奇をてらうことなく、毎日食べても飽きない味わいを目指して
東大和市駅の改札を出たら右折をして青梅街道へ。南街方面に10分ほど歩くと「南街交番前」の信号の先に「パティスリー ル シャトー」が見えてきます。木目調の外観が温かい雰囲気を醸す、2019年にオープンしたパティスリーです。
日本ではパティスリーというとおしゃれな洋菓子店のイメージがありますが、フランスのパティスリーにはケーキだけでなくパンや惣菜を売っているお店もあるそう。
「"芸術的"というのが日本でのケーキのイメージですが、フランスではもっと暮らしの中になじんでいて、身近な食べ物なんですよ」と話すのは佐藤正城さん。「パティスリー ル シャトー」のオーナーシェフです。
佐藤シェフとフランス伝統菓子の出会いは大学4年生にまで遡ります。語学留学で渡仏したときに、夏と冬の休暇を利用して働いたのが、日本人パティシエが営むフランス菓子の名店「アンジェリック・チバ」。そこでフランスの伝統的なお菓子の魅力を知り、学んでいきます。
帰国後は、実力派と賞賛される「ラ・バンボッシュ」(錦糸町)、名店と親しまれた「ロワゾー・ド・リヨン」(湯島)などで研鑽を積み、さらなる高みを目指して再びパリへ。師のもとで修業した後、実家のある東大和市に店を構えました。
「フランスでは食後に甘い物で締めくくるのが一般的で、ケーキや焼菓子は、日本食における味噌汁のようになくてはならない存在なんです」。佐藤さんが目指すのは、フランスの暮らしの中で日常となっているお菓子の文化を日本でも楽しんでもらうこと。流行に左右されることなく、毎日食べても飽きることのない伝統菓子の魅力を伝えていきたいと話します。
熟成して焼き上げるカヌレはもっちり食感と芳ばしさが魅力
数種類ある焼き菓子の中でも、常連客に高い支持を得ているのが「カヌレ」(250円)。金・土・日曜日限定のお菓子です。
一般的なカヌレは、外はかりっと芳ばしく、中はしっとりとしているのが特徴ですが、「パティスリー ル シャトー」のカヌレはしっとりというより"もっちり"。生地を72時間かけてゆっくりと寝かせることで、独特の食感が生み出されます。SNSではこの独特の食感と味が評判となり、カヌレを求めて遠方から訪れる方も多いのだそう。
豪快に「がぶり!」が本場フランス流の楽しみ方
ケーキでは「モンブラン」(550円)が人気で、栗の甘みが際立つマロンクリームの中には生クリームがたっぷり。土台部分には、かりっと焼き上がったクッキーが隠れています。
モンブランに使っているクッキーをそのままで味わいたいというお客さまの声から生まれたのが「うまべぇサブレ」(1枚160円)です。東大和市の観光キャラクターであるうまべぇがかたどられたサブレで、お土産としても人気を集めています。
ケーキといえば「ショートケーキ」(550円)が定番ですが、実は日本生まれの洋菓子だというのをご存じでしょうか。「日本のショートケーキのような、ふわふわのスポンジや軽い口当たりのケーキはフランスには存在していなかったのですが、近年は日本人パティシエの活躍で、パリでもショートケーキの認知度が高まっているんですよ」と佐藤シェフ。伝統にこだわるだけでなく、お客さまに喜ばれるお菓子を提供し続けたいと、新しい時代の息吹を吸収することも怠りません。
食べるのが惜しくなる愛らしさのあるケーキたちですが、佐藤シェフは「豪快にがぶりと食べてほしい」とも話します。
例えばショートケーキの場合、スポンジの生地や果物のスライスの厚み、クリームの量など、すべてを一緒に味わうことでおいしさが増すように構築されています。モンブランも上にのった栗とクリーム、クッキーがあわさることで格別の味わいに。
佐藤シェフがつくるお菓子たちは、食べるとほっとするような温かさが感じられるものばかりです。毎日食べても飽きずにおいしいフランス菓子を食後のデザートに楽しんでみませんか。
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