田舎のようにほっとする、小さな町の洋食屋さん
小さな店が軒を並べる中井駅周辺は、高田馬場駅から2駅の都心にありながら、どこか下町風情を楽しむことができます。中でも「ぺいざん」のある小径沿いは、ノスタルジックな雰囲気が漂っています。創業以来変わることなくこの地にあり続ける「ぺいざん」は、オレンジと白の看板が目印。地元の人たちや学生で連日にぎわう人気の洋食店です。
「ぺいざん」は、イタリア語で「田舎」、フランス語では「農民」を表す言葉。洋食店に従事していた初代マスターが独立をして店舗を構えるときに「田舎に帰ってくるようなほっとする場をつくりたい」と名付けた店名です。
ガラス窓を開けて店内に足を踏み入れると、洋食店というよりも定食屋と呼ぶほうがしっくりとなじむような雰囲気が漂っています。厨房を囲むようにカウンター席が配され、最大13名が着席可能です。
「父がこの店を創業したのが東京五輪の翌年(1965年)のこと。まもなく60年を迎えるんですよね」と話すのは高木啓司さん。初代であるお父さまの店と味を守る二代目マスターです。
洋食といえばこれ。すべてが手づくりの人気No.1メニュー
数ある定食メニューの中で一番人気を誇っているのがハンバーグ、エビフライ、カニクリームコロッケが味わえるセット(1,000円)。「洋食といえば」の人気メニューを一度に楽しめる、大人のお子さまランチのような一品です。
中央にそそり立つエビフライは、注文が入ってから揚げるので衣が芳ばしく、中はふんわり。鮮度の高い食材にもこだわっているので、大きなエビの身はぷりぷりとしていて甘みを十分に楽しめます。
身がぎっしりのカニクリームコロッケも揚げたてのほくほく。カニの身の甘みがクリームに調和して濃厚な味わいが楽しめます。自家製のデミグラスソースとの相性も抜群です。
店自慢のハンバーグは肉の旨みが引き立つ逸品です。デミグラスソースは初代から受け継いだレシピを踏襲しつつ、二代目ならではのアレンジが効いています。二代目の高木さんは、ジャンバラヤやケイジャンなどのメニューで知られるニューオリンズ料理のレストランに従事していた経験があるのだそう。そのときに得た技術を生かしたソースは、コクとスパイスのバランスがよく、ご飯にもぴったりです。
ギャグマンガの王様が愛した和風おろしハンバーグ
「ぺいざん」らしいメニューをもうひと品ということで作っていただいたのが「いちおしセット」(800円)。和風おろしハンバーグと豚ヒレ肉の串カツが味わえる、「ぺいざん」の王道メニューです。
このメニューの一番の魅力は和風おろしハンバーグです。「和風おろしハンバーグは、漫画家の赤塚不二雄さんが好きでよく召し上がっていたそうなんです」と高木さん。ギャグマンガの王様である赤塚不二雄さんは、中井の町に40年間暮らし、「ぺいざん」にも足しげく通っていました。
手ごねのハンバーグは年配の方でもおいしく味わえるようにとふっくらやわらかく焼き上げ、大根おろしでさっぱりと。手づくりならではの温かさが感じられる家庭的な味わいです。
ラード油で揚げる豚ヒレ肉の串カツは、ボリュームがあるのに軽い口当たりで、上質なヒレ肉の旨みと玉ねぎの甘みが楽しめます。
お口直しのサラダのドレッシングももちろん自家製です。サラダに上にのっている枝豆は茹でた後に手で剝いたもの。脇役ともいえる存在のメニューにも抜かりはありません。
「ぺいざん」では、昼夜関係なく同じメニューを同じ値段で注文することができます。ライス、みそ汁、おしんこ付きの定食メニューが豊富で、ライスの大盛は終日無料サービス。中井駅界隈は学生の町でもあることから、「学生たちが我慢することなくもりもり食べてほしい」という先代の想いを受け継ぎ、たっぷりのボリュームは創業当時のまま。1,000円以内で定食が味わえるようにとリーズナブルな値段もまた先代譲りです。
「ぺいざん」には毎日でも味わいたくなるほどのおいしい洋食メニューが揃っています。お腹を空かせてぜひ訪れてみてくださいね。
※価格はすべて税込。
※販売商品、価格などが変更になる場合がございます。