韓国風カフェとアンティークなイメージを合わせた内装
オーナーの居石和恵さんが椎名町に店舗をオープンしたのは2022年7月。それ以前は池袋の「ニシイケバレエ」、椎名町の「シーナと一平」といったシェアスペースを利用しての営業でした。実店舗をオープンするにはあたっては、内装にもこだわりがありました。居石さんは次のように話します。
「韓国風のカフェとアンティークなイメージを合わせたところを目指しました。デザイナーさんにも協力してもらって、理想に近づけることができましたね」
入口は大きなガラス窓が配置され、店内は淡いグレーを基調としたナチュラルな雰囲気。照明や壁ひとつをとってもデザイン性があり、居石さんの細やかなこだわりを感じます。
店内にイートインスペースを設けたのは、「ニシイケバレエ」でのポジティブな経験に基づいています。
「『ニシイケバレエ』には少しだけイートインスペースがありました。そこで紅茶を提供しながらお客さまとお話をするという空間がすごく良くて、実店舗でもイートインスペースは必要だなと確信しました。実際、お店を利用されるお客さまの生の声を聞けるので、イートインスペースを作って良かったと思っています」
"わけあり林檎"も大切にする林檎愛が原点
"林檎と紅茶"というコンセプトは、幅広い年齢層をターゲットにすることから生まれたものでした。居石さんは「林檎や紅茶はお子さまからご年配の方まで、嫌いだという方が少ない印象があります。幅広い年齢層の方に喜んでいただけるのだとしたら、林檎と紅茶に特化してエッジを効かせてもいいのかなと思いました」と語ります。
そして実は、居石さんの実家は青森の林檎農家。こどものころから林檎に溢れた生活を送ってきたことが、お店の原点となっています。
「毎日のように林檎を食べて育ってきたので、お菓子のお店をやるなら林檎を使いたいと思っていました。また、林檎農家の方たちの力になりたいという気持ちもありました。雨で皮が変色したり、少しでも傷がついたりすると、林檎は売れなくなってしまいます。"わけあり林檎"であっても、焼き菓子であれば味や品質は変わらず問題ないので、そういった林檎を中心に使いたいと思っていました」
お店にならぶ焼き菓子には、林檎とともに育った居石さんの愛情が込められているのです。
そして、林檎と並んでお店の看板となっている紅茶も、原点のひとつです。居石さんはもともとお菓子職人を目指していたわけではなく、現在の道に進んだのは「たまたま」だったのだそう。学生のときは就職氷河期と言われた時代で、就職難の末にたどり着いたのが紅茶とタルトのお店。そこでパティシエから多くを学んだことにより、お菓子作りへの興味が大きくなっていきました。最初の職場でお菓子作りを学ぶと同時に、紅茶についての理解を深めたことが、現在へとつながっています。
「最初に勤めていたお店は100種類近い紅茶を扱っていました。そこでベーシックな知識を身につけていたこともありますし、最近になって紅茶のインストラクターの資格も取得しました。今は常時20種類くらいの紅茶を用意していて、フレーバーティーは林檎に特化したものを中心に扱っています」
林檎をふんだんに味わえるタルトやスコーンが人気
店内にはパッケージされた焼き菓子から、焼き立てのアップルパイ、林檎タルト、紅茶のスコーンといったスイーツが約15種類並びます。ドリンクはアールグレイ、ダージリン、和紅茶といった紅茶類から、アップルティー、アップルベリー、林檎キャラメルなどのフレーバーティー、さらにはジュースやコーヒー類など常時15種類以上が用意されています。
スイーツの中でもとくに人気が高いのが林檎のタルト(500円)と林檎のスコーン(350円)。
「タルトの型となるクッキー生地には煮た林檎がたっぷり入っているので、林檎をふんだんに味わっていただけるところがおすすめです。スコーンは林檎をキャラメリゼして香ばしく仕上げています。砂糖を控えめにしているので、甘すぎず、朝食や小腹が空いたときのおやつにも人気です」
スイーツ作りの際は、林檎の品種によって煮る時間や火の入れ方を変えるなどして、良さを最大限に引き出すことを心掛けているとのこと。林檎に対する深いこだわりを感じます。
「リピーターになってくださるお客さまも多いので、定番メニューは揃えつつ、新しいメニューも日々考えています」と居石さん。さまざまな林檎と紅茶を堪能できる「林檎と紅茶と」は、一度来店したらまた訪れたくなること間違いなしです。
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