和の鉄人・道場六三郎氏にも師事した実力派

周囲にはアミューズメント施設や居酒屋がひしめく賑やかな場所にありながら、一歩店内に入るとモダンで落ち着いた雰囲気。テーブル20席に加え、厨房前に4席のカウンターが設えられている。

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店のオーナーは安江勇治さん。岐阜の懐石料理の店で修行をスタート。
その後「和の鉄人」道場六三郎氏のもとで腕を磨き、エンタメレストラン「NINJA NEW YORK」ニューヨーク店の立ち上げにも携わったという豊富なキャリアの持ち主だ。

より多くの人に届けたいという想い

修行時代は客単価1万、3万円という高価な料理が中心。そのため対象は接待や限られた層に向けたものだった。「もっと多くの人においしいものを届けたい」という思いから、ニューヨークから帰国した後に立ち上げたのがこの「あんぷく」だ。
店のメインは創作うどん。安江さんが得意とする柔らかな発想を生かせるジャンルなのだ。

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安江さんの料理人としてのルーツはこども時代。実家は洋食店を営んでいたという。「安くておいしいものを」という想いは、ハンバーグやシチューといった家庭的な洋食を提供していた実家で育ったことに由来しているのだろう。店の名前「あんぷく」はかつて父が営んでいた洋食店の名を受け継いでいる。

素材、調理方法にもこだわりが光る

麺は店内で機械打ち。どのスタッフが作っても安定した品質の自家製麺ができるのが機械打ちの強みだ。小麦粉は高級麺用にブレンドされた「真麺許皆伝」。安江さんが開発に携わったのが縁で使用しているという。創作うどんは茹でた後にソースに絡ませるなど通常より火を入れる時間が長くなる。そのため伸びにくくコシの強い麺になるよう考慮されているそうだ。

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看板メニューは「名物カルボナーラうどん」。
一見パスタのカルボナーラと同じようにみえるが、その違いは食べてみるとよくわかる。チーズが濃厚な味わいのクリーミーなカルボナーラソースに、粗削りの鰹節からとっただしがしっかりと引いてあるのだ。そのため見た目は洋風でありながらベースに和を感じる味わい。日本人の本能的な部分に訴えかける味は多くの人の支持を得て、あんぷくを人気店に押し上げた名物メニューに。

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もう一品「8時間煮込んだ牛すじ黒カレーうどん」も人気メニュー。
スパイシーなカレーにトロトロに煮込まれた牛すじの旨みが染み出し、よく煮込まれていることがよくわかる一皿だ。辛さの調節やトッピングの追加もできるので好みの味にカスタマイズできるのも嬉しい。

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エンタメ心を忘れない演出も

店内の壁には筆字で書かれた漢字があちこちに散りばめられている。これは武田双雲氏の弟・武田双龍氏によるもの。双龍氏がひらめいた文字を思うままに直接壁に描き上げた作品だという。

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また、あんぷくのうどんは大きな器で提供される。思わず写真に撮ってSNSにアップしたくなるような、目からも楽しんでもらいたいという演出だ。かつてエンタメレストランで培った「人を楽しませる」精神があんぷくにも宿っている。

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うどんを文化として楽しんでほしい

すべて安江さん自身が手がけているという創作うどんのレシピは、季節によっても新作が登場する。
日本の伝統的料理であるうどんを「文化として楽しみながら継承していきたい」という安江さん。四川麻婆茄子や〆サバとブラックオリーブ、へしこと九条ねぎなど、ジャンルの垣根を超えた創作メニューがずらりと並ぶ中にも、天ざる、山かけ、きつねうどんなどの定番メニューも。インパクトのある創作うどんを一通り楽しんだら、ぜひシンプルな定番うどんも味わってみたい。

現在、虎ノ門ヒルズにも出店している「あんぷく」。
これからも人々を笑顔にする新メニューが登場することを楽しみにしていようと思う。

※価格はすべて税込
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