豊かな自然環境を最大限に生かした佇まい

高麗川を渡り、少し歩くと見えてくる一軒家が今回の目的地だ。
奥武蔵の山々のふもと、周囲の自然に溶け込むように佇む抜群のロケーション。庭先にもテーブルが置かれているので、自然のなかでのんびりと過ごせるのも魅力的だ。

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座る場所によって異なる印象を与えるフロアづくり

期待感も高まり中に入ると、陽光にやさしく包まれ、窓から見える木々の緑が彩りを添えるフロア。店内のテーブルや椅子はそれぞれデザインが異なり、とても洗練されたお洒落な空間が広がっている。座った場所によって印象が異なるように計算された配置は、カフェ好きの人にとってはたまらない、心憎い演出だ。

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店主は、15年ほど前にこの地に越して来た佐藤明美さん。当時はご主人がまだ会社勤めをしていたが「いつかカフェでもできると良いね」と思い、家のデザインにもその思いを込めた。居住用だけの佇まいとは異なっていたこともあり、建設中から近所の人が代わる代わる見に来て、カフェができるのを心待ちにしていたという。

そして「ポレポレ」という名のカフェを開業。その後しばらくの休止を経て、2年前に「CAFE HACHISU」としてリニューアル。今は明美さんと洋昭さんの妻・美穂子さんのふたりで店を切り盛りしている。

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店内デザインは洋昭さんの手によるもの。木工関係の仕事をしており、飯能でバーの経営もしている洋昭さん。そのネットワークを生かして家具や器などもそろえていったのだとか。

人と人とのつながりが花となって咲きひろがる

「HACHISU」は元々飯能の店の名前だったそう。

「飯能の店も仲間たちの協力があったからこそできた『繋がり』がある店。それを表現したいと思って考えていた時に浮かんだのがハスの花でした。ハスは泥の中でつながっていて、ところどころ花が咲いている。繋がりを表すにはちょうど良い。ハスには『ハチス』という別称があって、ちょっと言いにくさもあるがそこも気に入ったんです」と洋昭さん。

現在、飯能の店は「BON TEMPS」と名前を変え、「CAFE HACHISU」の名は明美さん、美穂子さんが切り盛りする横手の店が受け継いでいる。

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店には近隣の武蔵台、横手台から30分ほど歩いて訪れる常連さんも多く、時折行われるライブやイベントにもお客さまのリクエストで始まったものも少なくない。恒例になっている主婦のハンドメイドを展示販売する「Manma展」には隣のおばあちゃんの手作り品も並ぶという。

「ハチス」は仲間との繋がり、家族の絆からさらに広がりを見せ、さまざまな形で花を咲かせているようだ。

丁寧に手をかけて作られた心づくしの味

季節で変わるランチはライスとパンの2種。今回ご用意していただいたのはパンのランチ。

・無農薬リーフサラダ アンチョビドレッシング
・豆腐とキヌアのラザニア
・エリンギとさつま芋、栗の包み焼き バター醤油風味
・カブと手羽先のスープ
・ビーツのピクルス
・自家製 全粒粉入りパン

これだけの品数で野菜がたっぷりと摂れるバランスの良いランチは嬉しいかぎり。

「元々私自身、野菜が好きなので、いつもたくさんの野菜を使ったものになりますね。自然の味わいをできるだけ感じてもらえるように心がけています」と明美さん。

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どれも手がかかっていて、素材の味がきちんと伝わるやさしい味つけ。年4回、季節によってメニューが変わるが、その間にもマイナーチェンジをしているそうだ。家庭でできる味にこだわり、昔ながらのスタイルで、出来合いのものは使わない。ドレッシングやソースはもちろん、味噌も自家製しているという。

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リーフサラダには、農薬や化学肥料を一切使わずに育てるOme Farmの野菜を使用。初めて食べるような野菜も多く、ほかでは手に入らないようなものも。
また、よく知っている野菜も形が違ったり、味が濃いものが多く、ひとつのサラダの中でも食感、香り、味など、さまざまな変化が楽しめる。葉野菜が少なくなる冬になると、また違った調理法でたっぷり野菜が採れるメニューが登場するそうだ。

心づくしのランチの〆はスイーツ&珈琲

珈琲は青梅にある珈琲豆専門店でその場で焙煎してもらい、すぐに冷凍保存しているため、いつでもフレッシュな状態で提供できる。コロンビア、ブラジル、ブルーマウンテンなどの豆をテイスティングして作り上げたオリジナルブレンドだ。丁寧にハンドドリップで淹れた珈琲は、コクと苦味がしっかり感じられつつも飲みやすい味。

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スイーツもどれも手をかけて丁寧に作られた完成度の高さが感じられる。フルーツをたっぷり使っているのも嬉しい。

HACHISUの料理はどれもその味わいだけでなく、盛り付けや彩りの美しさにも心惹かれる。
聞けば明美さんは絵を描かれるそうで「色が好き」なのだとか。なるほど、その審美眼が一皿一皿に現れている。

森の中に流れる極上の時間。心づくしのカフェで非日常の小さな贅沢をどうぞ。

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