フランスなどで技術を学んだオーナーが営む

「四季の茶菓 鈴木屋」四代目社長の息子として生まれた鈴木康弘(みちひろ)さんは、高校生のころから家業を継ぐことを決めていた。
まずは経営に関する知識が必要と考え、四年制大学を卒業。六本木クローバーで販売を学んだのち、鎌倉レザンジュで洋菓子づくりを学んだ。中学校卒業後すぐに製菓に励む者もいるなか、24歳にして職人としては素人。職人としての厳しさを、身を持って知る事となる。
「家業を継ぐ前に、きちんと洋菓子づくりと向き合おう」そのように決意し、単身フランスに渡る。雑誌を手に洋菓子店をあたり、パティスリーオドー(ル・マン)、マキシム・ド・パリ(パリ)、グランダン(サンジェルマン・アン・レイ)にて修行を積んだ。

1989年、「四季の茶菓 鈴木屋」から徒歩3分ほどのところに、洋菓子店「ボナペティすずき」をオープン。また、1992年に開業した飯能駅直結の「西武飯能PePe」内にも、同名の洋菓子店を設けた。
「四季の茶菓 鈴木屋」の近所に洋菓子店「ボナペティすずき」を2店舗設けることにより、五代目・鈴木康弘社長は、「四季の茶菓 鈴木屋」に洋菓子をイメージづけたのである。

約10年間3店舗を経営していたが、「ボナペティすずき」の2店舗を閉店し、「四季の茶菓 鈴木屋」を改名して洋菓子を置くことにした。郷土飯能の味を継承しながら、ご自身でつくった洋菓子も販売する「夢彩菓すずき」をつくりあげたのだ。

2-2.jpg

飯能銘菓も洋菓子もそろう、夢のようなお店

店内は、左側に飯能銘菓、右側に洋菓子がメインに並び、まさに、「四季の茶菓 鈴木屋」と「ボナペティすずき」が互いを尊重しつつ合一している印象を受ける。

飯能銘菓の人気NO.1は、レーズン・胡桃の入った黒餡をパイ皮で包んだ焼き菓子「げどう」。四代目が郷土芸能の囃子に登場する外道(げどう)をイメージして1966年につくったものだ。
また、飯能少年野球団が全国大会に出場したのを記念した「野球最中」は三代目が1927年に創案したもので、ともに同店を代表する飯能銘菓となっている。

3-2.jpg

4.jpg

5-2.jpg

そして、オーナーシェフがフランスで技術を学ぶなどして日々追究し続けているケーキは、約30種類。
素材にこだわっており、甘味が強くコクがありコレステロールが少ない極上卵「御養卵」、低農薬で遺伝子組み換え原料や食品添加物の使用の無い赤城山南麓の小麦「白金鶴」を使用するなど、産地、餌や肥料を吟味した素材を使用している。 「おいしいだけではなく安心安全に召し上がっていだきたい」というオーナーシェフの一途な想いがうかがえる。

洋菓子のなかで売れ筋NO.1は、「クッキーシュー」。クッキー生地を乗せて焼いたサクサクのシュー皮の中に、特製クリームがあふれんばかりに詰まっている。食べごたえがあるのに飽きることなくぺろっと食べられるのは、シュー皮の食感の良さと特製クリームのおいしさゆえだろうか。売り切れ続出、オーナーシェフ自慢のシュークリームだ。 また、オーナーシェフのイチオシケーキは、ドイツ風焼きチーズケーキ「アイアシェッケ」。クッキーの台、クリームチーズにアーモンドスライスとレーズン、特製の生地を三層に重ねた濃厚なチーズケーキは、ワインと一緒にじっくり味わうのも良さそう。 さらに、アーモンド生地に木苺のジャムと木苺のクリームを重ねた断層が美しい「グランダン」は、木苺の甘さと酸味のバランスが絶妙。オーナーシェフが試行錯誤してつくった一品で、こちらも好評だ。

17.jpg

6-2.jpg

7-2.jpg

8.jpg

9-2.jpg

10-2.jpg

焼き菓子についても、オーナーシェフがこだわり抜いて仕上げた約10種類が並ぶ。手土産として、詰め合わせも好評だ。
なかでも、スペイン産アーモンド入りの生地にプラリネクリームをサンドした「ダックワーズ」と、キャラメルと胡桃をぎっしりと詰めて焼いたスイス伝統菓子「エンガディーナ」が、オーナーシェフのおすすめ。外はサクッと、中はしっとり。食感が楽しい、味わい深い焼き菓子となっている。
ほかにも、ご紹介したい商品が店頭にズラリ。すべてオーナーシェフが探求して完成させた洋菓子なので、お話をうかがえばうかがうほど、洋菓子への計り知れない愛情を感じる。

11-2.jpg

13-1.jpg

特別な日をケーキでお手伝いできることが幸せ

取材当日、同店で購入したケーキを型崩れしないよう気を付けながら持ち帰っているとき、オーナーシェフのお言葉を思い出した。
「お誕生日や記念日など特別な日にケーキが用意されることが多いですが、そのような場面で私たちがお手伝いできることを幸せに思っています」
確かに、ケーキの特別感やリッチ感はいつだって格別だ。持っているだけで自然と頬が緩み、こんなにも大切にそっと持ち帰るものは、ケーキの他に見当たらない。
「だからこそ、一人ひとりが手を抜かずにしっかりとしたお菓子づくりをすることをスタッフにいつも話しています」
オーナーシェフやスタッフの想いを乗せた「夢彩菓すずき」のケーキは、今日も多くの幸せな場面に彩りを添えている。

18.jpg

※価格はすべて税込
※営業時間、販売商品、価格等が変更になる場合がございます。