ジャズ大好き夫婦が始めたジャズ喫茶
「ロンパーチッチ」がオープンしたのは2011年12月。店主は齊藤外志雄さん、晶子さんご夫妻だ。「いつかジャズ喫茶をやりたい」と常々思いながら会社勤めをしていた二人だが、たまたま物件を見つけたことで、予定より早く開業することになった。
ジャズ喫茶はその昔、とても儲かる商売だった。というのも当時のレコードはとても高価なもので、一般家庭では買えなかったからだ。
「だからみんなジャズ喫茶へ行ってレコードを聴いていたんです。店内がぎゅうぎゅうにひしめき合うほど混み合っていた時代もあったそうです」(外志雄さん)。
齊藤さんご夫妻も、開店する前はふたりでいろいろなジャズ喫茶に足を運んでいたという。
お店のスピーカーはオールドJBLの「C38Baron」。半ば諦めながらも欲しいと思っていたところ、偶然にも中古で売り出されていたのを発見して購入した。
店内にあるレコードは2,000枚ほど。そのうち数百枚はこまめに入れ替わる。中古を買っては売り、また新しいものを買うことを繰り返しているのだそう。
「店では毎日違うレコードをかけるようにしています。買わずにはいられないということもあり、メニューよりレコードが変わっていくお店です」と外志雄さん。
アンバー色のカップに注がれたスペシャリティコーヒー
ジャズと一緒に楽しみたいのがコーヒーだ。コロンビアのロス・アルぺス農園で採れたシングルオリジンのスペシャリティコーヒー豆のみを使用し、挽きたてをペーパードリップで丁寧に抽出している。コーヒーはこの1種類のみ。「うちにはブレンドはありません」というから、この潔さが好ましい。
DURALEXのカップになみなみ注がれたコーヒー(550円)。穏やかな酸味とコクが特長で、スッキリとした後味も魅力。ロータスのビスケットがついてくるのも嬉しい。
F.O.B COOPのカップツリー。レトロな色合いがジャズの音とマッチしている。
フードやお酒のメニューも充実。まったり過ごせる店内
コーヒーはもちろんのこと、フードメニューもおすすめだ。「ひよこ豆とひき肉のドライカレー」は、その名の通りひよこ豆がごろごろ入っていてスパイシーな一品。食べ応えも十分だ。付け合わせのピクルスはほどよい酸味で、辛くなった口内を爽やかにしてくれる。ほかにもペンネやクロックムッシュなどのフードメニュー、ガトーショコラやチーズケーキなどのデザートメニューがある。
お酒のメニューも充実しており、オンリストされているのはビール、ワイン、ウイスキー、ラムなどで、ウイスキーはスコッチがメインだ。しかもコーヒーと同じ550円からというから驚きだ。さらに嬉しいのは、コーヒーもプラス110円で、ミルクをスコッチ、ブランデー、ラムに変更できるということ。肌寒い日や、まったりと飲みたいというときにぜひ試したいところ。
客層は30代後半から40代を中心に往年のジャズファンやご近所の主婦の方までさまざま。「これからもずっとこの店を続けていきたいですね」と外志雄さん、晶子さんは語る。
「ロンパーチッチ」に足を踏み入れれば、コーヒーの香りと、おいしいフードやお酒、そしてジャズに包まれる。この心地よい空間があり続けること自体が、大切なことのように感じられる。今日も「ロンパーチッチ」は変わらないやさしさで、私たちを迎えてくれる。
※価格はすべて税込
※営業時間、販売商品、価格等が変更になる場合がございます。
※写真、記事内容は取材時(2017年10月2日)になります。