土蔵が立ち並ぶ中で異彩を放つ重厚な洋風建築

この建物は市の指定文化財「田中家住宅」。大正4年に建てられた川越最古の洋風建築です。路面部分は店舗「桜井銃砲店」、その奥を住居として設計されました。周辺の蔵屋敷とは一線を画しているように見えますが、実はこの建物も木造の骨組みをベースとした蔵造りです。建設当初は周囲と同じような土壁の蔵になる予定でしたが、途中で計画変更。店舗部分のみ外壁にモルタルを施したため洋風の佇まいになったということが最近判明したそうです。

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店舗部分はその後、故・田中利明氏が収集していた川越出身の芸術家の作品や地場織物「川越唐桟」などを展示する美術館として活用。美術館が閉館になったのち、この場所を引き継いだのが「アートカフェ エレバート」です。

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洋館風の建物の中に入ると、高い天井に時を重ねた飴色の梁がめぐらされた空間が。ここが木造の土蔵だと改めて実感します。店奥には引き戸が設えられており、その先にはかつての住宅部分が現存。現在は、「エレバート」の姉妹店「和創菜と四季のすし 風凛」として営業しています。

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2階の特等席といえば、なんといっても窓際のカウンター席です。ほぼ正面に見える和菓子店「龜屋」は、町の三分の一を消失した1893年(明治26年)の川越大火の翌年に再建した蔵造りの建物。重厚な光沢を放つ黒漆喰の壁、2階部分に設えられた観音扉の窓、隣接して建てられた袖蔵など、「山崎家住宅」として川越市の文化財にも指定されています。数ある川越の蔵造り建築の中でも特に見どころが多い歴史的建造物を間近に、しかも高い位置から眺められるのは、この店ならではの贅沢といえるでしょう。

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希少な豆で楽しむコーヒーと全6種の樽生COEDOビール

蔵造りの空間、そして窓から眺める荘厳な建物。これらは「エレバート」を語る上で欠かせない要素ですが、この店の魅力はそれだけではありません。

「エレバート」で提供しているコーヒー豆「トアルコ トラジャ」は、赤道直下のインドネシアのスラウェシ島にあるトラジャ地方のみで産出される希少な豆。高地で栽培された豆をひと粒ひと粒手摘みし、さらに丁寧なハンドピックで良い豆だけを選別しています。適度な酸味と柔らかな苦味があり、さらに香りはキャラメルのような香ばしさ。コーヒー通はもちろん、コーヒーがあまり得意ではない人でも飲みやすいバランスの良さが特徴です。

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また、川越で生まれた人気クラフトビール「COEDOビール」が樽生で6種全てそろうのは川越市内で2軒だけ。そのうちの1軒がここ「エレバート」なのです。店内では中生750円〜、テイクアウトは一律500円で提供。小江戸川越のサツマイモを使った「紅赤」をはじめ、それぞれ異なる味わいや香り、喉越しを持つ6種の「COEDOビール」の飲み比べができるのもこの店ならではです。

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ドルチェはなんと"板前による自家製"

そして特徴的なのが自家製ドルチェです。定番の「自家製さつまいもプリン」「自家製ガトーショコラ」「自家製チーズケーキ」の3種類(各550円)はなんと隣接する姉妹店「和創菜と四季のすし 風凛」の板前さんによるお手製。

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なめらかな口当たりの「自家製さつまいもプリン」(550円)は、濃厚な卵のコクに芋の甘みが加わって風味豊か。コーヒーはもちろん、COEDO「紅赤」とのマリアージュも楽しめるそうです。

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カカオの香り豊かに焼き上げた「自家製ガトーショコラ」(550円)は甘さ控えめ。こちらもコーヒー、ビールどちらとも相性良く仕上がっています。

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さっぱりとした酸味の「自家製チーズケーキ」(550円)は、レモンを皮まで丸ごと使ったクラフトレモンソーダ(500円)とのセットがおすすめ。また、9種のボタニカルを使用したスパイス感豊かなクラフトコーラ(500円)とも相性がピッタリです。

「小江戸川越で一番のランドマークでありたい」というエレバート。蔵のまちならではの特別な空間で楽しむ心尽くしのドルチェは格別な味わいです。川越さんぽの足を休めに、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。

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