分ほど。突き当たりを右に曲がってあらわれる県道沿いに、キャロットケーキのお店「Rabbit Hole Bakes」はあります。グリーンの壁とかわいらしいうさぎの看板が目印です。
一歩足を踏み入れると、ふんわりとやさしい焼き菓子の香りが迎えてくれます。白を基調にした店内は、差し色のやさしいグリーンと相まって居心地のいい空間。以前この場所で営業していたアメリカンパイのお店の内装を生かしつつ、壁などは家族と一緒に塗ったのだそうです。
「また来たいと思ってもらえるような、素朴で落ち着く空間にしたかったんです」と話すのは、店主の今井聖子さん。
お子さまの送り迎えのタイミングに立ち寄るお客さまや、お気に入りのおやつを買いに来る常連さんが多いのだそう。
店内にはキャロットケーキが並ぶショーケースのほか、カウンターにはこんがりと焼かれたクッキーが入ったクッキージャーが置かれています。クッキーは１枚50円～。クッキージャーには「田舎の駄菓子屋さんのように、お子さまが自分のお小遣いで買えるようにしたい」という今井さんのやさしい思いが込められています。
区切りの年にキャロットケーキ専門店をオープン
絶賛子育て中の今井さんは、製菓学校卒業後にケーキ屋さんやレストランに勤め、お菓子作りに加えて接客業も好きだということを実感したといいます。
「こどもたちが赤ちゃんから卒業したタイミングが、ちょうど私が30歳になる年だったんです。そんな節目のときに、頭の片隅にずっとあった"お店をやりたい"という気持ちが強くなって......。このお店の場所との出合いや親友の後押しもあり、お店を開くことになりました」
ケーキショップやカフェではなくキャロットケーキ専門店にしたのは、初めてキャロットケーキを食べたときにそのおいしさに衝撃を受けたからだそう。さらに「私ならこのスパイスをもう少し強くしたい、この材料を使いたい！」というアイデアも湧き出てきたという今井さん。
試作を重ねたキャロットケーキは周囲の人たちからも大好評で、「これを看板メニューにしたら面白いかもしれない」という気持ちから、キャロットケーキ専門のお店にすることを決意しました。
国産のにんじんを皮ごと使ったスイーツとおいしいコーヒー
「スパイス」（486円）は、お店の看板ケーキ。その名の通り独自の配合でブレンドされたシナモン、クローブ、ナツメグなどのスパイスがきいた一品です。生地に全粒粉をブレンドすることで、にんじんによる水分量を調節。しっとりしつつもほどよい軽さがあり、その生地にくるみ、自家製のラムレーズン、クリームチーズがマッチして、食べたあとも「また食べたい」と思わされます。
「お子さまの野菜嫌いに一役買っています」という「キャロットマフィン」（378円）もおすすめ。ふんわりとした生地を口に入れると、きび砂糖のやさしい甘さがほんのりと広がります。にんじんをふんだんに使用していますが、味覚のするどいお子さまでもにんじんが入っていると言われなければ気がつかないのだそう。
キャロットマフィンと一緒に出していただいた「ハンドドリップコーヒー」（486円）は川越の「COFFEE POST」のコーヒー豆を使用。「おいしいコーヒーを飲んでほしい」という思いから、キャロットスイーツに合うものをと相談して選んでもらったのだそうです。
オーダーごとにこだわりのドリップグッズを使用して淹れてくれるコーヒーは、苦みがありつつほどよい深さもある、絶妙な味わいです。
日本三大銘茶のひとつであり、埼玉県の名産でもある狭山茶を使用したキャロットケーキ「狭山茶カルダモン」（540円）も人気。狭山茶の持つ渋みに、鼻に抜けるカルダモンのさわやかな香りとあんこ、ホワイトチョコレートの甘みが加わった濃厚なキャロットケーキです。
取材に伺った春は、期間限定で桜の塩漬けが乗っていて、緑とピンクの色合いが見た目にもかわいらしい雰囲気。桜の塩漬けの塩味とケーキの甘さのマリアージュは、この季節だけの楽しみです。
「Rabbit Hole」の店名通り、店内にはいたるところにうさぎのモチーフがあります。お店のロゴや装飾は、今井さんの旦那さんがデザインしているのだそう。店内で販売している素敵なカラーリングの靴下も、旦那さんがパッケージデザインを手がけています。
店名の「Rabbit Hole Bakes」は、"抜け出せない"という意味の「Go down the rabbit hole」という慣用表現に由来しているのだそう。アリスがうさぎを追ってうさぎの穴に入る『不思議の国のアリス』から派生してできた言葉ですが、「Rabbit Hole Bakes」のキャロットケーキとお店の空間には、まさに人をとりこにする魅力がいっぱいです。
のんびりとした昼下がり、おいしいキャロットケーキとコーヒーが味わえる"うさぎの穴"に迷い込んでみませんか？
※価格はすべて税込。
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