駅からほど近い路地裏にコーヒーの香りが漂う

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国分寺駅北口のバスロータリー広場西側、居酒屋や住宅が並ぶ通りの一角に「Life Size Cribe」はあります。モノトーンとオークウッドを基調にしたスタイリッシュな雰囲気でありながら、入口に砂利と敷石が配されるなど、和洋折衷の遊び心も感じられる空間です。

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Cribe」が提供するのは、徹底した品質管理のもと、最高の状態で飲む人に届けられるスペシャルティコーヒー。生豆の状態から焙煎、抽出まで、すべて店内で行われています。
淹れたてをその場で味わえるのはもちろん、テイクアウトや豆の購入も可能です。席数が最大8席と少なめなので、3人以上で来店した場合はテイクアウトのみ対応とのこと。

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店主の吉田一毅さんは大学卒業後、大手コーヒーチェーンに就職。スペシャルティコーヒーと出合ったのは、新宿にあるバリスタ世界チャンピオンの店「Paul Bassett(ポール バセット)」でした。
「エスプレッソを注文し、砂糖を入れようとしたら、『ぜひ、そのまま飲んでみてください』と言われたんです。エスプレッソは砂糖を入れて飲むものだろう? と思いながら言われるがまま飲んでみたら、ダークチョコレートのような濃密な味わいで、鳥肌が立つほどの衝撃を受けました」。

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コーヒーチェーンを退職し、Paul Bassettでバリスタの修業を積んだ吉田さん。大学時代を過ごした国分寺で「Cribe」をオープンさせたのは2015年のことでした。
「当時、このあたりにスペシャルティコーヒーを扱う店はほとんどありませんでした。『もっと都心じゃないとうまくいかないよ』と言われることもありましたが、だからこそここで新しいコーヒー文化を根付かせたいと思ったんです」。

店名のLife Sizeは「等身大」、Cribeは造語で「Crib to live = 秘密基地、集いの場」といった意味。ヒップホップのダンスや音楽が好きで、ご縁もあり、あえてメインストリートではなく路地裏で開店することを選んだそうです。

見た目も味も、固定概念を覆すコーヒー

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ドリップコーヒー(650円~)は、11種類の豆から選べます。「酸味を感じるコーヒーを」とお願いしたところ、吉田さんがチョイスしてくれたのはタイの豆。「アナエロビック」という、ワインの醸造に近い発酵処理が施されているとのこと。

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「視覚的にも楽しんでいただけるように、グラスで提供しています。コーヒーの色は黒ではなく褐色であることがわかりますよね」。
コーヒーは黒いもの。コーヒーカップやマグカップで飲むもの。そんな思い込みを、吉田さんはさらりと消し去ってくれました。

ひと口飲むと、コーヒーとは思えないほど爽やかな酸味が広がります。さらに驚いたのは、冷めても変わらないおいしさ。「いいコーヒーは温度に左右されません。むしろ冷めてからの方が、本来の味がわかりやすいんですよ」と吉田さん。

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エスプレッソ(600円)も香りをより楽しめるよう、一般的なデミタスカップではなく、ウイスキーに使われるブレンダーグラスで提供されます。エスプレッソは層になりやすいので、グラスを回し混ぜてから飲むといいのだとか。
苦みが強いイメージのエスプレッソですが、こちらも想像以上にフルーティーで軽やか。それでいてしっかりと余韻の残る味わいです。

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吉田さんはラテアートの大会「CRAZY BARISTA」で日本チャンピオンに輝いた経歴の持ち主。カフェラテ(700円)を注文すると、その実力を目の前で見られるのもうれしいポイントです。きめ細かいフォームドミルクはなめらかで、とろけるような口当たり。
一緒にいただいたチーズケーキ(650円)は、レアチーズムースとベイクドチーズの二層で、粗挽き胡椒がほどよいアクセントになっています。

国分寺でコーヒー文化を発信し続ける

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コーヒーを飲みに、あるいは豆を買いに来るお客さまに対してただ売るのではなく、一人ひとりにカウンセリングをして、最高のコーヒーに出合うためのサポートをするのが「Cribe」の特徴です。

豆の焙煎から販売まで一貫して手がける理由は、「再現性」を高めたいから。「お客さまが飲みたい味を自宅で再現できるようにするためには、すべてを自分の手でやるしかなかった」と吉田さんは言います。

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「国分寺に住み、国分寺で事業を行っている身として、これからもこの街でコーヒー文化の発信を続けていきたいです」と吉田さん。
「今、市内に大きな焙煎所をつくる準備を進めているところです。試飲ができるラボのような、ワインセラーならぬコーヒーセラーのような場所にして、街の人たちにもっとコーヒーを楽しんでもらいたいですね」。

国分寺の街にコーヒー文化を広めてきた「Life Size Cribe」。ひとたび訪れれば、至福の一杯との出合いが待っています。

※価格はすべて税込
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