音楽で繋がる3人が奏でる穏やかでやさしい空間
この店のオーナーは地元合唱団の元団長でもある増田洋司(ひろし)さんと指揮者を務める妻・佳奈子さん。そしてお菓子作りを担当するROCOさんも元合唱団のメンバーです。演奏会もできるサロンとして2014年にオープン。音響効果も考慮した漆喰壁と無垢素材のフローリングで設えられた店内は、温かな雰囲気に包まれています。
有機栽培豆を丁寧にハンドピックしてクリアな味に
店で使用しているコーヒー豆はすべて有機栽培で育てられたもの。焙煎にかける前に2度、丁寧なハンドピックで不良豆を取り除き、さらに焙煎後にももう一度ハンドピックすることでクリアな飲み口のコーヒーが楽しめます。
「時間もかかるし、ロスが多いのですが、この作業を怠るとおいしいコーヒーにはならないんです。この作業をせずに焼いた豆で飲んだことがありますが、こんなに違うのか!と驚くほど本当においしくなくて」と増田さん。
丁寧に施すひと仕事がクオリティの高い一杯への第一歩になっています。
様々な数値を管理しながらハンドドリップしていく
一般的にコーヒー一杯に対する豆の量は10〜12gが目安と言われています。ところがこちらで使う豆は18g。さらに通常の半分量で抽出を止めることで、コクや苦みなど、その豆が持つ特色や個性をしっかりと表現しています。
キッチンの中ではストップウォッチやデジタルスケールなどが並び、時間や重量をしっかりと管理しながら淹れていることがわかります。
理数系で培った知識をコーヒーに生かして
綿密に繊細に、数値と向き合いながらコーヒーを淹れていく増田さん。実は前職は車の耐久性をテストする機械の設計をしていたそうです。
カフェ開業の転機になったのは仕事中の事故。その後休養を経て5年ほど勤務を続けながら自身の生活へのモチベーションを高めたいと考え、抱いていた「店を持ちたい」という夢を実現させたそうです。現在も普段は車椅子で生活していますが、店では必要に迫られて歩くことも多く「おかげでずいぶん歩けるようになったんですよ」と笑う増田さん。店頭にはカッコいい車椅子が置かれていました。
それにしても機械工学とコーヒーの世界、一見180度違う世界のようにも思えるのですが、焙煎は物質の熱変化がもたらす効果。意外にも科学的な思考や知識を生かせる場面が多くあります。
コーヒーのお供には、カラダにやさしい焼き菓子を
増田さん渾身の一杯のお供は、ROCOさんが作る焼き菓子。卵や乳製品を使っていないのでアレルギー体質や妊娠中の人でも安心して口にできます。国産の小麦や全粒粉、店内で精米してできる米ぬかなども使ったケーキやクッキー、マドレーヌなど多彩なお菓子の数々。白砂糖は使わず、さとうきびを原料とする素精糖やメープルシロップ、はちみつなどで甘さを加えているのでどれもやさしい味わいに仕上がっています。
カラダにやさしいお菓子たちに加え、コーヒーのラインナップにもデカフェが入っています。これは佳奈子さん自身、妊娠中に食の楽しみが半減してしまった経験から、誰でも安心して食べられるものを提供したいという思いが反映されています。
占星術...、さらに広がる化学反応
「Café BROWN」では音楽イベント以外にもさまざまな仕掛けが隠されています。カウンターには「占星術によるホロスコープ診断承ります」の文字。占いのできる人が来てくれるのかと思いきや、なんと増田さん自身がホロスコープを診てくれます。
繊細にこだわる珈琲とカラダにやさしいお菓子。そしてそこに加わる遊び心。予期せぬ化学反応が起こるカフェには、枠にはまることのない魅力が詰まっています。
※価格はすべて税込
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