国産ガラスにこだわる、線路のそばのガラス工房
ヨーロッパの雑貨店のようなかわいらしい外観の「たぁとんグラス」。初心者からプロのガラス作家を目指す人まで、多くの生徒さんが通うガラス工房です。
一日体験教室では、ガラスの表面に砂を吹き付けて絵柄や模様を生み出す技法「サンドブラスト」を使ったグラス作りの体験ができます。
教えてくれるのは、工房を営む田代貴子さん。
以前は声楽の道を歩みながら、趣味としてサンドブラストを楽しんでいました。当時の先生が体調を崩され、工房を手伝うようになったことがきっかけで、ガラスの世界へと進んだそうです。
工房のある東村山市は、田代さんが生まれ育った街です。
「自然が豊かで人の温かさが感じられる、とても住みやすい街です。一方で、2006年の開業当時はカルチャーやアートのお店が少なく、地域の方々が気軽に立ち寄れる"集いの場"を作りたいという思いもありました」
今回体験するのは「色被せ(いろきせ)ガラス」のコース(6,600円)です。色被せガラスとは、透明なガラスの上に別の色ガラスを薄く重ねたもの。「たぁとんグラス」では国産ガラスにこだわり、職人手作りの高品質なガラスを老舗の窯元から仕入れています。
円筒形のグラスと切子加工が施されたグラスのいずれかを選べます。円筒形のグラスはさまざまな色があり、切子加工のグラスは赤と青の2種類です。
100種類を超える絵柄がファイルに用意されているので、好きなものを選んで組み合わせながらデザインを決めていきます。自分で描いたイラストやロゴを使うこともできます。
グラスを決めてから絵柄を選んでもいいし、絵柄に合わせてグラスを選んでもOK。あれこれと悩む時間も楽しみのひとつです。
グラスに貼った絵柄をカッターで切り抜く
ガラスと絵柄が決まったら、いざ本番! まずは緑色のマスキングシートに選んだ絵柄をコピーしてもらい、バランスを見ながら配置を決めてグラスに貼り付けます。
次は最も時間のかかるカット作業。ペン型のカッターで、絵柄の黒い部分を切り抜いていきます。
「ガラスの上でカッターを使うので、慣れるまでは力加減が難しいかもしれません。まずは直線が多くて切りやすいところから始めましょう」と田代さんのアドバイスを受け、笹の部分からチャレンジ。ガラスは傷つけないように、シートだけが切れる程度の力でスーッと軽く刃を引くのがポイントです。
内側を見ると光が透けて、カットした部分がはっきりと見えます。作業の進み具合が実感できてうれしくなりますね。
体験に来るお客さまは、黙々と作業に没頭する人、グループでおしゃべりしながら楽しむ人など、さまざまだそうです。
カットが終わったら、絵柄以外の部分が削れてしまわないように養生テープでカバーします。
サンドブラスト機で砂を吹き付け、表面を削る作業へ
次はいよいよサンドブラスト機を使った作業。使い方を教わってから、機械の中にグラスを入れ、切り抜いた柄の部分に砂を吹き付けます。
表面の色付きガラスが砂によって削られ、下地の透明なガラスが見えてきます。田代さんによると、「砂の消しゴムで色を消していくようなイメージ」とのこと。削りすぎないよう確認しながら、全体にまんべんなく吹き付けていきます。
削り終わったら、養生テープとマスキングテープをすべて剥がします。だんだん模様が見えてきて、ワクワクする瞬間です。細かい部分はカッターの刃を使って少しずつ剥がしていきます。
最後に洗剤で軽く洗えば、オリジナルグラスの完成です! できあがったグラスは当日持ち帰ることができます。
最後に、サンドブラストの魅力を田代さんに伺いました。
「ガラス表面に浮かび上がるような、繊細で立体感のある表現ができるところです。デザインの自由度が高く、名前やメッセージを入れたり、模様・風景・動植物などを彫刻したりと、オリジナリティのある作品ができます。また、溶けたガラスを扱うわけではないので安全性が高く、初心者でも達成感を味わいやすいのが特徴。『不器用だから不安』という方にこそ、ぜひ体験していただきたいですね」
「今後はサンドブラストを中心にしながら、他のガラス技法の講座も開催したり、高齢者施設などへ出張講座に行ったりと、活動の幅を広げていきたいです」と語る田代さん。
貴重な国産ガラスの美しさとサンドブラストの楽しさを味わいに、ぜひ一度訪れてみてください。
※価格はすべて税込
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